直翅目/バッタの仲間

( Orthoptera )


 ほとんどの種の後脚は著しく発達し、その脚で飛び跳ねるように飛ぶことから「跳躍目」とも呼ばれる。また、「直翅目」とは後翅の翅脈が直線的であることに由来する。人間生活に密接な関係を持つ種が多く、俗に「飛蝗」と呼ばれる群生相のバッタの大群は、アジア内陸部やアフリカなどでは現代においてもたびたび発生し、飢饉の代名詞として恐れられている。またわが国では、キリギリス類やコオロギ類は秋の風物詩として、古代から数多くの詩歌に詠みこまれてきた。
 翅は膜質で、使用しないときは扇状に畳まれる。体は円筒形でやや細長く、咀嚼型の大顎をもつ。例外なく陸生だが、水面に落下しても器用に泳ぐことができる。夜行性の種では複眼は小さく、昼行性の種では大きく発達する。一般に単眼は発達する。極地と寒帯を除く全世界に分布し、特に熱帯〜亜熱帯地域に種数が多い。これまでにおよそ20,000種が知られているが、未記載種も少なくない。他の昆虫目と比較して、目全体における中型種〜大型種の割合が大きいのも本目の特徴である。
 大きくバッタ亜目(Caelifera)、キリギリス亜目(Ensifera)の2亜目に分けられる。バッタ亜目では触角が剣状もしくは棍棒状で短く、発音習性を持つ種は後脚と前翅をこすり合わせて音を出す場合が多い。一方キリギリス亜目では触角は糸状で長く、 しばしば体長を超える。発音習性をもつ種は左右の前翅基部をこすり合わせて音を出す。聴覚器官(鼓膜)は前者では腹部第1節、後者は前脚脛節にある。食性は様々だが、一般に前者は例外なく食植性、後者が捕食性もしくは雑食性の傾向が強い。卵−幼虫−成虫という成長過程を持つ不完全変態の昆虫群である。


日付の後にがあるものは写真と解説があります。

バッタの仲間(Caelifera)
バッタの仲間 おなじみのバッタの仲間。バッタ科、オンブバッタ科、ヒシバッタ科、ノミバッタ科を含む。 2007/11/05
キリギリス・コオロギの仲間(Ensifera)
キリギリスの仲間 肉食性の種が多い。広義のキリギリス科、コロギス科、カマドウマ科を含む 2006/11/20
コオロギの仲間 秋の虫の代表格。雑食性の種が多い。コオロギ、カネタタキ、ケラの3上科を含む。 2007/11/05
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