裁き裁かれし大陸―『ポウル・ロウ』

      今やこの国の聖なる都と言うイメージは誰もが知る所だろう。

      六大陸の中で最も信仰心が厚い国であり、またその信仰心の厚さが最も大きな国色となっているのがその理由である。

      白神と名高いセルト・アルを主神として崇め、国民の間ではその白神の意に従い“己は潔白な人間として有るべし”と言う考え方が強い。

      また、セルト・アルの司る“人の正義心”の象徴として設立された騎士団、同名の首都ポウル・ロウの『ポウル・ロウ騎士団』は世界最大規模であり。

      その中の第一騎馬大隊所属第一遊撃部隊…通称『白騎士隊(ホワイトナイツ)』の白馬を駆る勇姿は、この国のみならず世界の少年と少女の憧れと言えよう。

      首都だけでなく、この騎士団は大陸内の各国に騎士を派遣してこの大陸全ての国を守護している。

      ……が、ただ一つだけ例外が有る。 大陸南西部に有るエスト帝国である。

      かの国はポウル・ロウ騎士団の中の元第二歩兵大隊……現在では『侵略派』と呼ばれる過激な正義を訴える派閥が50年前に闘争の果て騎士団から分離し、

      本隊の追撃を打ち破って逃げ延びた挙句行き着いた先のエーメと言う国を侵略して打ち立てられた国である。

      国土は広いものの痩せていて収穫の少ない地であったが、元第二歩兵大隊隊長であるグロ−ダの天才的な圧制により現在は強力な軍事国家となっている。

      『他国から奪わなければ己が死ぬ、そして人が生きようと思う心は正義なり』、グローダは正義をそう語る。それは現エスト帝王のグローダ2世も同じである。

      この内戦の火種と、建国当初より信教の対立によって不仲だったラクナスとの戦争の火種。

      長きに渡るポウル・ロウの厳粛な平和は二つの爆弾を背負いながらの物であった。