シロホソバ

白細羽蛾 (ヒトリガ科)

自販機に飛来した個体
2005/9/22 館山市大神宮(県立館山野鳥の森)
シロホソバ (ヒトリガ科 コケガ亜科)
Eilema degenerella  (Walker ,1863)
分布 国内: 本州、四国、九州。平地~山地まで汎く分布する。島嶼での記録はない。
県内: 一部の市街地を除き、汎く全域に棲息する。
国外: 朝鮮半島、中国大陸に分布する。
変異 形態: 地理的変異、個体変異共に知られていない。
季節: 明瞭。色調や斑紋に差はないが、第2化(夏型)は第1化(春型)よりはるかに小型。
性差: 同型。外見での区別は困難。
生態 環境: 湿度の高い各種樹林とその林縁、渓流沿いなど。
発生: 年2回。6月~7月、8月中旬~9月に見られる。
越冬: 幼虫?
行動: 夜行性。燈火に飛来することも多い。日中は薄暗い林内などで休息している。
食性 幼虫: 食菌性地衣類各種。
成虫: 不食。成虫は口吻が退化しており、何も食べない。
類似種:
保 護: 指定されていない。
その他: 幼虫は有毒で衛生害虫とされることがある。体表の球状部に毒針毛を持ち、接触時には激しい疼痛をがあり、後に強いかゆみを伴う発赤と丘疹を生じる。一般に治癒には7日~10日程度かかるが、体質によりさらに長期化することもある。毒針毛をセロテープなどを圧着して取り除いた後、抗ヒスタミン軟膏等を塗布すると効果的。
天敵 捕獲: オオカマキリ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリなどのカマキリ類、ヤブキリ、コロギスなどの捕食性キリギリス類のほか、造網性クモ類など。幼虫はジガバチなどのアナバチ類、スズメバチ類のほか、クチブトカメムシ類、サシガメ類など。
寄生: 不明。


ムジホソバ

無地細羽蛾 (ヒトリガ科)


林縁で休む個体
2004/7/21 千葉市緑区
ムジホソバ 日本亜種 (ヒトリガ科 コケガ亜科)
Eilema deplana pavescens  (Butler ,1877)
分布 国内: 本州(宮城以南)、四国、九州。平地~山地まで汎く分布する。島嶼では対馬、屋久島、奄美大島、西表で記録されている。
県内: 一部の市街地を除き、汎く全域に棲息する。
国外: 朝鮮半島、中国大陸、シベリア~欧州。旧北区に汎く分布する。原名亜種は欧州産で、本亜種は日本固有。
変異 形態: 国内での地理的変異は知られていない。個体変異も軽微。
季節: 比較的明瞭。第1化(春型)は大型で前縁部を除く前翅が灰色だが、第2化(夏型)は小型で前翅全体が橙黄色。第3化は春型と似る。
性差: 同型。外見での区別は困難。
生態 環境: 各種樹林とその林縁。特に湿度の高い渓流沿いの河畔林や水田周辺に多い。
発生: 年3回。4月下旬~5月中旬、6月下旬~7月上旬、8月下旬~9月上旬に見られる。
越冬: 。樹木のめくれた樹皮下や岩の隙間、人家の屋根瓦の隙間などに粗末な繭をつくって蛹化し、そのまま越冬する。
行動: 夜行性。燈火に飛来することも多い。日中は薄暗い林縁などで休息している。
食性 幼虫: 食菌性。各種の地衣類
成虫: 不食。成虫は口吻が退化しており、何も食べない。
類似種: 本属各種は互いによく似ている。
保 護: 指定されていない。
その他: 普通種で個体数も多い。幼虫は毒針毛をもち、これに触れると皮膚に発疹を生じるが、抗ヒスタミン軟膏が効果的。
天敵 捕獲: オオカマキリ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリなどのカマキリ類、ヤブキリ、コロギスなどの捕食性キリギリス類のほか、造網性クモ類など。幼虫はジガバチなどのアナバチ類、スズメバチ類のほか、クチブトカメムシ類、サシガメ類など。
寄生: 不明。


キシタホソバ

黄下細羽蛾 (ヒトリガ科)


林縁で休む個体
2001/8/14 千葉市緑区
キシタホソバ (ヒトリガ科 コケガ亜科)
Eilema griseola  (Butler ,1877)
分布 国内: 北海道、本州、四国、九州。平地~山地まで汎く分布する。島嶼では対馬、屋久島で記録されている。
県内: 一部の市街地を除き、汎く全域に棲息する。
国外: 現在のところ日本特産種。国外での記録はない。以前は旧北区の広域分布種であるE. griseolaの亜種とされたが、近年独立した。
変異 形態: 比較的顕著な地理的変異が知られるが亜種区分には至っていない。また個体変異も著しい。
季節: 比較的明瞭。斑紋などに差はないが、第2化(夏型)は第1化(春型)よりはるかに小型。
性差: 同型。外見での区別は困難。
生態 環境: 各種樹林とその林縁。特に湿度の高い渓流沿いの河畔林に多い。
発生: 年2回。5月~6月、7月中旬~8月に見られる。暖地では9月に第3化が出る。
越冬: ?
行動: 夜行性。火に飛来することも多い。日中は薄暗い林縁などで休息している。
食性 幼虫: 食菌性。各種の地衣類
成虫: 不食。成虫は口吻が退化しており、何も食べない。
類似種:
保 護: 指定されていない。
その他: 普通種で個体数も多い。幼虫は毒針毛をもつため、衛生害虫とされる。キベリホソバとも呼ばれる。
天敵 捕獲: オオカマキリ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリなどのカマキリ類、ヤブキリ、コロギスなどの捕食性キリギリス類のほか、造網性クモ類など。幼虫はジガバチなどのアナバチ類、スズメバチ類のほか、クチブトカメムシ類、サシガメ類など。
寄生: 不明。


