分布 |
国内: |
北海道、本州、四国、九州。島嶼からの記録はない。 |
県内: |
主に上総地域以南の河川上流域~中流域に普通に棲息する。北総地域ではやや稀。 |
国外: |
日本特産種。国外には分布しない。 |
変異 |
形態: |
中部以西産は別亜種(ニシカワトンボ ssp. pruinosa Selys,1853)で原名亜種とされる。また、本亜種には翅の色彩変異があり、♀は透明型(f. asahinai )のみだが、♂は橙色型(f. costalis )、無色型(f. ogumai )があり、さらに房総半島南部の一部にはそれぞれの翅が白濁する型(シロバネカワトンボ f. edai )が知られる。 |
季節: |
知られていない。 |
性差: |
未熟時は同型、成熟すると異型。♂は成熟すると体が白粉で覆われる。また翅色が異なるものがある。 |
生態 |
環境: |
流水性。主に丘陵地。抽水植物の多い平瀬をもつ小河川中流域、あるいは湿地の細流。県内では谷津田の水路などに多く見られる。底質は砂利もしくは砂。水質は澄んだ陸水で、水温は低いほうがよいようだ。谷津などの比較的開けた環境を好む。 |
発生: |
年1回。4月上旬~5月下旬に見られる。 |
越冬: |
幼虫。 |
行動: |
昼行性。静止時は翅を閉じ 、平らにとまる。羽化直後の未熟な個体は♂♀共に水辺を離れ、周囲の薄暗い樹林内で栄養飛翔を行う。成熟すると♂は水辺に戻り、抽水植物などにとまって縄張りをつくり♀を待つ。♀は単独で植物組織内に産卵する。その際♂はその傍らにとまり、産卵中の♀を警護する。 |
食性 |
幼虫: |
捕食性。ミジンコ類、ユスリカ類やハナアブ類、小型のカワゲラ類、トビケラ類、カゲロウ類の幼虫。 |
成虫: |
捕食性。小蛾類、ハエ、ユスリカなど小型の飛翔性昆虫のほか、小型のカゲロウ類や、カワゲラ類、トビケラ類など。ときにアジアイトトンボなど小型のイトトンボ類も捕食する。 |
類似種: |
オオカワトンボに似るが、県内には棲息しない。 |
保 護: |
白翅型>環境省:LP、千葉県:A。通常型>千葉市:C、東京都:D(区部)、神奈川県:V、埼玉県:LP(大宮台地/DD) |
その他: |
かつて高宕山などでは90%以上が白翅型であったというが、近年になって減少が進み、最近では10%以下になってしまい、さらに減少を続けているという。 |
天敵 |
捕獲: |
ヤンマ類やサナエトンボ類、大型~中型のトンボ類、ハエトリグモ類、造網性クモ類。 |
寄生: |
卵はタマゴコバチ科のHydrophylita aquivolans が知られる。 |