クビキリギス

首切螽蟖 (キリギリス科)


これから冬を越す緑色型♂ 越冬後の褐色型♂
2001/11/14 山武郡大網白里町 2002/4/28 千葉市緑区
クビキリギス (キリギリス科 クサキリ亜科)
Euconocephalus varius  (Walker, 1869)
分布 国内: 本州、四国、九州。関東~福井が北東限。平地~山地まで汎く分布する。島嶼では隠岐、対馬、沖永良部、沖縄本島、慶良間群島、石垣、西表、与那国で記録されている。
県内: 一部の都市部を除き、汎く全域に棲息する。
国外: 現在のところ日本特産種。国外からは記録されていないが、東洋熱帯地域には多くの近似種が分布するという。
変異 形態: 地理的変異は認められていないが、小笠原諸島には近似の別種オガサワラクビキリギス(E. pallidus (Redtenbacher, 1891))が分布する。緑色型、褐色型、およびその中間型のほか、紅色型という顕著な色彩変異が知られる。
季節:
性差: 異型。♀は腹端に長い産卵管を持つ。
生態 環境: 草上性。林縁、草原、荒蕪地。イネ科草本が繁茂するやや草丈の高い草原性の地形で、比較的開けた環境を好む。
発生: 年1回。9月下旬頃羽化し、翌年5月末頃まで見られる。
越冬: 成虫。越冬は雑木林などの林床で、丸まった落葉に包まるようにしていることが多い。冬でも暖かい日には日光浴することがある。
行動: 主に夜行性。 日中も活動するが、♂は夕方から夜半にかけて「ジー・・・」という連続音で鳴くが、羽化した直後の秋に鳴くことはない。秋に市街地や山頂などに突然姿を現すことがあり、羽化してしばらくした個体は、越冬前にかなりの距離を移動するものと考えられている。
食 性 食植性/イネ科カヤツリグサ科草本が中心。
類似種: クサキリ類各種は互いによく似ている。
保 護: 指定されていない。
その他: 和名は、大顎の力が強く、何かに噛み付いた個体を強く引っ張ると、頭部(首)が取れてしまっても噛みついたまま離さない、という性質に由来する。でも、そんなになるまで首を引っ張るなよと言いたい。普通種で個体数も多い。
天敵 捕獲: カマキリ類、キリギリス、ヤブキリなどの捕食性キリギリス類、サシガメ類、ムシヒキアブ類、大型スズメバチ類、クロアナバチ、徘徊性クモ類、造網性クモ類。
寄生: ヤドリバエ科のカマキリヤドリバエ(Exorista hyalipennis (Baranov))、アナバチ科のクロアナバチ(Sphex argentatus fumosus  Kohl, 1890 )、コクロアナバチ(Isodontia nigella  (Smith, 1856))、ギングチバチ科のオオハヤバチ(Tachytes sinensis  F. Smith, 1856)が知られる。


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