オオバヤシャブシ

大葉夜叉五倍子

(カバノキ科 ハンノキ属)


 雌雄同株落葉小高木。高さ5m~10mになる。和名は葉の大きいヤシャブシの意。海岸近くの土壌を多くもつ山地斜面や崩壊崖地などに多く、このような環境における先駆種でもある。本種も空中窒素の固定能力をもつため、崩壊崖地や斜面の緑化に利用されることもある。


分布:本州、八丈島。本州では東北南部(福島)~紀伊半島の太平洋沿岸地域にのみ分布する。県内では沿海域の崖地や山地に散発的に自生するが、鋸山の斜面部でやや大きな群落が認められている。

樹幹:灰褐色 。樹皮には皮目があり、不規則に浅く剥がれる。幹は低い位置から多くの枝を分け、株立ちする。
枝葉単葉。葉柄は明瞭で葉は互生する。長さ10㎝程度の卵形もしくは三角状卵形、基部はやや丸く先端はやや鋭く尖る。顕著な羽状脈をもち、側脈は葉縁に達し12対~16対。葉縁は鋭い重鋸歯がある。薄い革質で、表面には鈍い光沢をもつ。晩秋に黄葉する。枝は上を向き、若枝は灰褐色。
単性風媒花。花期は3月頃で萌芽より早い。雄花序は弓形に曲がったやや太い長さ4㎝~5cmの尾状花序で、開花すると淡黄緑色になる。前年の葉腋から1本ずつぶら下がる。雌花序は雄花序より上の葉腋に1個~2個つき、上を向く。
果実小堅果が多数集まったストロビルと呼ばれる集合果。長さ3㎜~4㎜の長楕円形。果穂は長さ2.5㎝程度の広楕円形で木質。風散布型
増殖法:不明。
保護:種としては指定されていないが、本種の群落は千葉県レッドデータブックで保護上重要な植物群落に指定されている。
その他:砂防林や緑化樹のほか、果穂から染料をとる。

若葉 雄花序 若い果穂

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