キボシアシナガバチ

黄星脚長蜂 (スズメバチ科)


巣の手入れをする女王 ヤブガラシで吸蜜する働き蜂
2005/5/21 千葉市緑区 2002/7/6 千葉市緑区
キボシアシナガバチ (スズメバチ科 アシナガバチ亜科)
Polistes mandarinus  Saussure, 1853
分布 国内: 北海道、本州、四国、九州。平地~山地まで汎く分布する。島嶼では対馬、種子島、屋久島で記録されている。
県内: 一部の市街地を除き、汎く全域に棲息する。
国外: 朝鮮半島、中国大陸に分布する。
変異 形態: 地理的変異は知られていない。個体変異も軽微。
季節:
性差: ほぼ同型。触角は♂が♀よりやや長く、♂は暗色となる。
生態 環境: 各樹樹林の林縁、公園、社寺境内、畑地、人家の庭など。
発生: 年1回。女王は5月中旬に活動を開始し、働き蜂は7月~9月、♂は新女王とほぼ同時で、8月下旬~9月中旬に見られる。
越冬: 成虫(女王)。朽木の樹皮下や砂地の崖などで単独越冬する。
行動: 昼行性。活動は比較的活発で、飛翔は敏速。攻撃性は比較的強いが、巣を刺激しない限り刺しにくることはない。真社会性昆虫で、巣は1頭の女王と多数の働き蜂、秋季に出現する♂で構成される。越冬からさめた女王は盛んに吸蜜して体調を整えると、営巣にかかる。巣材は主に植物の茎や表面の毛などだが、創設期のものは枯れた植物体や樹皮などを用いることもある。巣は発達期に入ってもあまり育房数を増やさず、営巣規模は少ないもので30房、最大でも120程度である。蛹の繭は鮮黄色で、野外でも比較的目立つ。
食性 幼虫: 肉食性(養育)。鱗翅目幼虫などの昆虫類が主で、他には小型のクモ類などがある。外役のハチにより肉団子にされたものを与えられて育つ。
成虫: 食植性/花蜜。多くの花を訪れるが、春季にはノイバラやウツギ、イボタノキ、夏季にはヤブガラシなどを利用することが多い。
類似種: 同属のコアシナガバチに似るが、本種は前伸腹節が黒褐色。
保 護: 指定されていない。
その他: 普通種だが個体数はそれほど多くない。
天敵 捕獲: 成虫はヤンマ類やオオカマキリ、チョウセンカマキリ、ムシヒキアブなどの大型捕食性昆虫のほか、造網性クモ類。また、巣は時折大型スズメバチ類の襲撃を受ける。
寄生: 幼虫はメイガ科シマメイガ亜科のウスムラサキシマメイガやヒメバチ科の一種、ヤドリバエ科の一種(Euvespivora sp.)など。


コアシナガバチ

小脚長蜂 (スズメバチ科)


フタトガリコヤガの亜終齢幼虫を捕らえた働き蜂
2005/7/3 千葉市緑区
コアシナガバチ (スズメバチ科 アシナガバチ亜科)
Polistes snelleni  Saussure, 1862
分布 国内: 北海道、本州、四国、九州。平地~山地まで汎く分布する。島嶼での記録はない。
県内: 市街地を含め、汎く全域に棲息する。
国外: 朝鮮半島、中国大陸に分布する。
変異 形態: 地理的変異、個体変異共に知られていない。
季節:
性差: ほぼ同型。触角は♂が♀よりやや長く、♂は暗色となる。また♂の頭盾は鮮黄橙色で円形に近い。
生態 環境: 各樹樹林の林縁、公園、社寺境内、畑地、人家の庭など。直射日光の当たる明るい場所を好み、都市部周辺にも適応している。
発生: 年1回。女王は5月に活動を開始、働き蜂は6月~9月、♂は新女王とほぼ同時で、8月~10月中旬に見られる。
越冬: 成虫(女王)。朽木の樹皮下や砂地の崖などで単独越冬する。
行動: 昼行性。活動は比較的活発で、飛翔は敏速。攻撃性は比較的強く、巣を刺激すると追いかけて刺しにくる。真社会性昆虫で、巣は1頭の女王と多数の働き蜂、秋季に出現する♂で構成される。越冬からさめた女王は盛んに吸蜜して体調を整えると、営巣にかかる。巣材は主に植物の茎や表面の毛などだが、創設期のものは枯れた植物体や樹皮などを用いることもある。巣は発達期になると柄を基点として一方向に伸びる舟形となる。アシナガバチ類では営巣規模は比較的大きく、少ないもので50房、最大で500程度になる。蛹の繭は灰白色で、巣とほぼ同様。
食性 幼虫: 肉食性(養育)。鱗翅目幼虫などの昆虫類が主で、他には小型のクモ類などがある。外役のハチにより肉団子にされたものを与えられて育つ。
成虫: 食植性/花蜜。多くの花を訪れるが、春季にはノイバラやウツギ、イボタノキ、夏季にはヤブガラシなどを利用することが多い。
類似種: 同属のコアシナガバチに似るが、本種は腹部第1・3・4節に鮮黄色斑紋を持つ。
保 護: 指定されていない。
その他: 普通種で個体数も多い。
天敵 捕獲: 成虫はヤンマ類やオオカマキリ、チョウセンカマキリ、ムシヒキアブなどの大型捕食性昆虫のほか、造網性クモ類。また、巣は時折ヒメスズメバチやオオスズメバチなど大型スズメバチ類の襲撃を受ける。
寄生: 幼虫はメイガ科シマメイガ亜科のウスムラサキシマメイガやヒメバチ科の一種、ヤドリバエ科の一種(Euvespivora sp.)など。


