ゴマダラカミキリ

胡麻斑髪切虫 (カミキリムシ科)


2001/7/10 木更津市中尾 / NIKON New FM2-T + AF MicroNikkor 105mm F2.8D /Kodak Kodachrome PKL200

 艶のある深い黒の体に白いゴマ。触角は長く白黒のツートンカラーで、モノトーンながら美しいカミキリムシである。和名はもちろんその柄に由来する。動きはそれほど速くはなく、飛翔も緩やかだが、危険を感じると触角を振りながら一生懸命に走り回り、何とか飛んで逃げようとするその姿が愛らしい。捕まると胸部をこすり合わせてチィチィと鳴くが、これは鳥などに対する警戒音とされている。ただ、あまり効果があるとは思えない。
 写真は木更津市中尾で7月上旬の正午過ぎ、食樹のひとつであるヤマグワの葉にとまっている♀である。♂は♀より体が小さく細身で、触角がはるかに長いので区別は簡単。県内にはこれと似た種はいないので、見間違えることはない。
 成虫は6月~8月に姿を見せるが、樹液や花には集まらず、幼虫と同じ食樹の若い枝の樹皮や葉柄をかじっていることが多い。基本的には昼行性だが、夜間に燈火に飛来することもある。幼虫がクワ科やミカン科などの樹木の生木を食べることから人里周辺にも多く、庭木として植栽された無花果やミカン類を枯らしてしまうことも多いため、園芸害虫もしくは果樹園などの農業害虫として結構嫌われてたりする。



ゴマダラカミキリ (カミキリムシ科 フトカミキリ亜科 ヒゲナガカミキリ族)
Anoplophora (Anoplophora) malasiaca  (Thomson, 1865)
分布 国内: 北海道、本州、四国、九州。平地~山地まで汎く分布する。島嶼では奥尻島、佐渡、伊豆諸島、隠岐、対馬、壱岐、五島列島(福江島)、種子島、屋久島、沖縄本島で記録されている。
県内: 一部の市街地を除き、汎く全域に棲息する。
国外: 朝鮮半島、済州島、中国大陸、台湾、マレー半島に分布する。標式産地はマレーシア。
変異 形態: 地理的変異は知られていないが、小笠原諸島にはオガサワラゴマダラカミキリ(A. ogasawaraensis Makihara, 1976)、奄美大島・沖縄本島にはオオシマゴマダラカミキリ(A. oshimana oshimana (Fairmaire, 1895))、与那国島にはヨナグニオオシマゴマダラカミキリ(A. oshimana ryukyuensis Breuning et Ohbayashi, 1964)が分布する。 また、斑紋に若干の個体変異が知られる。
季節:
性差: ほぼ同型。一般に♀は♂よりやや大型で、♂の触角は♀よりはるかに長い。
生態 環境: 樹上性。里山、二次林など広葉樹を中心とする各種樹林とその林縁、公園、社寺境内、果樹園、桑畑、人家の庭など。幼虫は潜材性
発生: 年1回。6月~8月に見られる。
越冬: 幼虫(非休眠)。材内で摂食しながら冬を越す。
行動: 昼行性。夜間燈火に飛来することも少なくない。飛翔は緩やかで、活動はあまり活発でない。捕まえると胸部をこすり合わせてキイキイと音を出す。
食性 幼虫: 食植性/(生木)。クワ科ヤマグワイチジクヤナギ科ヤナギ類ミカン科ミカン類など。主幹に穿孔する。
成虫: 食植性/樹皮(若枝)。主にクワ科ヤマグワイチジクヤナギ科ヤナギ類ミカン科ミカン類など、ほかにバラ科のモモやバラ類などが知られる。
類似種:
保 護: 指定されていない。
その他: キボシカミキリ、クワカミキリと並び、ヤマグワやイチジクの大害虫として有名。ただ、近年はキボシカミキリが増加するのに対し、本種やクワカミキリは減少している。
天敵 捕獲: 成虫はムシヒキアブ類、カマキリ類のほか、造網性クモ類。幼虫は捕食性コメツキムシ類の幼虫、ヒラタムシ類など。
寄生:

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