ノコギリカミキリ

鋸髪切虫　(カミキリムシ科)


2001/8/10 千葉市緑区　/ NIKON F100 + AF MicroNikkor ED200mm F4(IF) /Kodak Kodachrome PKR64

　和名はギザギザをもつ触角と前胸側縁に並ぶ鋭い棘に由来する｡黒光りするやや丸みを帯びた平たい体をもち､動きもすばやい｡遠目に見るとゴキブリそっくりである｡中胸部の発音器を欠くが､前翅外縁にヤスリ状の器官があり､これと後脚腿節をこすり合わせて発音する｡
　写真は千葉市緑区で８月中旬の正午過ぎ､林縁の下草葉裏で休息する♂である｡外見は雌雄同型だが､♂は♀より一回り小さく､触角が♀より長いので区別は簡単｡ニセノコギリカミキリに酷似しており､本種の触角は♂♀共に12節だが､これは♀が11節で､♂♀共に本種よりはるかに短いので♀に関しては区別は難しくないが､♂だと結構難しい｡
　年１回､６月下旬～９月上旬に姿を見せる｡完全な夜行性で､日中は樹上や地上の落ち葉下などで休息し､夜間に燈火に飛来することも多い｡♀は夜間に腹部を持ち上げ腹端から棒状の突起を出し､じっとしていることがあるが､これは♂を呼ぶために性フェロモンを出しているものと考えられている｡幼虫はスギやマツなどの針葉樹の朽木や切り株を食べて育つ｡

カミキリムシ科

ノコギリカミキリ 原名亜種　(カミキリムシ科ノコギリカミキリ亜科ノコギリカミキリ族)

Prionus insularis insularis Motsculsky, 1857

分布	国内：	北海道､本州､四国､九州｡平地～山地まで汎く分布する｡島嶼では佐渡､伊豆諸島北部､隠岐､壱岐､対馬､五島列島､種子島､屋久島などで記録されている｡
	県内：	一部の市街地を除き､汎く全域に棲息する｡
	国外：	朝鮮半島､中国大陸(東北部)､東シベリアに分布する｡本亜種の標式産地は静岡県下田｡
変異	形態：	屋久島･種子島産に若干の地理的変異が知られるが､亜種区分にはいたっていない｡個体変異も軽微｡
	季節：	－
	性差：	ほぼ同型｡一般に♀は♂よりやや大型で､♂の触角は♀よりはるかに長い｡
生態	環境：	樹上性｡針葉樹と広葉樹が混生する各種樹林とその林縁｡社寺境内など｡幼虫は潜材性｡
	発生：	年１回｡６月下旬～９月上旬に見られる｡
	越冬：	幼虫(非休眠)｡
	行動：	一般に夜行性だが日中にも活動することがある｡♂は主に夕方に活発に飛翔する｡夜間燈火に飛来することも多い｡活動は比較的活発で､動きはすばやい｡捕まえると前翅外縁と後脚腿節をこすり合わせて発音する｡
食性	幼虫：	食植性/根(朽木)｡スギ科のスギ､ヒノキ科のヒノキ､マツ科のマツ類などの針葉樹が主｡このほか､ニレ科のエノキ､ケヤキ､ムクノキ､ブナ科のコナラ､クヌギ､ミズナラ(ナラ類)などの朽ちた根を食べる｡
食性	成虫：	食植性と考えられるが､詳細不明｡
類似種：		ニセノコギリカミキリに酷似する｡
保　護：		指定されていない｡
その他：		普通種｡個体数も多い｡
天敵	捕獲：	成虫はムシヒキアブ類､カマキリ類のほか､造網性クモ類｡幼虫は捕食性コメツキムシ類の幼虫､ヒラタムシ類など｡
天敵	寄生：	－

カミキリムシ科

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