文部科学省の「確かな学力」

[確かな学力]とは,知識や技能に加え,思考力・判断力・表現力などまでを含むもので,学ぶ意欲を重視した,これからの子どもたちに求められる学力

このページでは文部科学省の進める「確かな学力」に関するサイトをまとめています。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/03122608.htm
●小学校、中学校、高等学校等の学習指導要領の一部改正等について(概要)
 
1.  一部改正の趣旨
 平成15年10月の中央教育審議会答申「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」を踏まえ、[確かな学力]を育成し、[生きる力]をはぐくむという新学習指導要領の更なる定着を進め、そのねらいの一層の実現を図るために、平成15年12月26日付けで小学校、中学校、高等学校並びに盲学校、聾学校及び養護学校の学習指導要領等の一部を改正した。
小学校学習指導要領 第1章  総     則
 
第1  教育課程編成の一般方針 
1 各学校においては,法令及びこの章以下に示すところに従い,児童の人間として調和のとれた育成を目指し,地域や学校の実態及び児童の心身の発達段階や特性を十分考慮して,適切な教育課程を編成するものとする。
  学校の教育活動を進めるに当たっては,各学校において,児童に生きる力をはぐくむことを目指し,創意工夫を生かし特色ある教育活動を展開する中で,自ら学び自ら考える力の育成を図るとともに,基礎的・基本的な内容の確実な定着を図り,個性を生かす教育の充実に努めなければならない。
2  学校における道徳教育は,学校の教育活動全体を通じて行うものであり,道徳の時間をはじめとして各教科,特別活動及び総合的な学習の時間のそれぞれの特質に応じて適切な指導を行わなければならない。
  道徳教育は,教育基本法及び学校教育法に定められた教育の根本精神に基づき,人間尊重の精神と生命に対する畏(い)敬の念を家庭,学校,その他社会における具体的な生活の中に生かし,豊かな心をもち,個性豊かな文化の創造と民主的な社会及び国家の発展に努め,進んで平和的な国際社会に貢献し未来を拓(ひら)く主体性のある日本人を育成するため,その基盤としての道徳性を養うことを目標とする。
  道徳教育を進めるに当たっては,教師と児童及び児童相互の人間関係を深めるとともに,家庭や地域社会との連携を図りながら,ボランティア活動や自然体験活動などの豊かな体験を通して児童の内面に根ざした道徳性の育成が図られるよう配慮しなければならない。
3 学校における体育・健康に関する指導は,学校の教育活動全体を通じて適切に行うものとする。特に,体力の向上及び心身の健康の保持増進に関する指導については,体育科の時間はもとより,特別活動などにおいてもそれぞれの特質に応じて適切に行うよう努めることとする。また,それらの指導を通して,家庭や地域社会との連携を図りながら,日常生活において適切な体育・健康に関する活動の実践を促し,生涯を通じて健康・安全で活力ある生活を送るための基礎が培われるよう配慮しなければならない。

http://www.mext.go.jp/b_menu/shuppan/sonota/03122607.htm
●小学校,中学校,高等学校等の学習指導要領の一部改正等について(通知)平成15年12月26日
 
 このたび,本年10月の中央教育審議会答申「初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について」を踏まえ,新学習指導要領の更なる定着を進め,そのねらいの一層の実現を図るため,平成15年12月26日付けで,新学習指導要領の総則を中心にその一部を改正しました。つきましては,下記により,教育課程及び指導の充実・改善に取り組まれるようお願いします。
 
1  学習指導要領の一部改正等の趣旨
 
  今回,学習指導要領に示す基礎的・基本的な内容の確実な定着を図るとともに,各学校の裁量により創意工夫を生かした特色ある取組を行うことによって,児童生徒に,知識や技能に加え,学ぶ意欲や,自分で課題を見付け,自ら学び,主体的に判断し,行動し,問題を解決する資質や能力などの確かな学力を育成し,生きる力をはぐくむという新学習指導要領のねらいの一層の実現を図るため,学習指導要領を一部改正したこと。
 
2 学習指導要領の一部改正等の内容
 
  小学校学習指導要領,中学校学習指導要領及び高等学校学習指導要領を,下記により,別添1,別添2及び別添3のとおり一部を改正したこと。
(1)学習指導要領の基準性を踏まえた指導の一層の充実
ア  学習指導要領に示しているすべての児童生徒に指導する内容等を確実に指導した上で,児童生徒の実態を踏まえ,学習指導要領に示していない内容を加えて指導することができることを明確にしたこと。(小学校学習指導要領第1章第2の2,中学校学習指導要領第1章第2の2及び高等学校学習指導要領第1章第6款の2関係)
イ  「内容の取扱い」のうち,内容の範囲や程度を明確にしたり,学習指導が網羅的・羅列的にならないようにするための事項は,すべての児童生徒に対して指導する内容の範囲や程度等を示したものであり,学校において特に必要がある場合等には,これらの事項にかかわらず指導することができることを明確にしたこと。(小学校学習指導要領第1章第2の2及び第2章,中学校学習指導要領第1章第2の2及び第2章並びに高等学校学習指導要領第1章第6款の2,第2章及び第3章関係)
 
