<OFF会!大波乱!!> zzz………                ZZZ………      zzz……… コチ・コチ・コチ・コチ・……… ……………んにゃ……… …む……………zz……… 『 … … … っ っ ぎ ゃ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ っ っ!!!!!!  バタァッ!! グシャッ 』  朝の7時、俺の朝一番に聞いた音は、そんな物凄い悲鳴だった。 まるで俺に迫り来る死に直面した瞬間の恐怖をアピールしているかのような、心まで届 く恐ろしい悲鳴だ。  バタリと言う音は……、まさか! 高い場所から飛び降りて地面に落ちた音だろうか?  全身に冷や汗が流れる。 ………ガバッ!!  勿論俺は飛び起きた、二段ベットの上で寝ていたのだという事を忘れて。 「なっ!? 今の悲鳴は誰かじさはぅぁっ………っ!?」  間抜けにも思いっ切り飛び起きて天井に思いっきり顔面をぶつけたのだった。ガツン! と。 俺はこのベットで何年寝てるんだよ……。……ツツ〜〜と、左側から鼻血が出ていた。  自分の家の二段ベットで体を起したら、顔面をぶつけて鼻血を出す。 常人に出来る事 ではない。  それもこれもアノ悲鳴のせ……、そうだ! 悲鳴っ!  俺は慌ててベットを降りて窓から顔を出す。そして首だけ出した状態で鼻血を垂らしな がらキョロキョロと下の方を見る。 丁度隣には、ここで自殺しましたと言わんばかりにマンションが立っているのだ。  因みにこの巨大なマンションのお陰で、この寝室に朝日が刺す事は無い。  俺は暫くマンションの方を覗いていたが……、一向に誰も見つからず、野次馬も救急車 もやって来ない。  ……何故だろうか?  そんな事を疑問に思いながら着替え始めた時だった、今度は俺の枕元の方から凄まじい 音が鳴り響いた。 『 … … … っ っ ぎ ゃ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ っ っ!!!!!!  バタァッ!! グシャッ 』 「………」  ………二回目? もしや、と思って俺はベットに手と足を掛け、体を持ち上げて自分の枕下に有った弟に 借りた可愛らしい卵型の目覚まし時計を手に取る。ついでにティッシュも一枚とって鼻に 詰めた。 トン、と手を離してベットから降りる。  赤い帽子を被ったデフォルメされたウサギのマークが入っている目覚まし時計だ、弟が 『これなら絶対起きられるから』と言って貸してくれた物なのだが……。  俺は針を6時59分50秒にして再度時計を動かす……。  ………… 『 … … … っ っ ぎ ゃ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ っ っ!!!!!!  バタァッ!! グシャッ 』 「やっぱりこの目覚ましの音かっ!! 紛らわしいわっ!」  俺は思いっきり力を込めてパチッと目覚ましのスイッチを切った。  確かに絶対に起きるだろう、と言うよりも起される。  音量の凄まじさもそうだけど、声優さんの演技もスピーカーの精度も抜群で誰かが近く で死にそうな声を上げてるようにしか聞こえない。恐ろしい目覚ましだ。  技術の進歩はこんな物まで作ってしまうのだろうか……。 俺はもっと他にこの技術の使い道が有るんじゃないかと、真剣にそう思った。   ただ、肌が振るえるほどの音の中で、俺の弟はまだ寝ていた。  コイツは8時まで何が有ろうと起きないのだ、有る意味ここまで来ると凄い。  とにかく、間違っても清々しい目覚めとは言えないがちゃんと起きる事が出来たのだか ら良しとしよう。 俺はそのまま二階の洗面所まで歩き、鏡の前で顔を洗って髪を整える事にした。  今日はThe worldでの仲間で行うOFF会が有るのだ、アーザスはともかくアーサも来る のだから遅れる訳にはいかない!  早起きの理由はこれである。  