分布 |
国内: |
土着地域は本州(関東以西の太平洋岸)、四国、九州。島嶼では対馬、壱岐、五島列島、南西諸島全域。平地~山地が分布の中心。記録は北海道南部に及ぶ。 |
県内: |
全域で記録されているが断片的。食草の関係から発生の中心は上総南部以南と考えられる。 |
国外: |
朝鮮半島、台湾、中国(中南部)、インドシナ~ヒマラヤ、カシミール、マレー半島に分布する。原名亜種は西ヒマラヤ~カシミール産をさし、本亜種は日本固有。 |
変異 |
形態: |
国内での地理的変異は知られていない。 |
季節: |
知られていない。 |
性差: |
異型。♂は後翅中央下部に暗色の性斑をもち、♀はこれを欠く。 |
生態 |
環境: |
樹林周辺。日当たりのよい林縁的環境を好む。 |
発生: |
多化性。通常年2回~3回。暖地では4回~5回、南西諸島ではそれ以上。 |
越冬: |
本土地域では非休眠の幼虫で、齢数は不定。暖かい日には摂食する。南西諸島では成虫。木の枝などに集団でぶら下がって冬を越す。 |
行動: |
昼行性。飛翔は緩やかだがきわめて移動性が強く、季節的に垂直移動するほか、九州から福島まで直線距離で実に1,700㎞ ものの水平移動をすることも稀ではない。夜間の睡眠時や雨天時の休息中は集合し、林内の枯れ枝など突出したものにぶら下がる習性がある。 |
食性 |
幼虫: |
食植性/葉・茎。ガガイモ科のキジョラン、イケマ、オオカモメヅル、サクララン。地域によって嗜好性が異なることが知られている。県内では主にキジョラン、イケマ、シロバナカモメヅルが利用されているらしい。与えればガガイモも食べるが、あまり好まないようだ。 |
成虫: |
食植性/花蜜。訪花性は強く、ウツギ、イボタノキ、クリ、ノリウツギ、シシウド、セリ、リョウブ、オカトラノオ、クガイソウ、サラシナショウマ、オトコエシ、ヒヨドリバナなどさまざまな花で吸蜜するが、特に散形花序あるいは総状花序のような、小花が集合したような花を好む傾向が見られる。樹液や腐果に集まることはないが、♂♀共に稀に地上で吸水することがある。 |
類似種: |
リュウキュウアサギマダラに似るが県内には分布しない。 |
保 護: |
千葉県:D |
その他: |
県内での個体数は少ない。 |
天敵 |
捕獲: |
幼虫はアシナガバチ類、スズメバチ類、サシガメ類、クチブトカメムシ類、ハエトリグモ類、ハナグモ類。成虫は、ヤンマ類、トンボ類、ヤブキリ、ウマオイなどの捕食性キリギリス類、オオカマキリ、チョウセンカマキリなどの大型カマキリ類、造網性クモ類、ハナグモ類など。 |
寄生: |
幼虫に寄生し蛹から脱出するヤドリバエ科のノコギリハリバエ(Compsilura concinnata (Meigen))、Drino (Palexorista) inconspicuoides (Baranov)、Phryxe heraclei (Meigen)、Phryxe nemea (Meigen)が知られる。 |