ハスモンヨトウ

斜紋夜盗蛾 (ヤガ科)


燈火に飛来した♂
2006/10/14 千葉市緑区
ハスモンヨトウ (ヤガ科 ヨトウガ亜科)
Spodoptera litura  (Fabricius, 1775)
分布 国内: 本州(関東南部以西)、四国、九州。平地~山地まで汎く分布する。記録そのものは北海道にもあり、しばしば東北地方でも発生している。島嶼では小笠原、対馬、沖縄本島、阿嘉、久米、慶良間、伊江、宮古、石垣、西表、与那国、大東諸島など南西諸島のほぼ全域で記録されている。
県内: 一部の市街地を除き、汎く全域に棲息する。
国外: 台湾、インド、太平洋地域、豪州など、東洋熱帯地域に汎く分布する。
変異 形態: 地理的変異は知られていない。色調に若干の個体変異がある。
季節:
性差: 異型。♀は色調が単調で、斑紋は網目状となる。
生態 環境: 広葉樹を中心とする各種樹林とその林縁、公園、社寺境内など。
発生: 年2回。5月~6月、10月に見られるが、休眠姓を持たない移動種であり、暖地では周年発生に近い。
越冬: 幼虫だが、休眠しない。暖地では不定。
行動: 夜行性。移動性が強く、燈火に飛来することも多い。日中は林縁などで休息している。夜間に活発に飛翔し、多くの花を訪れる。幼虫はいわゆる「ヨトウムシ」のひとつで、終齢幼虫は日中は土中に隠れ、夜間に草上に上って食害する。蛹化は土中で行われる。
食性 幼虫: 食植性/典型的な広食性種。マメ科、アブラナ科、サトイモ科、キク科、ウリ科などのほか、各種作物を中心に80種以上が記録されているという。
成虫: 食植性/花蜜。夜間多くの花で吸蜜する。
類似種: 一見すると斑紋がツマキリアツバ類に似る。
保 護: 指定されていない。
その他: 普通種で個体数も多い。悪名高きヨトウムシのひとつ。畑作農家の天敵である。
天敵 捕獲: 徘徊性クモ類、造網性クモ類など。幼虫はジガバチなどのアナバチ類、スズメバチ類のほか、クチブトカメムシ類、サシガメ類などのほか、徘徊性クモ類など。
寄生: 不明。


スジキリヨトウ

条切夜盗 (ヤガ科)


燈火に飛来した♀ 燈火に飛来した♂
2005/7/9 夷隅郡大多喜町久我原 2005/8/14 千葉市緑区
スジキリヨトウ (ヤガ科 ヨトウガ亜科)
Spodoptera depravata  (Butler ,1879)
分布 国内: 北海道、本州、四国、九州。平地~山地に汎く分布する。島嶼では八丈、対馬、種子島、宮古で記録されている。
県内: 市街地を含め、汎く全域に棲息する。
国外: 朝鮮半島、中国大陸(華北・華中)~ロシア沿海州(ウスリー・アムール)に分布する。
変異 形態: 地理的変異は知られていないが、前翅の斑紋と色調に顕著な個体変異がある。
季節: 知られていない。
性差: 異型。翅形や大きさに差はないが、一般に♀は前翅の斑紋が単調となる傾向がある。また、触角は♂が両櫛歯状、♀は糸状。
生態 環境: 各種樹林とその林縁。幼虫は食草の成育する環境で、草原、公園、牧場、ゴルフ場など。
発生: 年2回。5月、7月に見られる。
越冬: 幼虫
行動: 夜行性。燈火に飛来することも多い。日中は薄暗い林縁などで休息している。夜間各種広葉樹の樹液に集まる。
食性 幼虫: 食植性/葉。イネ科シバ類。他にも多くのイネ科低茎草本を食べるものと考えられる。
成虫: 食植性/樹液。コナラ、クヌギ、ヤナギ類などで吸汁する。
類似種: クシヒゲスジキリヨトウ、クシナシスジキリヨトウに似るが、これらは県内に分布しない。
保 護: 指定されていない。
その他: 普通種で個体数も多い。庭園やゴルフ場などのシバの害虫として有名。
天敵 捕獲: オオカマキリ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリなどのカマキリ類、 キリギリス、ヤブキリ、コロギスなどの捕食性キリギリス類のほか、造網性クモ類など。幼虫はジガバチなどのアナバチ類、スズメバチ類のほか、クチブトカメムシ類、サシガメ類など。
寄生: ヒメバチ科ヒメバチ亜科のツマグロチビヒメバチ(Phaeogenes haeussleri Uchida, 1935)が知られる。


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