今回が初めてのOFF会である俺は、言ってみればかなり気合が入っていた。まぁ、参加 者が4人で皆OFF会は初めてなのだけど。  俺は鏡の中に居る自分を見る。  服も(なるべく)新しい物を用意したし、髪も(ギリギリ残っていた)ワックスで整え た。後は左側から出ている鼻血さえ止まれば完璧だろう。  服装はジーパンと黒い柄の入っていないシャツと言うシンプルな物を選んだ、それしか 無かったのではなく、選んだのだ。(2着の中から)  準備を終えて洗面所から出ると、俺は自分の部屋から前日に用意して置いた財布など 色々入っているリュックを持って魔界に向う。  因みに『魔界』とは我が家の階段の事だ、手摺が無く、家の人間でも頻繁に階段から落 ちるのでこの名が付いている。魔界の下には思いっきり血痕が残っているのだから、納得 出切るだろう。   そして、浮かれていたのだろうか?  スッ、と嫌な感じが背筋に走った。  OFF会の事を考えていたら隙が出来てしまったらしい。俺は段差が大きくて角が丸い魔 界での一歩を、油断の名の下に踏み外した。  一瞬、スカッと効果音が鳴りそうなほど俺の右足は空を斬る。  前傾姿勢でそのまま落ちて行く俺の上半身。  走馬灯の様に流れる記憶。  ギィィ……、と言う魔界から流れ出た悪魔の笑い声。  右側からも出て来た鼻血。 「…………痛ったぁぁあぁ!!」  ………誰も、起きて来なかったのが悲しい土曜の朝の出来事だった。 ギーコ…、ギーコ……。  両方の鼻の穴にティッシュを詰め込みながら、俺はママチャリをこいでいた。  あの後色々と応急手当や朝食の準備などをしていたら、結局出発が8時になってしまっ たのだ。 集合は9時だが、予定より遅れていたのでとにかく俺は急いでいた。  車に轢かれない程度に全身全霊を賭し、俺は黒いママチャリ、名付けて『クソロッカー 号』を飛ばす!  うおぉ〜〜〜!! ギーコ…、ギーコ……。  線路沿いの狭いけど長い道路は人通りが少なく、自転車を飛ばすには丁度良い環境だっ た。最近は涼しくなって来たので疲れる割に自転車をこぐのは快適だ。  隣を走り抜けていく電車を横目に、俺は腕時計の時刻を確認する。現在、午前8時7分。  この調子で進めば40分程度で集合場所の新名古屋駅に到着出切るだろう。 素直に名鉄に乗れば20分程度で着く道のりなのだけれど、勿論の事ながら俺は交通費 をケチった。  無駄な出費を重ねる訳にはいかないのだ。  やっと鼻血が止まり、俺は鼻栓を抜きながらも、いっそうペダルをこぐ足に力を込めた のだった。 …………………… 「8時40分……、とうちゃーく……、ぜぇ、ぜぇ……」  自転車置き場に自転車を止めつつ、俺はクソロッカー号にもたれ掛りながら深呼吸を繰 り返していた。  先に言って置くが疲れたからではない、緊張をほぐす為に深呼吸をしているのだ。間違 っても頑張り過ぎてバテているのとは違う。  スーー、ハーー、スーー、ハーー。  俺は心なしかフラフラした足取りで歩き、名古屋駅の入り口……、の端に有る電話コー ナーの前に立つ。詳しくはここが集合場所なのだ。  コーナーの前には……、夫婦らしき老人が2人。  少し早過ぎたのかまだ誰も来てない様だった、俺は息を整えながらも暫く待つことにす る。  やる事が無いので人通りでも見て時間を潰すとしよう。  俺はボンヤリと、急がしそうに目の前を通り過ぎていくサラリーマン、妙に化粧の濃い オバ(視線が合った)お姉さん、髪の長い雰囲気の湿った大学生に、その手を引っ張って いる外国人らしい元気そうな女の子などを見ていた。  流石に新名古屋駅だと様々な人が出入りしているので、暇潰しに見ているだけでも飽き る事は無い。  12,3分ほどそんな感じでボケ〜っとした顔で待っていただろうか?  そうしている内にやがて駅の階段を上って来る背が高い黒髪の大男が見えて来た、隣に 金髪の女の人も居るようだ。……かなり浮いていると言うか、目立っている2人組みだっ た。  