叡智の大陸 『ソレイユ』

      この大陸では何処へ行っても魔法を見かけぬ日は無いだろう、それ程に魔法が一般的に活用されている地域である。

      国の方針により約400年前から村単位の細かさで陣術学校が設立されており、また同時に図書館もどんな小さな村であろうとも必ず一つは存在する。

      最高峰の魔力と知識を追い求めるが為に魔力無き物は入ることすら出来ない同盟の首都『ソレイユ』ともなれば、10人集まっても両手の指ではその数を数えられない。

      それ程に教育と研究に重きを置いた国の体制は結果的に国民間での魔法の普及と全体的な魔法技術向上を得る事に繋がった。

      それ故ソレイユ人の陣術士はどの国でも重宝され、また貴重な図書資料の貸し出しもソレイユに莫大な利益を齎している。

      慢性的な食糧不足と言う課題は知識を売る事で賄っているのである。

      また、その富を使ってラクナスから大規模な傭兵団を雇い入れており、機能的なシビリアン・コントロールも確立している。

      軍事力や治安の高さもこの大陸の誇る所である。 その信頼を背に、各国の魔法的遺物の管理や禁止魔法の管理もこのソレイユが行っている。

      ただ物的な交易は少なく、魔法関係以外の他国との交流も少なく、国民も国も入国者を若干嫌う傾向に有る。他国からは“気難しい国”と見られ勝ちである。

      この国は芸術面でも高い文化を持っている。元は魔法陣を上手く描く為に陣術学校で美術を教えた事が始まりとされているが、今では陣術とは別に独立した文化である。

      図書館についで貴族達の抱える美術館が多く、また才能が無い故に陣術士の道をを断念して画家などの芸術家を目指す者もある。

      ポウル・ロウのあまりに統一された町並みとは対照的に、この国の町並みは魔法陣模様を多く活用した個性的なものである。

      スクァイアも美術に関しては有名であるが、スクァイアの落ち着いた美術に対してソレイユの美術は純粋な美しさを求めていると言える。ある者は派手に、ある者は暗く…。

      現国王であるクインティン・ヴィスタ・オドソン・ルカリアン(30)は『ダイヤを幾千個集めてもその輝きには勝てない』と評されるほどの美しき王として有名である。

      究極の智を求めた先にあるものは、栄光か、破滅か、それとも人間如きには想像のつかぬものか…。