どうも、講師のエブロフです。エブロフ先生って呼べ。今日はコンプレッサーの使い方についてでも語りましょう。とはいっても模範例じゃないけどな。

大別すると、コンプはプリコンプ(トラック用)とポストコンプ(マスター用)に分かれますね。俺が使っているVSTはクラッシクシリーズのですけど、特にそういう分別はないです。プリセットでギター用とかマスター用とかの値が入ってます。まぁ、大抵はいじって変えるんですけど。プリセットは飽くまで参考に。

コンプレッサーには以下のようなパラメータがある。

・スレッショルド:
設定値以上の入力があった場合に圧縮する。この値が高ければ高いほど圧縮が少ない(原音に近い)。

・レシオ:
出力においての原音とエフェクト音の割合。

・アタック:
スレッショルド以上の入力から何秒後に圧縮するかの値。この値が大きいほど圧縮が始まるのが遅い。

・リリース:
圧縮されてから何秒後に圧縮をやめるかという値。

・ゲイン:
出力する際に信号を増幅する。

さてこれらのパラメータを用いて俺は臨機応変に使っている。まずはプリコンプとして具体的な使用例を挙げてみよう。

「ギターのバッキング」「ベース」
こいつらは楽曲の骨組みの一員です。リズムはもちろんですが、特殊なフレーズ、演奏がない限りはツブをそろえた演奏が理想的です。スレッショルドも低めに設定し、レシオもエフェクト音がある程度でるようにします。アタックは、スレッショルドを超えたときにエフェクトがかからないと意味がないので、限りなくゼロに近い値にします。リリースは、まぁちゃんと圧縮されれば何秒でもいいんですけど。そしてある程度ゲインで持ち上げておきます。ギターをステレオで二本、ベースを真ん中、各トラックをコンプで潰し、持ち上げておけばそれなりに音圧をあげることが出来ます。


「リードギター」「ボーカル」「ストリングス」
これらは楽曲の主旋律を担うパートなので、表情を崩さないようにしなければなりません。ですから、圧縮のしすぎは演奏の抑揚を欠くことになってしまいます。過大入力だけは避けるようにしましょう。
ストリングスは弓を滑らせ始めるときと終わるときで音量が違います。だからこれも掛けすぎは質感を著しく損なうことになります。やめましょう。

「アタック音」
スタッカートやアクセントなどの演奏があるときはアタックの値を大きくします。リリースの値は任意ですが、一音一音のニュアンスを損なわないように。

「ドラム」
楽器ごとにかけるのが理想的です。スネアやタムなど太鼓系なんかは粒がそろっているとキレイに聞こえますね。しかしシンバルなんかは減衰などがあるのであまりかけたくないと俺は思っています。ハットなんかも閉じたときは減衰はないですけれど、これは粒がそろいすぎているとなんだか打ち込んだみたいになるんで俺は嫌いです。開いてるときには、その開き具合を微調整に使います。アタックをコントロールすることによってそれなりに開けて叩いてもハーフオープンくらいまで持っていけます。減衰が長すぎるな、と思ったらシンバルに挿すのもいいですね。

・さて次にポストコンプとして。
俺はマスターにコンプを挿すのが嫌いです。超えたところは圧縮しますからね。トラックに関係なしに全部圧縮されるわけです。するとせっかくトラック毎に調整した音量バランスが台無しになります。だから最低限の音量調整くらいにしか使いません。リミッターみたいなもんです。ピークランプが時折点滅するくらいが目安かな。インジゲーターならレッドゾーンに行くか行かないかくらい。

・S/N比:
シグナルノイズ比。音のでかいところを圧縮するわけですが、ノイズで音が飛ぶ、なんてことはないので、まず原音の圧縮になります。つまり、ノイズは圧縮されずに残るわけです。すると当然出力でゲインアップされたときにノイズも大きくなってSN比は悪くなります。
・sustain : ギターのエフェクタなんかはスレッショルドと書かずにサスティンと書いてあることが多いです。 音が伸びて聞こえるのは圧縮して音を持ち上げたとき、音量が均一になるからです。最初4dbの入力だったけど減衰して1dbになるサウンドをコンプで潰して持ち上げ、最初から最後まで2dbだったらこれはずっと同じ音量でなり続ける、つまり音が伸びて聞こえるわけです。

さて、ここまで読めばだいぶコンプの使い方…というか意味がわかったとは思いますが、いきなり使えるようにはなれません。理屈じゃないので、あとはいじって、良く聞こえるようにするしかありません。これがトラックごとの調整となると面倒です。バッキングの音圧はあれば迫力がありますが、音抜けが悪くなったりします。リードやボーカルは潰せば強弱がなくなりノイズが載るし、かといってそのままにしておくわけにもいきません。
ダイナミクス系のエフェクトは一番難しいとは思います。

ちなみにえぶろふさんがよく使用するVSTのコンプは先ほど挙げたクラシックコンプのほか、c3マルチバンドコンプ、ブロックフィッシュなどなど。いずれもフリーのプラグインです。タダですよ、奥さん、タ・ダ!

さて、今日の講義はこのあたりで。