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History Members 三国志編 第0回
「すべてはここから始まって……現在に至る」

F「じゃぁ、今年のお正月はアキラがいないので、新年のご挨拶用の講釈を先にしてしまっておく」(注1)
A「すまないねぇ、ねーちゃんがいてくれたらそんなことにはならなかったのに……げほげほ」
Y「ムダにボケるな」
F「だよ。えーっと……『History Members 三国志編』というのが正式名称になる。普段から略してるが」
Y「三国志編、なんだよな」
F「他の時代、他の国の人物でも、ある程度は講釈できるつもりだから、たとえば"次"で『蒼狼暦・全国版』をしでかして、何年かかかって終幕したら『History Members 蒼狼暦編』でやりのこしたことをフォローする、というのもできる。時系列の流れを追う講釈の補足、みたいな位置づけにしたいところでこんなタイトルにしてあるワケだ」
A「時系列ではフォローしにくい人物やイベントのフォロー担当、か」
F「まぁ、『蒼狼暦』なら『蒼狼暦・武将風雲録』の方がタイトル的にしっくり来る気もするが、その辺はおいといて。一方で、講釈するつもりも予定もない時代、の人物について語りたくなったら、いきなり『HM 清朝終焉編』と銘打って曽国藩について10回シリーズで語り出す、なんて真似も僕ならやりかねないワケだ」
A「……だれ?」
Y「知らんなら知らんでいい。つーか、それやるくらいなら、先に西遊記やろうぜ」
F「三蔵法師はともかく、西遊記そのものは好かんのだよ。そんなわけで、三国時代ではない人物への講釈は、少なくとも三国志編の段階ではやりにくい。が、三国志関連の人物なら、たとえ現代人でも取り上げて問題はないと思う」
A「お前に講釈されてユカイな現代人っていないと思うが……」
F「僕の耳は、きょうは安息日だ。というわけで『HM』三国志編第0回は、安達香理について」
A「誰だよ!?」
F「ググれって云っただろうが。出ないのは確認済みだが」
A「……昔、云われた記憶はあるな。いつだっけ?」
Y「84回だったか……? ネタで振っといて俺もそのまま忘れてたが、まさか取り上げるとは」
A「何者なんだ? 音からして日本人だろうけど、有名ならググって出るだろうし」
F「むかし、それも社名が光栄だった当時なんだが、現コーエーから『スーパーリプレイ三國志』『マルチプレイ三國志』というのが出ていてな。『マルチプレイコレクション』と銘打たれているが、他に出ているかはよく判らん。ともあれ、それに登場するキャラクターだ。ちなみに、『スーパーリプレイ』は94年発行」
A「……まだ、アキラやねーちゃんが、お前らが出会ってなかった頃だな」
Y「姐さんが生きてた時分だからなぁ」
F「だな。発掘してきたンで、ちょっと引用してみる」

香理:わたしの番ね。よし公孫瓚を攻める! こんどはみんな訓練度100よ。……あ、こんどは歯が立つ!
 ――それだけ軍備を整えればあたりまえだ。
香理:郭図の首を斬った!? ざまみろー! 突撃よ突撃よ公孫瓚に突撃よ。首を斬った!? やったぁ!
晴美:このゲームってひょっとして性格すさむんじゃない?
祐二:うん、そうだね。ナイス突っ込みだよ晴美くん。
(前掲書74ページより。なお、先に公孫瓚を攻めるも郭図の寝返りで顔良・文醜が敗走している)

A「……初心者?」
F「うむ。この2冊は、光栄(当時)の三國志シリーズのコンシューマ版を、本来の天下統一という目的によらず別ルールを作って、中学生4人がマルチプレイする、というもののリプレイ集だ」
A「えーっと……マルチプレイって?」
F「通常、SLGはひとつの国や群雄を選んでプレイするな。だが、コーエーになってからはできないものが多いが、三國志シリーズの早い頃は、複数の君主を選んでそれぞれプレイできたンだ。ために、君主数が少ない場合は『全員選ぶ→曹丕から劉備・孫権・孟獲に使者を送り、降伏させる→即エンディング』というのが可能(注2)だった」
A「劉備に降伏させようよ……」
F「誰でもいいンだが、複数の君主を選べるということは、つまり、複数のプレイヤーでも遊べるということでな」
A「……あー」
F「ところが、それは凄まじく困難だ。何しろ相手はCPUじゃなくてニンゲンだから、とてもじゃないがクリアまで持っていくのは難しい。祐二くん曰く、兄と『一週間やって決着つきませんでした』とのこと」
A「そりゃ、お前や義姉さん相手の対戦プレイなんてやりたくないよ……」
Y「俺はむしろ、お前らが潰しあっているのを見せてほしいところだがな」
F「というわけで、天下統一というゲーム根本のものとは別の勝利条件とルールをもうけて(注3)、それに沿ってプレイする様子、のリプレイ集なワケだ。香理ちゃん・ベテランの祐二くんの他に、場所提供の晴美ちゃんとルール作成係の道治くんが出てくるが、この香理ちゃんが『三国志ってどんな話だっけ』とブチかます初心者でな」
A「お前級の奴がその場にいたら蹴られるな」
F「投げ飛ばしてやってもかまわんぞ。ために、初期のシナリオでは国力・人材ともに豊富な袁紹を選んで、コーソンさんに苦戦したり負けたりするさまが面白おかしく書かれているワケだ。ちなみに2冊で7プレイだが、祐二くん3勝、晴美ちゃん2勝、道治くん1勝、ノーゲームひとつで、香理ちゃんは無勝全敗」
A「それでもむきになって袁紹を選び続ける、と」
F「だな。三國志のZと[は、それまでの群雄単位でのプレイではなく、ひとりの武将を選んで乱世を生き抜く、リコエイションゲームに近いものだが、それのもとになった(と思われる)リプレイが『マルチプレイ』に収録されている。晴美を劉備に他3人が関・張・子竜でプレイしているンだが、コレを除くと6戦全部袁紹でプレイして負けてるから」
A「どこまで袁紹が好きなんだよ」
Y「というか、これがどうしたと云いたい。わざわざこの場で一回を割くほどのネタじゃないぞ」
F「ところで、と云おうか。この『スーパーリプレイ三國志』『マルチプレイ三國志』の2冊がなければ、『私釈』は成立しなかった、と」
Y「……何を云っとるのか、お前は」
F「本当だよ。ブランドー一家、おーぷん」