セグロアシナガバチ

背黒脚長蜂 (スズメバチ科)


ヤブガラシで吸蜜する働き蜂
2002/10/5 千葉市緑区
セグロアシナガバチ 原名亜種 (スズメバチ科 アシナガバチ亜科)
Polistes jadwigae jadwigae  Dalla Torre, 1904
分布 国内: 本州、四国、九州。平地~山地まで汎く分布するが、山地や寒冷地では稀。島嶼では佐渡、対馬、沖縄本島、屋我地、宮古、石垣、西表などで記録されている。
県内: 一部の市街地を除き、汎く全域に棲息する。
国外: 日本特産種。本亜種は日本本土固有。
変異 形態: 沖縄・八重山諸島産は別亜種(ssp. okinawaensis  Matsumura et Uchida, 1926)とされる。前伸腹節は通常黒色だが、1対の黄色縦条斑紋をもつ個体が出ることがある。
季節:
性差: ほぼ同型。触角は♂が♀よりやや長く、♂は暗色となる。
生態 環境: 各樹樹林の林縁、公園、社寺境内、畑地、人家の庭など。
発生: 年1回。女王は4月下旬に活動を開始、働き蜂は6月~10月、♂は新女王とほぼ同時で、8月~10月中旬に見られる。
越冬: 成虫(女王)。朽木の樹皮下や砂地の崖などで単独越冬する。
行動: 昼行性。活動は比較的活発で、飛翔は敏速。攻撃性はアシナガバチ類では強く、巣を刺激すると数mの距離まで追いかけて刺しにくる。真社会性昆虫で、巣は1頭の女王と多数の働き蜂、秋季に出現する♂で構成される。越冬からさめた女王は盛んに吸蜜して体調を整えると、営巣にかかる。巣材は主に植物の茎や表面の毛などだが、創設期のものは枯れた植物体や樹皮などを用いることもある。巣は発達期に入ってもあまり育房数を増やさず、営巣規模は少ないもので50房、最大でも420程度である。蛹の繭は鮮黄色で、野外でも比較的目立つ。
食性 幼虫: 肉食性(養育)。鱗翅目幼虫などの昆虫類が主で、他には小型のクモ類などがある。外役のハチにより肉団子にされたものを与えられて育つ。
成虫: 食植性/花蜜。多くの花を訪れるが、春季にはノイバラやウツギ、イボタノキ、夏季にはヤブガラシなどを利用することが多い。
類似種: 同属のキアシナガバチに似るが、本種は前伸腹節が黒色。
保 護: 指定されていない。
その他: 日本産のアシナガバチ類でキアシナガバチと並ぶ最大種。普通種で個体数も多い。
天敵 捕獲: 成虫はヤンマ類やオオカマキリ、チョウセンカマキリ、ムシヒキアブなどの大型捕食性昆虫のほか、造網性クモ類。また、巣は時折ヒメスズメバチやオオスズメバチなど大型スズメバチ類の襲撃を受ける。
寄生: 幼虫はメイガ科シマメイガ亜科のウスムラサキシマメイガやヒメバチ科の一種、ヤドリバエ科の一種(Euvespivora sp.)など。


フタモンアシナガバチ

双紋脚長蜂 (スズメバチ科)


