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分布:本州、四国、九州、伊豆諸島、南西諸島全域。 国外では朝鮮半島南部、中国大陸南部、台湾、フィリピンに分布する。県内では全域に広く分布するが、北部では少なく、南部の丘陵地帯に多い。
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樹幹:灰褐色。若木の樹皮には鋭い棘を密生するが、老木ではこれがコブ状の突起に変わり、ゴツゴツする。幹は直立する。 |
枝葉:大型の奇数羽状複葉で、長さは30㎝~80㎝。葉軸は明瞭で翼などはなく、互生する。小葉は19枚~33枚程度で、小葉柄は明瞭。長さ5㎝~15㎝の広披針形。基部は丸く、先端は鋭く尖る。比較的顕著な羽状脈をもち、脈端は側縁に達する。側縁は微細な鋸歯があり、わずかに波打つ。洋紙質で、表面は鈍い光沢をもち、裏面は粉白色。葉や若枝にはサンショウのような芳香はないが、やや脂っこい臭いがある。若枝や葉柄の基部には、鋭い棘が密生し、他のサンショウ類のように整然と並ぶことはない。 |
花:単性の虫媒花。花期は7月~8月で、葉の萌芽より遅い。当年枝の先端に散形花序を出し、黄緑色の花を多数つける。花弁と萼片は5個。 |
果実:分離果(2裂)。直径6㎜~7㎜の楕円状球形で紅紫色、他種と違って熟しても裂けず、一部は房ごと落下する。落下した果実は乾燥すると裂けて種子を出す。種子は直径6㎜~7㎜の球形。黒紫色で硬く、光沢をもつ。動物散布型で、鳥類が主だが、落下したものを小型齧歯類が貯蔵することがある。 |
増殖法:実生が可能。 |
保護:人間にはほとんど利用されていない。 |
その他:遠目に見るとニガキ科のシンジュ(ニワウルシ)に似るが、これには樹皮に棘や瘤はないので近寄れば簡単に見分けられる。 |