ケヤマハンノキ

毛山榛の木

(カバノキ科 ハンノキ属)


 雌雄同株落葉高木。高さ20m程になる。和名は山地に自生し、若葉の表面にビロード状の毛が多いことに由来する。落葉広葉樹林に散在的に自生し、純林を作ることはない。近似種のヤマハンノキに酷似するが、本種の若枝と葉の裏には黄褐色の毛が密生するので区別は難しくない。本種も根粒に放線菌を共生し、空中窒素を固定する能力を持つ。


分布:北海道、本州、四国、九州。国外では朝鮮半島、ロシア沿海州、中国大陸東北部に分布する。やや山地性の傾向を示す。県内では房総丘陵を中心に、水はけのよいやや湿った斜面地に自生するが個体数はあまり多くない。

樹幹:黒褐色。樹皮は大小の灰色の皮目がある。幹は直立する。
枝葉:若枝は灰褐色で微毛を密生する。単葉。葉柄は明瞭で葉は互生する。長さ13㎝程度の広楕円形もしくはやや円形、基部は鈍円形もしくは浅心形とな り先端は尖る。比較的明瞭な羽状脈を持ち、側脈は葉縁に達し7対~9対。葉縁は浅い欠刻状の重鋸歯がある。薄い革質で、若葉の表面にはビロード状の軟毛を密生するが後に脱落する。裏面主脈基部には黄褐色のビロード状軟毛を密生する。晩秋に黄葉する。
単性風媒花。花期は4月頃で萌芽より早い。雄花序は長さ7㎝~9㎝の柄を有する尾状花序で、開花すると淡黄褐色。枝先やすぐ下の葉腋から2本~4本ぶら下がる。雌花序は雄花序下部の葉腋に1個~5個 つき、上を向く。
果実翼果状小堅果が多数集まったストロビルと呼ばれる集合果。長さ3㎜~4㎜で両側縁にごく狭い翼を持つ長楕円形。果穂は長さ2.5㎝程度の卵状楕円形で木質,。風散布型
増殖法挿木?。現在試行中。
保護:指定されていない。
その他:空中窒素固定能力により、ヤマハンノキと共に崩壊斜面地などの緑化に利用された。

壮年木 壮年木の樹皮 若い雄花序

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