イエバエの仲間

( Cyclorrhapha / Schizophora / Calyptrata / Muscoidea )

　双翅目のうち触角が短い短角亜目(Brachycera)に分類され､別に示すハナアブ類など無額囊群と共に環縫群(Cyclorrhapha)を構成する｡環縫群は羽化の際に蛹の上部が環状に裂けるグループで､広義のハエの仲間である｡有額囊群(Aschiza)は頭部に半月溝をもち､羽化の際に額囊を膨出させるグループで､無弁翅類､有弁翅類に分けられる｡有弁翅類(Calyptrata)は胸部鱗片がよく発達することに由来する｡触角第２節の縦溝と後肩剛毛を有し､中胸節縫合線は完全で､腹部気門は背板下部に開口するという特徴を持ち､大きく３上科に分けられている｡ここで扱うイエバエ上科(Muscoidea)は６科に分けられ､そのうちイエバエ､ヒメイエバエ､ハナバエ､フンバエの４科の種が県内で記録されている｡いずれも大型種が多く､いかにもハエらしいハエである｡
　イエバエ科(Muscidae)は人家の周辺で発生する種が多いことに由来する｡前胸部に腹板をもち､口吻が針状でなく､小顎肢で包まれない｡幼虫はキノコ類などで発生したり捕食性の種もあるが､大多数は人畜の排泄物や腐敗有機物で発生するため､このような種はさまざまな病原体を媒介する衛生害虫として警戒されている｡全世界で100属3,000種以上､国内では198種が知られる｡ヒメイエバエ科(Fanniidae)はイエバエ科に似るがやや小型である｡幼虫は人畜の排泄物中で発生するが､比較的外皮が硬く､多数の突起を持っており､通常の蛆とはやや形状が異っており､毛虫状である｡国内には47種が知られる｡ハナバエ科(Anthomyiidae)は成虫の多くが各種の花に集まることに由来するが､一部に捕食性の種がある｡中胸部の下側と翅側の剛毛を共に欠くが､通常腹部の剛毛が多い｡幼虫は人畜の排泄物で成育するものもあるが､植物に穿孔して内部を腐敗させながら食い進むため､農業害虫とされるものがある｡全世界で50属1,000種程度､国内では202種が知られる｡フンバエ科(Scathophagidae)は多くの種の幼虫が人畜の排泄物で成育することに由来するが､食植性で生きた植物体に穿孔する種や捕食性の種もある｡複眼は大きいが♂♀共に左右が離れている｡腹部はやや細長く､胸弁は前胸弁より長くない｡成虫は捕食性の種が多いという｡全世界で50属400種以上､国内では10種が知られる｡

現在日本で土着が確認されているイエバエ類は**種｡
そのうち下記の72種が千葉県で記録されている｡

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