電磁波問題

「電気毛布は僕を殺すの?」

 

アメリカ最大日曜紙 「US WEEKLY」 1993年正月号の表紙
「あぶない電磁波!」 船瀬俊介 三一新書より 
 
 これはアメリカ最大の日曜紙「US WEEKLY」1993年正月号の表紙です。「電気毛布は僕を殺すの?」と書いてあります。読者の最大の関心事が電磁波問題だということで特集をしたのだそうです。今から9年も前のことです。
 電磁波とは電気を使うと必ず発生する放射線の仲間で、ガン、白血病、脳腫瘍、流産、免疫力の低下などとの関連が指摘されています。2001年6月、WHO(世界保健機関)の国際ガン研究機関も「電磁波に発ガンの可能性あり」と判断しました。
 そんな電磁波が身近な電気製品からも出ています。電気製品にもいろいろありますが、電磁波には距離が離れるほど弱くなるという性質があるので、体に近づけて使うものほど、また長時間使うものほどたくさん浴びることになります。そのため電気毛布は最も電磁波を浴びる電気製品のひとつなんです。それで表紙の男の子が電気毛布にくるまって「電気毛布は僕を殺すの?」と言っているんです。
 「妊娠初期の3ヶ月間を電気毛布を使用していた母親から生まれた子供には、先天性尿道異常が10倍になっている」という報告もあり、アメリカでは「妊婦や子供は電気毛布の使用を避けなさい」との勧告がなされてたり、電磁波を弱めた電気毛布が売られているそうです。それに比べ、日本では電気毛布の危険性が知らされているでしょうか。日本製のものは基本的に対策がされていないので、どうしても使いたい場合は寝る前に暖めておいて布団に入るときにコンセントを抜けばいいと思います。


 
 
他にもある 電磁波をたくさん浴びる電気製品

 
写真撮影/今枝弘一
 
 電気毛布の他にも電磁波をたくさん浴びる電気製品があります。体に近づけて長時間使うもの、何があるでしょうか? 女性が毎朝、頭に近づけて使うものがあります。ヘアドライアーです。これはかなりの電磁波を浴びます。できるだけ頭から離して使いましょう。男性が毎朝、顔にあてて使うものがあります。電気カミソリです。これもかなりの電磁波を浴びます。できるだけ顔から離して使いましょう 。(^^)  
 さらに、ここ数年でみんなが持つようになったものがあります。携帯電話です。携帯電話からは電子レンジと同じマイクロ波が出ているので、「もしもし〜」と話をしている間は、作動中の電子レンジを頭に当てているのとほとんど同じです。それなら脳みそがチンされてしまわないかと心配するかもしれませんが、大丈夫です。そんな時のために、携帯電話はイヤホンマイクが使えるようになっています。イヤホンマイクを使って、できるだけ頭から離して通話するようにすれば、浴びる量はだいたい100分の1以下になります。 
 「でもさー、イヤホンマイクなんか使って電話するのかっこ悪いしさー、やっぱ携帯は頭に密着させて使わないと」って思う人いますよね。でも考えてみて下さい。「見た目」と「命」、大事なのはどっちですか?
 それでもイヤホンマイクを使うのが嫌だと言う人には別の方法があります。1つ目は、できるだけ使う時間を短くすることです。モトローラ社(アメリカ最大の携帯電話会社)の会長は、携帯電話の使用時間を「1日10分」と言っているそうです。2つ目は、PHSに変えることです。PHSの電磁波は携帯電話の約10分の1です。これを電子レンジにたとえると、携帯電話では脳を10分間チンしてしまうところをPHSでは1分間ですみます。PHSを使っている方の話によれば、通話エリアは比較的狭いものの、広い道路の近くに行けばちゃんと通話できるそうです。
  脳腫瘍のようなガンは、発病するまでに10〜15年が必要と言われています。携帯電話を使うと必ず脳腫瘍になるわけではありませんが、今のうちに何かの対策をしておかないと、脳腫瘍になってしまってからでは遅いのではないでしょうか。
 
< その他の注意が必要な電気製品 >
電気カーペット、電気コタツ、電子レンジ、テレビ、パソコン、蛍光灯、電磁調理器、電磁治療器
※電磁波から身を守るカギは「使用距離」と「使用時間」