(2)  総合的な学習の時間の一層の充実
ア  総合的な学習の時間のねらいとして,各教科,道徳及び特別活動で身に付けた知識や技能等を相互に関連付け,学習や生活において生かし,それらが総合的に働くようにすることを加えて,規定したこと。(小学校学習指導要領第1章第3の2,中学校学習指導要領第1章第4の2及び高等学校学習指導要領第1章第4款の2関係)
イ  各学校において総合的な学習の時間の目標及び内容を定める必要があることを規定したこと。(小学校学習指導要領第1章第3の3,中学校学習指導要領第1章第4の3及び高等学校学習指導要領第1章第4款の3関係)
ウ  各学校において総合的な学習の時間の全体計画を作成する必要があることを規定したこと。(小学校学習指導要領第1章第3の4,中学校学習指導要領第1章第4の4及び高等学校学習指導要領第1章第4款の4関係)
エ  総合的な学習の時間の目標及び内容に基づき,児童生徒の学習状況に応じて教師が適切な指導を行う必要があることを規定したこと。また,学校図書館の活用,他の学校との連携,各種社会教育施設や社会教育関係団体等との連携,地域の教材や学習環境の積極的な活用などについて工夫する必要があることを明確にしたこと。(小学校学習指導要領第1章第3の6,中学校学習指導要領第1章第4の6及び高等学校学習指導要領第1章第4款の6関係)
(3)  個に応じた指導の一層の充実
ア  小学校における個に応じた指導の充実のための指導方法等の例示として,学習内容の習熟の程度に応じた指導,児童の興味・関心等に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指導を加えたこと。(小学校学習指導要領第1章第5の2関係)
イ  中学校における個に応じた指導の充実のための指導方法等の例示として,生徒の興味・関心等に応じた課題学習,補充的な学習や発展的な学習などの学習活動を取り入れた指導を加えたこと。(中学校学習指導要領第1章第6の2関係)
(4)  その他 略
 
3 学習指導要領の一部改正等に関連する事項
(1)  教育課程を適切に実施するために必要な指導時間の確保
ア  各学校においては,学年や学期,月ごと等に授業時数の実績の管理や学習の状況の把握を行うなど,教育課程の実施状況等について自ら点検及び評価を行い,教育課程を適切に実施するために必要な指導時間を確保するよう努める必要があること。また,年間の行事予定や各教科の年間指導計画等について,保護者や地域住民等に対して積極的に情報提供を進める必要があること。
イ  指導内容の確実な定着を図るため必要がある場合には,指導方法・指導体制の工夫改善を図りながら,学校教育法施行規則に定める各教科等の年間授業時数の標準を上回る適切な指導時間を確保するよう配慮すること。
 

 
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/03100701.htm
●中央教育審議会 初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について(答申) 
                                平成15年10月7日
前  文
 
  中央教育審議会は,本年5月文部科学大臣から「今後の初等中等教育改革の推進方策について」包括的な諮問が行われたことを受け,初等中等教育に関する多角的な検討を行っているところである。その中で,「初等中等教育の教育課程及び指導の充実・改善方策について」は,諮問理由説明において,当面の具体的な検討事項として,学習指導要領の「基準性」の一層の明確化,必要な学習指導時間の確保,「総合的な学習の時間」の一層の充実,「個に応じた指導」の一層の充実,全国的かつ総合的な学力調査の在り方やその結果の活用が挙げられ,初等中等教育分科会の下に置かれた教育課程部会を中心に審議が行われてきた。
  本審議会では,国や各教育委員会,各学校として来年度からの教育課程及び指導の充実・改善に反映可能なものについては,周知期間等を考慮して早急にまとめる必要があることから,これらの検討事項について教育課程部会の下に「総則等作業部会」及び「教科別専門部会」を設置し鋭意検討を進めてきたところである。審議の過程においては,新学習指導要領の下での教育課程及び指導上の課題を明らかにするため,有識者等から意見を聴取するとともに,国で実施した平成13年度教育課程実施状況調査や平成15年度教育課程編成・実施状況調査等の結果,児童生徒,保護者,教員等に対する意識調査の結果,民間や関係団体で行った調査の結果,国で開催した各種研究協議会等で指摘された実施上の課題,国民一般からの意見募集の結果等のデータや資料等に基づいて,学校の実態に即した議論に努めてきた。また,本年8月には,教育課程部会としての「審議の中間まとめ」を公表し,これに対して広く国民一般からの意見募集を行い,これを踏まえ,総会,初等中等教育分科会,教育課程部会において更に議論を深め,今回,答申として取りまとめたところである。
 
