マイマイガ

まいまい蛾 (ドクガ科)


ゴンズイの樹幹に産卵中の♀
2003/7/14 富津市東大和田 2004/7/29 千葉市緑区
マイマイガ 本州・四国・九州亜種 (ドクガ科)
Lymantria dispar japonica (Motschulsky ,1861)
分布 国内: 北海道、本州、四国、九州。平地~山地まで汎く分布する。島嶼では対馬、種子島、屋久島、沖縄本島で記録されている。
県内: 市街地を含め、ほぼ全域に棲息する。
国外: ユーラシア大陸北部のほぼ全域に分布する広域分布種。多数の亜種に分けられており、原名亜種は欧州産。北米大陸には原名亜種が19世紀後半に定着した。本亜種は北海道を除く日本本土地域に固有。
変異 形態: 地理的変異はかなり顕著で、本亜種のほか、北海道産(ssp. praeterea  Kardakoff, 1928)、対馬産(ssp. tsushimensis  Inoue, 1956)、種子島・屋久島産(ssp. postalba  Inoue, 1956)、沖縄本島産(ssp. albescens  Hori et Umeno, 1930)などが知られるが、他にも亜種区分に至らない変異が多く知られている。斑紋の個体変異も比較的大きく、特に♀で顕著。
季節:
性差: 異型。色調と斑紋、触角形態が異なるため、区別は容易。
生態 環境: 各種樹林とその林縁、公園、社寺境内など。
発生: 年1回。6月下旬~8月中旬に見られる。
越冬:
行動: 昼行性。♂は日中~夕方にかけて、林縁などを活発に飛翔するが、♀は不活発。燈火に飛来することも多い。産卵は各種広葉樹の樹幹などに300~400程度の卵塊で産付され、全体を母蛾の軟毛で覆う。若齢幼虫は糸を吐いて下垂することが多いが、中齢以降ではこの習性は失われる。
食性 幼虫: 食植性/。典型的な広食性の種。バラ科、ブナ科、ヤナギ科、ニレ科、カバノキ科、クワ科などの落葉広葉樹を中心に100種以上が知られる。
成虫: 不食。成虫は口吻が退化しており、何も食べない。
類似種: ノンネマイマイに似るが斑紋が異なる。
保 護: 指定されていない。
その他: 普通種。春先に多数の幼虫を見かけるが、成虫を見かけることはそれほど多くない。若齢幼虫はその習性からブランコケムシとも呼ばれる。各種果樹の葉を食べることも多く、重要な農業害虫とされている。北米大陸では森林害虫としても著名。幼虫はいかにも毒をもっていそうな風体だが、無害。ただし刺は鋭いので、触ると痛みを覚えることがある。
天敵 捕獲: オオカマキリ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリなどのカマキリ類、 キリギリス、ヤブキリ、コロギスなどの捕食性キリギリス類のほか、造網性クモ類など。幼虫はジガバチなどのアナバチ類、スズメバチ類のほか、クチブトカメムシ類、サシガメ類など。
寄生: ヒメバチ科チビアメバチ亜科のスギハラチビアメバチ(Campoplex sugiharai sugiharai (Uchida, 1932))、Casinaria nigripes (Gravenhorst, 1829)、Phobocampe lymantriae  Gupta, 1983、Phobocampe unicinctus  (Gravenhorst, 1829)、ヒメバチ亜科のキバラヒメバチ(Lymantrichneumon disparis segmentalia (Uchida, 1926))、ナイブチヒメバチ(Diphyus amatorius (Müller, 1776))、ヒラタヒメバチ亜科のサクサンフシヒメバチ(Gregopimpla himalayensis (Cameron, 1899))、コキアシヒラタヒメバチ(Apechthis capulifera (Kriechbaumer, 1887))、ヒメキアシヒラタヒメバチ(Pimpla disparis Viereck, 1911)、キアシヒラタヒメバチ(Pimpla hypochondriaca (Retzius, 1783))、チャイロツヤヒラタヒメバチ(Theronia (Theronia) atalantae gestator (Thunberg, 1822))が知られる。


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