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分布:本州(関東南部以西)、四国、九州。国外では朝鮮(斉州島)に分布する。県内ではほぼ全域に汎く生育するが、野生の個体は県央部~南部に多いが、県内のものはすべて植栽起源と考えられている。極相林のほか、遷移林や二次林に若木や幼木が多い。都市部では植栽されたものを多く見かける。
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樹幹:灰褐色。樹皮は縦に短冊状に裂ける。幹は直立するが、太い枝をバランスよく分け、丸みを帯びた端整な樹形となる。 |
枝葉:単葉。葉柄は明瞭で、葉は互生する。長さは最大で12㎝程度の卵形もしくは楕円形で基部は幅広の楔形、先端は尖る。顕著な三行脈をもち、側脈は葉縁に達せず、二次以降の側脈は不明瞭である。葉縁は全縁で若干波打つ。成葉の寿命は通常2年程度である。 |
花:両性の風媒花。花期は5月~6月。葉腋から円錐花序を出し、直径5㎜程度の小さな花を多数つける。花被片は6個で内面に微毛をもつ。 |
果実:漿果(単漿果)。黒色で直径9㎜前後の球形。9月~11月に熟す。動物散布型で鳥類が主。 |
増殖法:実生、挿し木、取り木(高取)が可能。実生は発芽率がやや低い。 |
保護:種としての指定はないが、各地で天然記念物などに指定されている巨樹が多い。県内では富津市東大和田の「環の大樟」が県指定、香取郡神崎町に所在する神崎神社境内の「神崎の大楠」が国指定の天然記念物となっている。 |
その他:中国では樟とよび、かつては樹液から衣類の防虫剤である樟脳をとった。 公園樹や街路樹として植栽されるほか、材は建築材、家具材、船舶材、彫刻材として利用される。 |