分布 |
国内: |
本州、四国、九州。近畿以東は太平洋岸のみで、北東限は栃木県宇都宮市付近。平地~山地まで汎く分布する。島嶼では隠岐、対馬、五島列島、種子島、トカラ列島、奄美大島以南の南西諸島のほぼ全域で記録されている。 |
県内: |
きわめて局地的。銚子市周辺と房総丘陵の嶺岡山系周辺に産地が点在する。 |
国外: |
東洋区~豪州区の熱帯~亜熱帯地域に汎く分布する。 |
変異 |
形態: |
日本産は吐喝喇列島の悪石島以北と宝島以南(ssp. riukuensis (Matsumura, 1929))の2亜種に分けられる。 |
季節: |
日本本土亜種では明瞭。低温型(春秋)、高温型(夏)が知られる。また、第1化個体は第2化以降よりはるかに大型。 |
性差: |
異型。♀は翅表の黒褐色部が♂より広い。 |
生態 |
環境: |
田畑周辺や人家近く、野原や路傍、河川敷など、定期的に草刈が行われているような草丈の低い草原的環境。 |
発生: |
多化性。通常年4回~5回。寒冷地では3回~4回。暖地では5~6回、南西諸島では周年発生している。関東以北では特に秋に個体数が増加する。 |
越冬: |
幼虫(3齢~終齢)。幼虫は秋に気温が下がると食草を下り、地上の落ち葉の隙間や石の下などで越冬する。巣などは作らない。冬季でも完全には休眠せず、温暖な日には食草に登って摂食する。 |
行動: |
昼行性。飛翔は比較的敏速で長く飛び続けることはなく、すぐに草上や地上に翅を開いてとまる。ただ、ほかのチョウが飛び回っているときでも本種はじっとしていることもあり、活動についてはややはっきりしない点がある。一生を通じて食草に依存し、その群落から遠く離れることはなく、棲息範囲もきわめて狭い。産卵は食草の葉表などに1個ずつ行われる。 |
食性 |
幼虫: |
食植性/葉。マメ科のミヤコグサ、コメツブウマゴヤシなど。飼育の際にはシロツメクサが代用できるというが、野外で利用しているかどうかははっきりしない。若齢幼虫は葉裏から舐めとるように食べて表皮組織を残すが、2齢以降は葉縁から食べる。 |
成虫: |
食植性/花蜜。訪花性は強く、タンポポ類、ヒメジョオン、ハルジオン、シロツメクサ、キツネノマゴ、ツルボ、センダングサ類など多くの花で吸蜜する。 |
類似種: |
ヤマトシジミと酷似するが、裏面の斑紋が相違する。 |
保 護: |
環境省:CR+EN、千葉県:B、千葉市:X、神奈川県:En、東京都:D(全域)、埼玉県:Ex、群馬県:CR+EN、 |
その他: |
産地はきわめて局限され、一般に個体数は非常に少ないが、秋には個体数が増加する傾向がある。県内ではかつて銚子付近の産地が有名だったが、この産地ではほぼ壊滅したという。 |
天敵 |
捕獲: |
幼虫はアシナガバチ類、スズメバチ類、サシガメ類、クチブトカメムシ類、ハエトリグモ類、ハナグモ類。成虫は、ヤンマ類、トンボ類、キリギリス、ウマオイなどの捕食性キリギリス類、オオカマキリ、チョウセンカマキリ、コカマリキリなどのカマキリ類、造網性クモ類、ハナグモ類など。 |
寄生: |
不明。 |