和睦の大陸 『ファーネル』

      この大陸は他の大陸と比べると最も平和で気候も落ち着いている。モンスターも比較的少なく、幾つかの地域には“楽園”と呼ばれる無出現地帯すらある。

      この暮らし易さの為ラクナスを始めとする各国からの移民者が後を絶たず、遂には移住規制を作るにまで至った事はこの大陸の有名な歴史である。

      『国の許可が無ければ移住してはならない。また入国は自由だが許可無き者の滞在期限は1年までとし、出国後一年間は入国を禁ずる』

      簡単に訳せばこう言う事だ。 そしてこの法律を守る為に300年前に設立されたのが『ファーネル管理機構』である。主に数少ない兵士で構成されている。

      一方世界の平和と和睦を進める機関として500年前発足されたのが『シュネー平和護衛騎士団』。こちらは主にシュネーの神官戦士と陣術医で構成されている。

      前者は政府が運営する団体であり、後者は主にシュネー教会の人間と民間の有志者が集まって構成されている。規模はシュネー平和護衛騎士団が上である。

      どちらも他国の軍隊と比べれば人数が少なく装備設備も悪い、しかしそれで十分過ぎるほどやっていけるのだから、この大陸のお国柄が羨まれるのも無理は無い。

      人々の人柄も穏やかで優しい人が多く、一見非の打ち所も無い地域に見えるが、実はそうでもない。

      この大陸は平和過ぎ、不自由が無さ過ぎた故に文明が発展する速度が遅く、最先端を行くシャングと比べれば文明に100年の開きがある。

      また人々の危険に対する関心も薄く、軍事力が弱体化傾向にある。

      この大陸の周りには激しい海流が有り、港への航海ルート以外では遭難する可能性が高い事は大きな防御力になっている。

      『港さえ固めてしまえば万一ラクナスが攻め込もうとしても大丈夫だ、ポウル・ロウと協定を結んでいるから攻め込まれても港で時間さえ稼げれば何とかなる』

      そんな考えが強いのである。 現評議院長(ファーネルは共和国)であるマール・ミスラス・フェイニス・ファーネル(41)はこの事態を憂いてはいるが、

      現状が平和だけに人々の関心を集める事ができず有効な政策を打ち出せずに居る。
      (補足、名前が4つあるのは王族のみであり、貴族は3つ、平民が2つ、奴隷が1つである。ただエルフやグラスランナーなどは独自の文化がある為例外となる場合も有る)

      しかし。文明は進歩し、情勢は変化する物である。 油断があれば必ず歯車は狂う。