俺はその2人とソックリな友人を、The WorldのPCとして知っていた。アーザスとセレ アさんだ。 彼らが自分の見ためを元にPCをデザインしたとしたら……、きっとこんな感じになるだ ろう。  2人はこの電話コーナーに向って歩いて来る、と言う事は、俺の予想は正しいみたいだ。  だけど、いざとなると少しだけ声を掛けるのが恥ずかしい気がした。  やはりリアルで会うと少し緊張してしまうのだろうか? 俺が声を掛けまいか少しだけ 迷っていると、そんな心配は無用とばかりに大きな声の挨拶がやって来る。勿論アーザス だ。   「おっす!! ウィールだな? 纏ってるオーラで一目瞭然だったぜ! うん、ちぃと背 が低いが確かにウィールだ!」  オーラって何だよ。  それと背が低いのは余計だ! 俺だってウィールより低いけど175有るんだ、アーザ スが高過ぎるだけだってっ!  一応突っ込むが初対面なので取り合えず口に出さない事にした。 「む……、正解。と言うかアーザスもセレアさんもオーラと言わずPCとソックリだね。す ぐ分かったよ」  実際違っている所と言えば服と瞳の色ぐらいじゃないだろうか?  でも、いくらThe worldがリアルなゲームだからと言っても所詮は1ドットの大きさが 決まっている世界での話。  リアルで見る二人は、言葉が変かもしれないがリアルだった。  生気が感じられる、とでも言うのだろうか? とにかくそんな感じだ。 「お早うございます、ウィールさん。アーサさんは……、まだ来ていないようね」  セレアさんはホントに染めているのだろうか? と思うほど長く綺麗なブロンドヘアー の女性だった。  白と空色を基準にした落ち着いた色合いのサマードレスが似合っている。  見た目も雰囲気もラフなアーザスと違って清楚な感じだ、アーザスが隣に居るので更に それが際立っている。  俺は恥ずかしながらも少しだけ見とれてしまうと、セレアさんの声を聞いてハッと思い 出す。   「そう言えば……、アーサはまだ来てませんね? 性格からして俺より早く来そうなのに」  今は、時計が9時8分を回った所だ。  そろそろ来てもおかしくない。 「どっかで迷ってるんじゃねぇのか? アーサはかなり方向音痴だったしよ」 「自分の住んでる町で迷子は……ない、……と思いたいけど」  アーサの方向音痴さを知っているから、ハッキリと否定できないのが悲しかった。  The Worldの中での話しなのだが、彼女はどうやったらそんな事が出来るのか、一本道 で迷子になった事がある。これはアーサしか出来ない芸当だろう。 それは恐らくリアルでも方向音痴なのだと言う事を意味する。  そう考えてみるとかなり心配になって来た、中一だって言ってたし。電車に乗るのは慣 れていないのかもしれない。 「と、とにかくもう少し待ってみよう。セレアさんの携帯にも連絡が無いみたいだし……」  もしも急用などで来れなくなった場合はセレアさんの携帯に連絡する事になっているの だ。  因みになんで企画者の俺ではなくセレアさんかと言えば、セレアさん以外何故か皆携帯 を持っていないからである。  今時携帯でクレジットカード代わりの買い物や改札口での料金支払いなどが当たり前と なっている中で、4人中3人が持っていないとはだいぶ珍しい。  そんな事を考えながら、俺達はだいぶ待った。  30分経過。  まだ来る気配がない。  これでは皆イライラとしてしまう……、と思うかもしれないが。  実際アーザスは駅前のマックでテリヤキバーガーを食べていてご機嫌だったし、俺とセ レアさんは彼女が用意して来てくれた紅茶を飲んでのほほんとしていた。  心配はしていたが、ここで特にイライラしてないのがまた凄い。  しかしこのまま待っていてもしもアーサが来なかったら、その時は置いていくしかない。  それは流石に嫌だな。 ギリギリまで待とう……。 更に30分経過。  ふーむ……、これ以上待っても無駄か……。  