分布 |
国内: |
本土全域。島嶼では北方四島、礼文、利尻、奥尻、佐渡、屋久島 。北海道では平地~低山地、本州以南では山地性の傾向を示す。 |
県内: |
房総丘陵地域にのみ棲息する。本亜種は房総半島固有で、原名亜種と比較して著しく分布する標高が低い。 |
国外: |
南千島、樺太、シベリア、中国東北部に分布する。原名亜種は日本産をさす。 |
変異 |
形態: |
顕著な地理的変異が知られる。原名亜種と本亜種のほか、屋久島産が別亜種(ssp. marumoi Esaki et Umeno, 1929)とされるが、他の地域では亜種区分には至っていない。 |
季節: |
比較的明瞭。翅の地色と斑紋が相違する。春型(第1化)と夏型(第2化~)が知られる。 |
性差: |
ほぼ同型。一般に♀は♂より大型で、翅形が丸みを帯びる。♀の地色は♂より淡く、翅表の黄色斑が発達する。翅を灯りに透かすと♂前翅中央部には性斑がみえる。 |
生態 |
環境: |
食樹の自生する樹林。薄暗い林内や林縁的環境を好む。 |
発生: |
通常年2回。5月下旬~9月上旬に姿を見せるが、九州南部では9月下旬に第3化が現れることがある。寒冷地では年1回、春型のみが出現する。一般的にサトキマダラヒカゲより発生がやや早い傾向がある。 |
越冬: |
蛹。 |
行動: |
昼行性。飛翔は敏速だが長時間飛びつづけることはなく、すぐに下草上などにとまる。人の気配には比較的敏感で、危険を感じると迅速に茂みの中などに姿を隠す。静止時は必ず翅を閉じる。 |
食性 |
幼虫: |
食植性/葉。タケ科ササ属のアズマネザサ、デンツクザサ、シナノザサ、トクガワザサ、スズタケ。 他にはイネ科のススキ、モウソウチクやマダケ、ハチク、ミヤコザサ、クマザサ。 |
成虫: |
食植性/樹液・腐果・汚物・花蜜。訪花性はほとんどなく、花で吸蜜することはきわめて稀だが、春型はシシウド、リョウブなどで吸蜜することもある。一般にクヌギやコナラ(ナラ類)、アカガシ、アラカシ、シラカシ(カシ類)、マテバシイ、スダジイ(シイ類)、ヤナギ類などの樹液やカキ、イチジクなどの腐果などに集まり、♂は稀に地上で吸水したり汚物で吸汁する性質がある。 |
類似種: |
サトキマダラヒカゲに酷似する。特に本亜種はきわめてよく似ており、区別は結構難しい。 |
保 護: |
千葉県:C |
その他: |
- |
天敵 |
捕獲: |
幼虫はアシナガバチ類、スズメバチ類、サシガメ類、クチブトカメムシ類、ハエトリグモ類、ハナグモ類。成虫は、ヤンマ類、トンボ類、ヤブキリ、ウマオイなどの捕食性キリギリス類、オオカマキリ、チョウセンカマキリなどの大型カマキリ類、造網性クモ類、ハナグモ類など。 |
寄生: |
幼虫に寄生するシロスジトゲヒメバチなど。 |