灰色に染まりし大陸 『ラクナス』

      この大陸は他の大陸と比べて明らかに人口が少ない。ポウル・ロウと比べ凡そ3分の2と言う数である。

      何故そこまで少ないのか、その原因は天災や気候などといった物ではない。 

      人々が絶え間なく巻き起こす戦乱によって毎日日常茶飯事の如く多数の死者が出るため、この大陸は極端に人口が少ないのだ。

      他の国のように決まった王族が国を治めている訳ではなく、現在最も大きい軍事力を持っている人物が国の代表として『王を名乗れる』と言う特殊な風習が有る。

      この大陸で主に信仰されている神、“人の闘争心”を司る軍神ウェルオスの『抗う』教えの影響だと言われているがそれは定かではない。

      現在の統合王は元自由傭兵団の団長である『フアラルト・エレベィティド(32)』と言う屈強な男である。

      1年前の騒乱の霧で王になったばかりだが、統治の難しいラクナスに早くも支配体制を確立させていると言う天才的な政治手腕を持っている。

      これら事から、この国の戦闘に関する歴史の深さは誰もが良く知る事柄である。

      『ラクナス人と喧嘩はするな』このことわざが多くの地域で使える事からも分かる事だが、この大陸の人々の戦闘に関する知識・技術・能力の高さは普遍的なものがある。

      遺伝的に身体能力が優れている場合が多いとも言われているが、それはきっとこの大陸では弱い者は子を儲ける前に死にゆく定めなのだからだろう。

      死が多いために負の感情が高まりやすいのか、不死者(アンデット)や霊(ゴースト)と言ったタイプのモンスターが多く出現し。またそれらに関する遺跡やダンジョンも多い。

      正に灰色と言える鬱々とした大陸ではあるが、人々の生命力の強さはどの国よりも輝いているのかもしれない。

      闘技場やギャンブルと言った娯楽の数もこの大陸は世界最大である。

      また、国花である『エニシ』の花は花弁一枚が20cmも有る大きな白い花で、ラクナス内で数十年間戦争が無かった地域にのみ咲くと言われている。

      この花は世界中に平和の象徴として知られており、童話や伝説に何度と無く登場する美しい花である。この国に咲くのは皮肉のようだが、正に必然ではないだろうか。