仕方ない、残念だけれど。 「アーサ、来ないみたいだから………」 「おっ、アレはアーサじゃねぇか?」 「えっ?」  俺はアーザスの言葉にハッとして、彼の目線を追いかける。  その先には電車が到着して出て来たらしい、大量の豆粒みたいな人間がウジャウジャと こちらに向って来る光景があった。通勤ラッシュと言う奴だろうか。  この中からアーザスはリアルのアーサの姿を見分けたらしい。コイツの前世は鷹か?  とにかく、俺達はアーザスの言葉を信じて暫く待った。 ……50秒ほど経つ。するとこちらに向って走ってくる女の子の姿が目に入る。  栗色の髪に青いワンピースを着た中学生くらいの女の子だ、慌てて走って来る様子から してアーサなのだろう。成る程、オーラを感じる。 「……お、遅れましたぁ! すいません!!」  ぜぇぜぇ、はぁはぁと息を乱しながら喋るその姿は、何となく自分がここに着た時の姿 を思い出させた。  咎める気など起きる筈も無い。 「俺たちも今来たところだよ、ってお決まりの台詞を言いたいところだけど。流石にそれ は無いか。……大丈夫、皆気にして無いよ」  アーザスもセレアさんも頷いて応えてくれる。  俺は自然と笑顔が浮かんできた。 「あ、有難うございます、良かったぁ……。間違えて鳴海まで行ってしまって、どうしよ うかと思ってたんですよ」  な、鳴海って……。  新名古屋と正反対の方向では……?(*6駅近く乗り過ごして気付いた様です)  乗り違えたとしてもここまで気付かないとは……、ある意味凄いな。  流石アーサだ。 「ま、まぁ、全員揃った事だし。改めて自己紹介をしようか?」  俺は咄嗟に話題を変えようと試みる。このままこの話していたら深みに嵌りそうだ。  その前に楽しい雰囲気に持っていかないと。  俺は気合を入れて自己紹介を始めた。 「俺はこっちでは浅野 猛(あさのたける)、皆改めて宜しく」  アーザスが『おう、宜しくな!』などと応えてくれる、それから連鎖式に皆口々に自己 紹介を始みていった。  そう言えばこれだけ改まって自己紹介した事は無かった気がする。そう思うとThe world で毎日会っているのに新鮮な感じがした。  俺の次はアーサの番と言う事になったみたいだ。  彼女は少し固い直立姿勢で自己紹介を始める。   「か、風鳴 仄花(かざなきほのか)です、宜しくお願いします!」 アーサ……、いや風鳴さんはだいーぶ緊張していた。電車を間違えた事をまだ引き摺っ ているのかもしれない。 まぁ、しょうがないかな。 「私はこちらでもセレアと呼んで貰えますか?」  別にOFF会だからと言って本名を明かさなければいけない訳じゃない、好きなようにす れば良いのだ。  と言うかセレアさんとアーザスは相違点が少ないだけにそのまま呼んだ方がシックリく る。  俺はすぐに頷いた。 「うん、分かったよ」 「有難う、今日は楽しみましょうね」  あくまでセレアさんは丁寧な口調で、そして優しげだった。  こうなると何でいつもアーザスと一緒に居るのか不思議でならない。 「同じくこっちでもアーザスだ、年はセレアと同じくして20歳、宜しくな! 猛! 仄 花!」  コイツは……、全く変わらないと言うか。 行き成りその逞しい腕を俺と風鳴さんの方に回すアーザス、相変わらず謎は多いがその 馴れ馴れしさ……いやフレンドリーな性格は変わらずなようだ。 と言うより感覚が有る分いつもよりも更に苦しい……、いや親近感が感じられる。  前向きに対処せねば。  首に手を回されて少し苦しかったのものの、風鳴さんの顔がすぐ近くにあったので思わ ず息を止めてしまった。  そして酸素不足に陥る自分。  ……風鳴さんの方は手加減されているらしく、苦しくはなさそうだった。  うーむ。    暫くして質問も終わり、どこかに行こうかと言う話の流れになってきた。  やっぱりずっと立ち話と言うのも難だ。 「じゃあ、メンバーも揃った事だしカ……」  いや、待てよ。  