クワコ

桑蚕 (カイコガ科)


燈火に飛来した♂
2005/11/12 千葉市緑区
クワコ (カイコガ科 カイコガ亜科)
Bombyx mandarina  (Moore ,1872)
分布 国内: 北海道、本州、四国、九州。平地~山地まで汎く分布する。島嶼では対馬、屋久島、トカラ列島で記録されている。
県内: 一部の市街地を除き、汎く全域に棲息する。
国外: 朝鮮半島、中国大陸に分布する。なお、本種はインド北部に分布するB. religiosae  Helfer (=hutttoni  Westwood) の亜種の可能性が指摘されている。
変異 形態: 現時点では地理的変異は知られていない。色調に若干の個体変異がある。
季節: 知られていない。
性差: 異型。♂♀共に触角は両櫛歯状だが、♂は枝が♀より長い。一般に♀は♂よりはるかに大きい。
生態 環境: 各種樹林の林縁、畑地、公園、人家の庭など。
発生: 年2回。6月~7月、10月~11月に見られる。
越冬:
行動: 夜行性。夕刻~夜半にかけて燈火に飛来する。飛翔は比較的緩やかである。♀はあまり動かず、腹端からフェロモンを出して♂を呼ぶ。卵は食樹の枝の分岐部などに数個の卵塊で産付される。幼虫は老熟すると葉を数枚綴り、その中に繭を作って蛹化する。
食性 幼虫: 食植性/クワ科ヤマグワクワ
成虫: 不食。成虫の口吻は完全に退化しており、何も食べない。
類似種: オオクワゴモドキに似る。
保 護: 指定されていない。
その他: 普通種だが、個体数はそれほど多くない。絹糸をとるカイコの原種とされ、カイコとの雑種F1世代は妊性があるという。またカイコの「家蚕」に対して「野蚕」とも呼ばれ、繭からはやや褐色味を帯びた風合いの良い絹糸がとれる。
天敵 捕獲: オオカマキリ、チョウセンカマキリ、ハラビロカマキリなどのカマキリ類、コロギスなどの捕食性キリギリス類のほか、造網性クモ類など。幼虫はジガバチなどのアナバチ類、スズメバチ類のほか、クチブトカメムシ類、サシガメ類など。
寄生: ヤドリバエ科のBlepharipa sericariae (Rondani)、Exorista sorbillans (Wiedemann)、ヒメバチ科ヒラタヒメバチ亜科のマイマイヒラタヒメバチ(Pimpla luctuosa Smith, 1874)、クロフシヒラタヒメバチ(Pimpla pluto Ashmead, 1906)が知られる。


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