魔術圏<\レイユ――

特徴……

魔術園ソレイユ。ご存知魔術という不可思議なる術が存在し、日常として根付いた国である。主要交通機関は空飛ぶ箒、空を見上げれば魔術で浮いた大陸を背景に手紙を咥えた梟がバサバサッと飛んでいき、大抵の病気は魔法薬(ポーション)で治してしまうというやっぱり何でもありの世界である。
他の二国と違うのは、他の国は現実主義的なお国柄であるのに対し、この国は思想や格式や学問といったものを重視するところだろう。
それゆえに精神的な分野に対してはこの国の人たちは非常に強い。
哲学や宗教に熱心な人も多く、"心の強さ"で言えばソレイユは他国と比べて抜きん出ているのである。
それらは戦いに転じれば簡単には混乱しない強さ、逆境でも冷静に行動する強さ、何より希望を失わず前を見る強さとなる。(この辺りはオズの影響もある)
だがその反面、思想の"暴走"といった危険も抱えている。
貴族性への依存と反発、宗教・学閥などの対立…… 心の強さは同時に暴走の危険性を孕んでいる。
また、比較的インテリが多く、ラクナスほどではないが肉体派は少ない傾向にある。


長所……

この国の強さは"魔術の多彩さと汎用性の高さ"である。
魔術というのは大抵特別な道具は必要なく、術者単独で発動できる。咥えて一人で光学兵器にも爆弾にも生物兵器にも成りうるという多様性と汎用性がある。しかも見た目でどんな魔術を使うか特定されにくい。この魔術を使いこなす魔術士が組織として軍を形成しているのがソレイユ軍の特徴である。ある程度の魔術士ならば小隊一つ、個人と言う単位でさえ強襲から治療や偵察まで何でもこなすことが出来るのだ。懲罰隊クラスの高位魔術士部隊になると一人で天変地異起こしたり敵軍の捕虜の脳から記憶を奪ったりと何でもやってしまうほどである。ラクナスのように一個の都市を消し去ることは出来ずとも、一個の都市を確実に攻め落とす確率は高いと言うわけだ。
しかもこれらは殆ど費用を使うことがない。戦費の捻出は場合によっては戦士の命よりも重要な課題である。これに対してソレイユ軍は他の二国に比べれどノーコストと言っていいほどの戦費で軍を動かすことが出来る。
究極の汎用性と経済性、これがソレイユ最大の長所である。


短所……

いくら魔術師が強いといっても、ソレイユの人口の殆どは銃を使ったほうがずっと強いくらいの魔術しか使えない。
一人で天変地異起こすような人間というのはほんの一握りであり、さらに軍属となると非常に限られてくるのだ。
徴兵制も無いので兵士の数はかなり少ない。さらにその兵士も使い物になるまで非常に長い学習と修練が必要となる。
魔法生物(ゴーレム)や魔法具などで補ってるとはいえ、ハザードの生物兵器やラクナスの機械兵などに比べるとソレイユはかなり物量と人材で劣っているといえるだろう。
また、国の防衛という観点でも怪しいところがある。
ソレイユの国防は主に魔術による結界や魔法生物(ゴーレム)による巡回であるが、それらはコストパフォーマンスが高いだけで決して防御力は高くない。
ラクナスの防護フィールド&機械兵には間違いなく見劣りするし、ハザードのように拠点を容易に変えるようなフットワークも隠匿性もない。
何事にも柔軟に対処できる半面、圧倒的な物量で攻められると弱い一面がある。


総評……

全体としてみると一番戦力が低い国かもしれない。
軍隊の質は非常に高いのだが、圧倒的に数が少いのである。育成にも時間が掛かるため補充も難しい。
また、国防に関しても守りが浅い印象がある。
普通これぐらい差があれば攻め滅ぼされていてもおかしくないが、しかしそれをさせないのが魔術だ。
勝てると思って大軍団を差し向けても数人の魔術師によって壊滅させられる可能性があるのがソレイユの恐ろしいところである。
また、九十九の鍵の収集や解析においてもソレイユは他国より1つ先を行っている。
物量は無い。
だが最も多くの切り札を持つ国。
それがソレイユ。……ということで締めくくりたい。