カラオケに行こうかと言い掛けたが、アーザスの声の大きさを聞いて俺は思いなおした。  もしかしてアーザスの歌声って……。  俺はそっとセレアさんの隣まで移動し、静かに小声で質問してみる。『アーザスは歌、普 通に歌えますか?』と。 ……………… セレアさんにアーザスの歌声がどんな物かと聞いてみたら『聞かない方が身の為よ』と 言う返答が帰って来た。  ………やはり。 寛大なセレアさんがそう言うのだから、アーザスの歌声は相当な物だろう。鼓膜が破れ る前に行かない事にした方が良さそうだ。 と言う訳で、 「えっと、これから喫茶店にでも行こうか? 安いとこ……良いところが有るからさ」 俺達は近くに有る喫茶店へと向った。  チリーン……、と言う風鈴の音と共に『いらっしゃいませー』と言う愛想の良い声が聞 こえて来る。  俺はここまで来てアーザスに気付かれないように、ホッと胸を撫で下ろした。  身の危険が多少減った、と。  俺達は一番手前の風鈴の近くにあるテーブルに腰を下ろした。俺とアーザスが隣同士、 風鳴さんとセレアさんが向いに据わっている。 皆思い思いの品物を注文する。 俺はミルクティー、風鳴さんは俺と同じ、セレアさんはホットコーヒー、アーザスは… …、まぁ色々と食べ物を。 と言った感じだ。  そして……、先ずはThe worldでの話から始まり、段々と会話が弾んでいく。  始めたばかりの時の話、全滅した時の悔しかった思い出、イベント中に電話がなって慌 てた話……。  やがて日常の事から学校での話など、色々な話が盛り上がっていく。  会話の種は何でも良いのだろう。 因みにアーザスの声はでかくてかなり目立った、けれど楽しかった事は間違いない。 皆で他愛も無い事を話す、アーザスがボケたり大げさな事をしたり、セレアさんが静か に鋭く突っ込んだり、風鳴さんが楽しそうに笑ったり。俺が犠牲になったり。 特別な事ではない、ただの会話をしていただけだ、……だけど。 こう言う『楽しさ』が、俺にとっての幸せかもしれない。アーザスに羽交い絞めにされ た挙句に強力な卍固めを極められながら、俺はふとそう思った。 宝くじで3億当てるのが幸せの絶頂なんだー! と思っていた一昔前の自分が酷く子供 染みて見えてならない。  苦笑が浮かんだ。 「明日はみんなでまたダンジョンに潜ろう!」  会話と言う、団欒と言う幸せは。 長く、長く続いた。  ただ、楽しかった。      翌日、俺はやっぱりThe Worldを立ち上げていた。 約束を果たす為に、これからも果たしていく為に。皆に会いたいから。 俺は………ウィールはカオスゲートの前に、黄金の輪に導かれて転送された。一日ぶり にウィールは世界へと降り立ったのだ。  酷く懐かしい気がする。 「こんばんは♪」 目の前には栗色のリボンを着けた剣士、風鳴さ………アーサが立っていた。  ニッコリと笑って立っている。 「よぅ! 昨日の卍固めは役に立っただろっ?」 「昨日は有難う御座いました、お陰でとても楽しかったわ」 アーザスと、セレアさん、この2人も変わらずに立っている。  そして2人とも笑っている。 「こんばんは」  ウィールも、俺も笑っている。 一昨日と違っている事は一つだけ。 少しだけ、俺はみんなの近くに立っている気がした。 ―――――――――――――――――――――――――――――― はっははははは! 今日もやっぱり遅れてますね! これはもう笑うしかない!! ……… さて、リアル版ウィール君のお話、お楽しみ戴けたでしょうか? 実際のOFF会とは少し(だいぶ?)違っていますが、気軽に楽しんで頂ければ幸いです。 それと少しでも笑って頂ければ幸福の絶頂です。 それにしてもウィール君、いや今回は猛君か。彼は書き易いですね。 前半からアクセル全開でギャグってますが、何だか凄く書いてて落ち着きます。 と言う訳で! 何だか最終回っぽい終り方でしたが、まだまだ彼のお話は続きますよ! 請う、ご期待!(笑)