分布 |
国内: |
本州(関東以南)、四国、九州。島嶼では屋久島以南の南西諸島。記録そのものの北限は山形県にある。平地~低山地が分布の中心。 |
県内: |
市街地を除きほぼ全域に棲息するが、南部に個体数が多い。 |
国外: |
台湾、フィリピン、中国南部、インドシナ~インド、ヒマラヤ、セイロン、マレー半島、スマトラ、ジャワ、ニアス、セレベス。原名亜種はジャワ産をさす。 |
変異 |
形態: |
国内での地理的変異は知られていない。 |
季節: |
明瞭。翅形と斑紋、裏面の地色が相違する。夏型(第1・2化)と秋型(第3化)が知られる。 |
性差: |
異型。一般に♀は♂より大型で、前翅外縁の突出が強く、翅表の地色は淡い。夏型♂は前翅表の橙色斑を欠く。秋型♀は♂より前翅外縁の黒斑とその中の小白斑が目立ち、裏面は赤みが強い。 |
生態 |
環境: |
食草の生育する常緑樹林。薄暗い林内や林縁的環境を好む。 |
発生: |
多化性。通常年3回。5月~11月に見られる。県内での発生状況ははっきりしていない。 |
越冬: |
成虫(秋型)。越冬状態ははっきりしない。 |
行動: |
昼行性(黄昏)。飛翔は緩やかで、長時間飛び続けることはなく、すぐに下草上などにとまる。静止時は翅を閉じる。日中は樹液を吸汁したりすることもあるが、一般には林内で休息していることが多い。日没前後に活発に活動する。 |
食性 |
幼虫: |
食植性/葉。イネ科のススキ、ジュズダマが主。他にはアブラススキ、チョウセンカリヤス、カリヤスモドキ、チヂミザサ、アシボソ、メヒシバ、ササキビなど、カヤツリグサ科のナルコビエ。 |
成虫: |
食植性/樹液・腐果・汚物。訪花性はない。クヌギやコナラ(ナラ類)、アカガシ、アラカシ、シラカシ(カシ類)、ヤナギ類などの樹液やカキ、イチジクなどの腐果に集まり、汚物で吸汁することもあるが、地上で吸水することはない。 |
類似種: |
ウスイロコノマチョウに酷似するが、斑紋が異なる。 |
保 護: |
指定されていない。 |
その他: |
近年温暖化によるものか、分布を北に広げつつある。県内全域で定着した模様。 |
天敵 |
捕獲: |
幼虫はアシナガバチ類、スズメバチ類、サシガメ類、クチブトカメムシ類、ハエトリグモ類、ハナグモ類。成虫は、ヤンマ類、トンボ類、ヤブキリ、ウマオイなどの捕食性キリギリス類、オオカマキリ、チョウセンカマキリなどの大型カマキリ類、造網性クモ類、ハナグモ類など。 |
寄生: |
ヤドリバエ科のノコギリハリバエ(Compsilura concinnata (Meigen))、Senometopia prima (Baranov)、Zenillia dolosa (Meigen)、ヒメバチ科ヒラタヒメバチ亜科のコキアシヒラタヒメバチ(Apechthis capulifera (Kriechbaumer, 1887))などが知られる。 |