分布 |
国内: |
北海道、本州、四国、九州。島嶼では国後、佐渡、伊豆諸島、隠岐に知られる。なお御蔵島と奄美大島には近似の別種を産する。 |
県内: |
市街地を除き、汎く全域に棲息するが、県央以北では極めて稀。県南部では比較的個体数が多い。 |
国外: |
日本特産種。国外では記録されていないが、朝鮮半島に近似の別種が分布する。 |
変異 |
形態: |
♂には著しい個体変異が認められる。また、亜種区分には至らないが、大顎の形状によって基本型(f. maculifemoratus Motsculsky)、フジ型(フジミヤマクワガタ:f. nakanei Y.Kurosawa)、エゾ型(エゾミヤマクワガタ:f. hopei Parry)の遺伝的と考えられる型に分けられている 。ただし、♀では区別できない。 |
季節: |
- |
性差: |
異型。一般に♂の大顎は大きく、♀は小さい。 |
生態 |
環境: |
樹上性。クヌギ、コナラを中心とした二次林、遷移林。低山地~山地に汎く分布するが、ノコギリクワガタと混生する地域では 、本種のほうがより標高の高い地域に生息する傾向が見られる。幼虫は地中性。クヌギ、コナラなどの腐朽した埋れ木の下の腐植土層に棲息する。 |
発生: |
年1回。6月~9月に見られ、7月下旬~8月に多い。サイクルは2年1越型。幼虫で2回越冬し、3年目の夏に蛹化し成虫で越冬、孵化から4年目の夏に活動を開始する。ただし、環境によっては幼虫期間が1年に短縮されることもある。 |
越冬: |
幼虫(非休眠)、成虫。ただし活動を開始した成虫は交尾産卵し、越冬せずに死滅するため、越冬中の成虫はすべて蛹室で休眠中のものである。 |
行動: |
活動時間には地域差が認められるが、基本的には全日性で、県内ではやや夜行性の傾向を示す。日中は落ち葉の下や木の洞などに潜んだり、樹上の高い位置で静止している。日没前後に活動を開始する個体が多い。灯火に飛来する性質が強いが、集まるのはほとんどが♀である。♂は特に気性が荒く、側に別の♂が来ただけで争いを始める。幼虫は埋もれ木下部の腐植土中に棲息し、土中で蛹室をつくって蛹化する。 |
食性 |
幼虫: |
食植性/朽木。ブナ科コナラ属のクヌギやコナラ、ミズナラなどのナラ類の腐朽材起源のものを好む。 |
成虫: |
食植性/樹液。クヌギやコナラ、ミズナラ(ナラ類)、アカガシ、アラカシ、シラカシ(カシ類)、山地性のヤナギ類を好む。 |
類似種: |
- |
保 護: |
千葉県:D、千葉市:A、東京都:C(南多摩) |
その他: |
羽化直後の個体の前翅には金褐色の微毛を密生するが、後に脱落する。 |
天敵 |
捕獲: |
造網性クモ類。幼虫は捕食性コメツキムシ類幼虫、ハサミムシ類など。 |
寄生: |
- |