朝露を舐める女王
2002/4/20 木更津市中尾
フタモンアシナガバチ 日本本土・朝鮮亜種 (スズメバチ科 アシナガバチ亜科)
Polistes chinensis antennalis  Pérez, 1905
分布 国内: 北海道、本州、四国、九州。平地~山地まで汎く分布する。島嶼では奥尻、佐渡、対馬、屋久島、沖縄本島、伊平屋、伊江、久米島などで記録されている。
県内: 一部の市街地を除き、汎く全域に棲息する。
国外: 朝鮮半島、中国大陸に分布する。本亜種は朝鮮半島産を含む。
変異 形態: 沖縄諸島産は原名亜種とされ、中国大陸産を含む。個体変異は軽微。
季節:
性差: ほぼ同型。触角は♂が♀よりやや長く、♂は暗色となる。
生態 環境: 各樹樹林の林縁、公園、社寺境内、畑地、人家の庭など。
発生: 年1回。女王は4月中旬に活動を開始、働き蜂は6月~9月下旬、♂は新女王とほぼ同時で、8月~10月中旬に見られる。
越冬: 成虫(女王)。朽木の樹皮下や砂地の崖などで単独越冬する。
行動: 肉食性。活動は比較的活発で、飛翔は敏速。攻撃性は比較的あまり強くなく、巣を刺激しない限り刺しにくることはない。真社会性昆虫で、巣は1頭の女王と多数の働き蜂、秋季に出現する♂で構成される。越冬からさめた女王は盛んに吸蜜して体調を整えると、営巣にかかる。巣材は主に植物の茎や表面の毛などだが、創設期のものは枯れた植物体や樹皮などを用いることもある。巣は育房が縦に伸びるものと横に伸びるものとがあり、前者は平地に、後者は山地に多い。、営巣規模は大きく、少ないもので200房、最大では1,100を超える。蛹の繭は灰白色で、巣とほぼ同色である。
食性 幼虫: 捕食性(養育)。鱗翅目幼虫などの昆虫類が主で、他には小型のクモ類などがある。外役のハチにより肉団子にされたものを与えられて育つ。
成虫: 食植性/花蜜。多くの花を訪れるが、春季にはノイバラやウツギ、イボタノキ、夏季にはヤブガラシなどを利用することが多い。
類似種: 同属のキイロフタモンアシナガバチに酷似するが、県内には分布しない。
保 護: 指定されていない。
その他: 普通種で個体数も多い。
天敵 捕獲: 成虫はヤンマ類やオオカマキリ、チョウセンカマキリ、ムシヒキアブなどの大型捕食性昆虫のほか、造網性クモ類。また、巣は時折ヒメスズメバチやオオスズメバチなど大型スズメバチ類の襲撃を受ける。
寄生: 幼虫はメイガ科シマメイガ亜科のウスムラサキシマメイガやヒメバチ科の一種、ヤドリバエ科の一種(Euvespivora sp.)など。


キアシナガバチ

黄脚長蜂 (スズメバチ科)


巣材を採集する女王
2004/5/7 館山市大神宮(県立館山野鳥の森)
キアシナガバチ 日本亜種 (スズメバチ科 アシナガバチ亜科)
Polistes rothneyi iwatai  van der Vecht, 1968
分布 国内: 北海道、本州、四国、九州。平地~山地まで汎く分布する。島嶼では佐渡、対馬、種子島、屋久島、奄美大島、沖縄本島、久米島、石垣、西表、竹富、波照間で記録されている。
県内: 一部の市街地を除き、汎く全域に棲息する。
国外: 本亜種は日本固有。
変異 形態: 沖縄諸島産(ssp. ingrami  van der Vecht, 1968)、八重山産(ssp. yayeyamae  Matsumura, 1911)がそれぞれ別亜種とされる。個体変異は軽微。
季節:
性差: ほぼ同型。触角は♂が♀よりやや長く、♂は暗色となる。
生態 環境: 各樹樹林の林縁、公園、社寺境内、畑地、人家の庭など。都市部周辺にも適応している。
発生: 年1回。女王は4月下旬に活動を開始、働き蜂は6月中旬~9月、♂は新女王をほぼ同時で、7月下旬~10月に見られる。
越冬: 成虫(女王)。朽木の樹皮下や砂地の崖などで単独越冬する。
行動: 昼行性。活動は比較的活発で、飛翔は敏速。攻撃性はアシナガバチ類で最も強く、巣を刺激すると数m以上の距離を追いかけて集団で刺しに来る。真社会性昆虫で、巣は1頭の女王と多数の働き蜂、秋季に出現する♂で構成されるが、複数の女王による営まれる多雌巣が比較的多く見られるという。越冬からさめた女王は盛んに吸蜜して体調を整えると、営巣にかかる。巣材は主に植物の茎や表面の毛などだが、創設期のものは枯れた植物体や樹皮などを用いることもある。営巣規模は比較的大きく、少ないもので50房、最大では800程度、蛹の繭は灰色~褐色で、巣の色とほぼ同色である。
食性 幼虫: 肉食性(養育)。鱗翅目幼虫などの昆虫類が主で、他には小型のクモ類などがある。外役のハチにより肉団子にされたものを与えられて育つ。
成虫: 食植性/花蜜。多くの花を訪れるが、春季にはノイバラやウツギ、イボタノキ、夏季にはヤブガラシなどを利用することが多い。
類似種: 同属のセグロアシナガバチに似るが、本種は前胸背板がほぼ黄色で、前伸腹節に1対の黄色縦条斑紋を持つ。
保 護: 指定されていない。
その他: 県内で最も普通に見られるアシナガバチで、個体数も多い。
天敵 捕獲: 成虫はヤンマ類やオオカマキリ、チョウセンカマキリ、ムシヒキアブなどの大型捕食性昆虫のほか、造網性クモ類。また、巣は時折ヒメスズメバチやオオスズメバチなど大型スズメバチ類の襲撃を受ける。
寄生: 幼虫はメイガ科シマメイガ亜科のウスムラサキシマメイガやヒメバチ科の一種、ヤドリバエ科の一種(Euvespivora sp.)など。


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