イヌガシ

犬樫

(クスノキ科 イヌガシ属)

　雌雄異株の常緑小高木｡高さ10ｍ程度になる｡｢カシ｣と呼ばれるが､ブナ科のカシ類の仲間ではない｡マツラニッケイとも呼ばれる｡温帯性常緑広葉樹林や遷移林で亜高木層に混生することが多い｡

	分布：本州(千葉以西)､四国､九州､南西諸島全域｡国外では朝鮮半島､台湾に分布する｡県内では全域に分布し､極相林に普通に見られるほか､遷移林や人工林には若木や幼木が多い｡
	樹幹：灰黒色で表面に多くの皮目をもつ｡幹は直立する｡
	枝葉：単葉｡葉柄は明瞭で､葉は枝先に輪生状につく互生｡長さ５㎝～12㎝の倒卵状長楕円形で先端は鋭く尖る｡顕著な三行脈をもち､側脈はいずれも葉縁に達しない｡葉縁は全縁｡薄い革質で､表面には光沢をもち､裏面は粉白色｡成葉の寿命は通常２年程度である｡
	花：単性の風媒花｡花期は３月～４月｡葉腋から散形花序を出し､暗紅色の小さな花が３個～９個程度つく｡花被片は４個｡一般に雄花は雌花より大きい｡
	果実：漿果(単漿果)｡黒紫色で長さ１㎝程度の楕円形｡10月～11月に熟す｡動物散布型で鳥類が主｡
	増殖法：実生､挿し木､取り木(高取)が可能｡実生は発芽率がやや低い｡
	保護：指定されていない｡
	その他：庭木､建築材､器具材､薪炭材として利用される｡

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