GM:君たちは旅をしていて、小さな村に辿りついた。日が暮れかけてきた今、酒場で休んでいる。そこに、がらの悪そうな連中が五、六人入ってきた。連中は酒場の看板娘にいやらしい言葉を投げかけ、困らせて楽しみ始める。
A:それはよくないなあ、よし、ちょっと注意してやろう。
B:よせよせ、そんなことして怪我でもしたら、ばかみたいじゃないか。無視してようぜ。
A:何を言うんだ。それでは正義の味方の名がすたる。
B:正義の味方を気取りたがっているのはお前だけだろ?
C:……。ねえ、看板娘って美人かな?
GM:美人だよ。
C:ごろつきの身なりはどんなふう?
GM:薄汚れた革鎧に、ショートソードだね。
B:盗賊っぽいじゃないか。盗賊ギルドは怖いんだぞ。
C:わたしにだって盗賊ギルドの後ろ盾はある(笑)。こいつら、大した連中じゃなさそうだし、"正義の味方"しよう。
 『おい、兄ちゃんたち、人の迷惑はやめておけ』
A:それは俺の台詞だぞ!
B:僕は他人のふりしてるからね。
GM:でも、同じテーブルについてる以上、向こうはそう思ってくれないんじゃないかなあ(笑)。『何だ、俺たちブランドー一家に文句をつけるとはいい度胸じゃねえか』ごろつきのなかでもとくに悪そうなのがすごんでみせる。
B:あ〜あ、もめごとになっちまった。
A:望むところさ。

F「通常、リプレイというものはこういう形式で書かれる。プレイヤーがキャラクターを演じる姿が、だな。対してこの2冊では、プレイヤーはいても表には出てこず、ひたすら香理ちゃんたちという4人のキャラクターが出ている(注4)。さて、うちはどうか」
A「云ってしまえば、プレイヤーがプレイヤーのまま……だな」
F「演じているワケじゃないからリプレイとは云えないが、僕が自分のサイトを作ろうと考えたときに、真っ先に思いついたのがコレなんだ。プレイヤーがプレイヤーのまま語りあうもの。キャラクターがキャラクターのままというのがあんなに面白かったンだから、僕たちが僕たちのままだったらどうだろう、とな」
A「それがどれだけ楽しいのかは、実体験で知ってるからなぁ」
Y「楽しんでたのか、お前!?」
F「そこで驚くか、泰永!? ……確かに『HM』三国志編でやるべきことだったかは疑問だが、香理ちゃんについて、一度は必ず触れねばならなかったンだよ。僕たちが、僕が、こういうかたちでの講釈を続けているひとつの理由。それが、楽しすぎた先人の存在だ」
A「……発掘してあるンだよな?」
F「出してあるからあとで読むといい。というわけで、語り部と相方の対話形式で展開する三国志ばなしが成立したのには、そんな元ネタがあった、というオハナシでした。なお、件の二冊は探してもめったに見つからないとは思いますが、全面的にお勧めする逸品ですので、古本屋などで見つけたら入手されるのがよろしいかと」
Y「当方は、版元および作者とは一切関係がありません」
F「続きは次回の講釈で」



注1 講釈日は昨年12月6日。
注2 三國志Vでのオハナシ。ちゃんとプレイした場合では、Wの曹叡で9ヶ月というのが記憶にある最短クリアになる。
注3 たとえば「ゲーム内1年で領土をいちばん増やしたプレイヤーの勝ち」や「1年間、董卓のプレイヤーは洛陽と長安を維持する、他プレイヤーは期間内に董卓を倒すか洛陽・長安のどちらかを攻略する」などなど。
注4 明記はないが、たぶん、道治役は楊泥王の、祐二役は趙熾炎のプレイヤー。


安達香理(あだち・かおり)
生没年不詳(94年時点で中学2年生と思われる……あ、同い年だ)
武勇1智略1運営1魅力2
『スーパーリプレイ三國志』『マルチプレイ三國志』出演の創作キャラクター。
よくよく読むと、敗因にはキャリア不足より運のなさが目につく。

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