キマエホソバ

黄前細羽蛾 (ヒトリガ科)


燈火に飛来した個体
2005/9/22 館山市大神宮(県立館山野鳥の森)
キマエホソバ 原名亜種 (ヒトリガ科 コケガ亜科)
Eilema japonica japonica  (Leech ,1889)
分布 国内: 北海道、本州、四国、九州。平地~山地まで汎く分布する。島嶼では対馬で記録されている。
県内: 一部の市街地を除き、汎く全域に棲息する。
国外: 現在のところ日本特産種
変異 形態: 北海道産は別亜種(ssp. ainonis (Matsumura, 1927))とされる。色調に比較的顕著な個体変異がある。
季節: 明瞭。第2化(夏型)は第1化(春型)よりはるかに小型で、淡色の個体が多い。
性差: 同型。外見での区別は困難。
生態 環境: 湿度の高い各種樹林とその林縁、渓流沿いなど。
発生: 年2回。6月~7月、9月に見られる。
越冬: 幼虫?
行動: 夜行性。燈火に飛来することも多い。日中は薄暗い林内などで休息している。
食性 幼虫: 食菌性地衣類各種。
成虫: 不食。成虫は口吻が退化しており、何も食べない。
類似種: 同属のキシタホソバ、ムジホソバなどに酷似する。
保 護: 指定されていない。
その他: 幼虫は有毒で衛生害虫とされることがある。体表の球状部に毒針毛を持ち、接触時には激しい疼痛をがあり、後に強いかゆみを伴う発赤と丘疹を生じる。一般に治癒には7日~10日程度かかるが、体質によりさらに長期化することもある。毒針毛をセロテープなどを圧着して取り除いた後、抗ヒスタミン軟膏等を塗布すると効果的。
天敵 捕獲: オオカマキリ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリなどのカマキリ類、ヤブキリ、コロギスなどの捕食性キリギリス類のほか、造網性クモ類など。幼虫はジガバチなどのアナバチ類、スズメバチ類のほか、クチブトカメムシ類、サシガメ類など。
寄生: 不明。


ヤネホソバ

屋根細羽蛾 (ヒトリガ科)


林縁で休む第3化の個体
2004/9/21 館山市大神宮(県立館山野鳥の森)
ヤネホソバ (ヒトリガ科 コケガ亜科)
Eilema fuscodorsalis  (Matsumura ,1930)
分布 国内: 本州(宮城以南)、四国、九州。平地~山地まで汎く分布する。島嶼では対馬、屋久島、奄美大島、西表で記録されている。
県内: 一部の市街地を除き、汎く全域に棲息する。
国外: 中国大陸に分布する。
変異 形態: 地理的変異は知られていない。個体変異も軽微。
季節: 比較的明瞭。第1化(春型)は大型で前縁部を除く前翅が灰色だが、第2化(夏型)は小型で前翅全体が橙黄色。第3化は春型と似る。
性差: 同型。外見での区別は困難。
生態 環境: 各種樹林とその林縁。特に湿度の高い渓流沿いの河畔林や水田周辺に多い。
発生: 年3回。4月下旬~5月中旬、6月下旬~7月上旬、8月下旬~9月上旬に見られる。
越冬: 。樹木のめくれた樹皮下や岩の隙間、人家の屋根瓦の隙間などに粗末な繭をつくって蛹化し、そのまま越冬する。
行動: 夜行性。燈火に飛来することも多い。日中は薄暗い林縁などで休息している。
食性 幼虫: 食菌性。各種の地衣類
成虫: 不食。成虫は口吻が退化しており、何も食べない。
類似種: 夏型はツマキホソバの♀に似る。
保 護: 指定されていない。
その他: 普通種で個体数も多い。幼虫は毒針毛をもち、これに触れると皮膚に発疹を生じるが、抗ヒスタミン軟膏が効果的。かつては人家の屋根などに生じた地衣類に大発生し、家屋内に糸を引いて降りてくることが多かったため、衛生害虫として、特に藁葺屋根の家屋に住む農家の人々を悩ませた。和名はこれに由来する。
天敵 捕獲: オオカマキリ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリなどのカマキリ類、ヤブキリ、コロギスなどの捕食性キリギリス類のほか、造網性クモ類など。幼虫はジガバチなどのアナバチ類、スズメバチ類のほか、クチブトカメムシ類、サシガメ類など。
寄生: 不明。


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