 
 
 
< 海外の動き >

アメリカでは訴訟 イギリス、ドイツでは携帯電話の使用に警告

 
 アメリカでは神経内科の医師が携帯電話で脳腫瘍になったとして、携帯電話会社に対して870億円の損害賠償を求める訴訟を起こしており、このような訴訟が数件起きています
 イギリスでは2000年5月、政府の依頼を受けた専門家グループが、科学的証拠は十分にそろっていないとしながらも「携帯電話の電磁波が脳に悪影響を与える可能性があるため、特に16歳以下の子供は頻繁に使うべきではない」との報告書を出しました。これを受けてイギリス政府は、全ての学校に「16歳以下の生徒は緊急時を除いて携帯電話を使わないように」との通達を出しています
 ドイツでは2001年7月、連邦放射線防護局の所長が「子供は携帯電話を使うべきではないし、大人も使用をできるだけ控えるべきだ」との見解を示しました


   
 
スウェーデンでは家や学校近くの高圧電線を撤去


日本でよくある風景
 
 この写真のような風景見たことありますよね。高圧電線です。ここからも強い電磁波が出ています。「高圧電線の近くに住んでいる子供に白血病が多い」というカロリンスカ報告を受けて、1993年からスウェーデン政府は幼稚園、学校、団地の近くの高圧電線を撤去しています。撤去できない場合は幼稚園の廃止、移転や地下40mに埋設する工事を行っています。学校などの場合、今後は1kmを目安に離すよう勧告しているそうです。一方、日本では高圧電線の近くにたくさん家がありますよね。先進国と言われる国の中で、高圧電線の真下に家があるのは日本ぐらいだそうです。


   
 
携帯電話タワー 日本の規制値は先進都市の6000倍

 
携帯電話タワー
 
 みなさんの家や学校の近くにこんなもの立ってませんか?携帯電話の中継アンテナです。ここからも電磁波が出ていて、周辺に住んでいる人たちは、携帯電話を使わない人も含めて、1日中電磁波を浴びてしまいます。そして、これがそこらじゅうに立ち始めています。
 携帯電話タワーから出る電磁波には規制値があります。オーストリアの環境都市、ザルツブルグ州は2000年から「1平方センチメートル当たり0.1マイクロワット」という世界で最も厳しい値に設定していますが、日本の規制値は「1平方センチメートル当たり600マイクロワット」。ザルツブルグ州より6000倍甘い値です。スイス、イタリア、ロシア、中国と比べても60倍以上です。

   

 
 
日本で対策がされるのはいつ?

 
 海外では「危険が証明されてからでは遅い」ということで、電気製品に対する規制、送電線の撤去、子供の携帯電話の使用制限など予防的な対策が始まっています。日本ではどうでしょうか。こういう問題に対する過去の政府の対応を思い出して下さい。水俣問題、専門家は原因を突き止めていたにもかかわらず、政府は「危険は証明されていない」として長い間なんの対策もしなかったため、たくさんの犠牲者が出ました。薬害エイズ、政府はアメリカで禁止された薬の輸入販売を5年以上認めたため、多くの犠牲者が出ました。電磁波問題に対して政府が対策をするのはいつでしょうか。 経済産業省の現在の考えは以下のとおりです。

 「白血病が2倍になるとの疫学結果は認識しているが、調査の偏りの可能性も残る。動物実験などによる科学的なメカニズムも明らかになっておらず、すぐになんらかの規制などは考えていない」

2001年11月5日 朝日新聞より (WHOの国際ガン研究機関が「電磁波に発ガンの可能性あり」との報告を出した時の見解)

 日本で自分の身を守るのは誰でしょうか?

 


< 参考文献 >

「週刊金曜日 2000/6/23 No.320」
「電力線電磁場被爆」 著:ポール・ブローダー 監訳:荻野晃也 訳:ガウスネット 緑風出版
「あなたを脅かす電磁波」 荻野晃也 法政出版 
「ガウス通信 44号、51号」 ガウスネット
「ケータイタワー公害 電磁波問題と反対運動」 ガウスネット