分布 |
国内: |
北海道、本州、四国、九州。平地~山地まで汎く分布するが、四国、九州では山地性。特に九州では産地が局限される。島嶼では国後、色丹、利尻、佐渡で記録されている。 |
県内: |
市街地を除き汎く全域に棲息するが、産地はかなり局地的。 |
国外: |
朝鮮半島、中国大陸(東北部)、ロシア沿海州(アムール)、樺太、千島に分布する。 |
変異 |
形態: |
北海道産は別亜種(ssp. regina (Butler))とされる。そのほか裏面の色調に変異があり、西日本産は色調が濃色化する。♀は遺伝的な多型が知られており、前翅表に橙色斑紋が出る型(A型)、青色斑が出る型(B型)、赤色斑と青色斑が出る型(AB型)、無斑型(O型)があり、出現比率に地域差があるという。県内産はほとんどがO型。 |
季節: |
- |
性差: |
異型。翅表は♂が金緑色、♀は地色が黒褐色。 |
生態 |
環境: |
湿地のハンノキ林が中心。県南部では谷津田の植栽樹に発生することも多い。 |
発生: |
年1回。6月中旬~下旬に見られる。♀は7月末頃まで生存することがある。 |
越冬: |
卵。ただし、卵内では年内には幼虫体が形成されている。 |
行動: |
昼行性だが、やや黄昏性の傾向を示す。日中はあまり活動せず、時折クリやシシウドなどの花を訪れる。♂は夕方に活発に飛翔して縄張りを確保し、侵入した他の♂を激しく追飛する。♀は不活発で、食樹の周辺からあまり離れることはない。交尾後の♀は食樹の枝や幹の皺などに、数個~10数個の卵群で産卵するが、ハンノキ林などの場合、比較的明るい場所にある特定の食樹に集中して産卵されることがある。幼虫は全齢期を通じて食樹の若葉などを数枚綴って巣をつくり、その中に潜んでいる。蛹化の際には食樹の根元の落葉などにもぐりこむことが観察されている。 |
食性 |
幼虫: |
食植性/葉。カバノキ科ハンノキ属のハンノキ、ヤマハンノキ、ケヤマハンノキ、ミヤマハンノキ、ヤチハンノキなどが主。 |
成虫: |
食植性/花蜜。クリ、シシウドなど白色系の花で吸蜜する。稀にクヌギ、コナラなどの樹液に来ることもあるという。 |
類似種: |
オオミドリシジミに似るが、翅裏の色調が異なる。その他幾つか類似種があるが、いずれも県内には分布しない。 |
保 護: |
千葉県:C、千葉市:B、東京都:D(区部)、神奈川県:V、埼玉県:NT。 |
その他: |
県北部では稀でかなり局地的だが、南部では良好な産地もあり、多産することもある。 |
天敵 |
捕獲: |
幼虫はアシナガバチ類、スズメバチ類、サシガメ類、クチブトカメムシ類、ハエトリグモ類、ハナグモ類。成虫は、ヤンマ類、トンボ類、ヤブキリ、ウマオイなどの捕食性キリギリス類、オオカマキリ、チョウセンカマキリなどの大型カマキリ類、造網性クモ類、ハナグモ類など。 |
寄生: |
ヤドリバエ科のノコギリハリバエ(Compsilura concinnata (Meigen))、カイコノクロウジバエ(Pales pavida (Meigen))、Phryxe nemea (Meigen)、ヒメバチ科ヒメバチ亜科のアカエグリヒメバチ(Ulesta agitata (Matsumura et Uchida, 1926))などが知られる。 |