  その結果,本審議会としては,子どもたちに基礎・基本を徹底し,[生きる力]をはぐくむことを基本的なねらいとする新学習指導要領の更なる定着を進め,そのねらいの一層の実現を引き続き図ることが必要であるとの結論に達した。この答申を機に,学校のみならず,家庭・地域社会や教育委員会・国がそれぞれの立場でここに掲げた当面の充実・改善方策に早急に取り組み,来年度からの教育課程及び指導の充実・改善に生かすことを期待したい。その際,学習指導要領に示されている共通に指導すべき基礎的・基本的な内容の確実な定着を図るとともに,各学校の裁量により創意工夫を生かした取組を行うことや,各教育委員会が地域の実態を踏まえ,地域にふさわしい取組を進めることにより,[生きる力]の知の側面である[確かな学力]を育成するという理念をしっかりと踏まえることが望まれる。
  なお,本審議会では,先に述べたような文部科学大臣の包括的な諮問を受けて,今回,当面の充実・改善方策についての答申を行ったところであるが,引き続き教育課程及び指導の充実・改善を図っていくためには,今後とも,常設化された教育課程部会を中心に新学習指導要領の実施状況を不断に検証し,必要に応じて教育課程の基準全体の見直しについて検討していくことが重要であると考えている。
 
1  新学習指導要領や学力についての基本的な考え方等
○  新学習指導要領の基本的なねらいは[生きる力]の育成。各学校では,家庭,地域社会との連携の下,[生きる力]を知の側面からとらえた[確かな学力]育成のための取組の充実が必要。
○  「総合的な学習の時間」等を通じて学びへの動機付けを図るとともに,子どもの実態や指導内容等に応じて「個に応じた指導」を柔軟かつ多様に導入することなどの工夫による「わかる授業」を行い,子どもたちの学習意欲を高めることがとりわけ重要。
○  全国的・地域的な調査により,[確かな学力]の総合的な状況を把握し,各学校における指導の充実・改善や教育課程の基準の不断の見直しが必要。
[確かな学力]とは,知識や技能に加え,思考力・判断力・表現力などまでを含むもので,学ぶ意欲を重視した,これからの子どもたちに求められる学力
 




平成15年10月7日<中央教育審議会>
●初等中等教育における当面の教育課程及び指導の充実・改善方策について(答申)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/03100701/002.htm
 
第1章  新学習指導要領や子どもたちに求められる学力についての基本的な考え方等
 
1  新学習指導要領についての基本的な考え方
 
(1)新学習指導要領の基本的なねらい
  いまだかつてなかったような急速かつ激しい変化が進行する社会を一人一人の人間が主体的・創造的に生き抜いていくために,教育に求められているのは,子どもたちに,基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせ,自ら学び,自ら考え,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力,自らを律しつつ,他人とともに協調し,他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性,たくましく生きるための健康や体力などの[生きる力]をはぐくむことである。[生きる力]の重要性とその育成は,平成8年の中央教育審議会答申(「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について(第一次答申)」)において提唱されたものである。この[生きる力]は,学校においては教育課程の内外を問わずその教育活動全体を通じてはぐくむことが重要であるが,同時に,学校のみで対応できるものではない。これからの生涯学習社会においては,すべての教育を学校で担い,完結することを目指すのではなく,学校では,家庭や地域社会などとの密接な連携の下に学校でこそ行うべきことに絞って教育を進めることが重要であり,また,学校教育を終えた後も生涯学び続けていくために,その基礎となる資質や能力の育成を重視する必要がある。
  平成14年4月から順次実施されている新学習指導要領においては,このような考え方に立って,知識や技能を単に教え込むことに偏りがちな教育から[生きる力]を育成する教育へとその基調を転換するため,教育内容の厳選,選択学習の幅の拡大,「個に応じた指導」の充実,「総合的な学習の時間」の創設などを行ったところである。ただし,このことが,知識や技能を軽視するものでないことは,前述の中央教育審議会答申においても,ホワイトヘッド(1861-1947 イギリスの哲学者)の「あまりに多くのことを教えるなかれ。しかし,教えるべきことは徹底的に教えるべし」という言葉を引用して基礎・基本の徹底の重要性を示していることからも明らかである。また,平成10年の教育課程審議会答申(「幼稚園,小学校,中学校,高等学校,盲学校,聾(ろう)学校及び養護学校の教育課程の基準の改善について(答申)」)においても,「改善のねらい」の一つとして「基礎・基本の確実な定着を図り,個性を生かす教育を充実すること」が,「自ら学び,自ら考える力を育成すること」などとともに掲げられているところである。
  このように,新学習指導要領では,基礎・基本を徹底し,自ら学び自ら考える力などの[生きる力]をはぐくむ観点から,個性を生かす教育の充実のために,学校教育の質的な転換を求めているところである。
 
(2)新学習指導要領の実施状況とその課題
  小・中学校の新学習指導要領が全面実施されて1年余りが経過し,また,高等学校の新学習指導要領が本年4月から学年進行により実施に移されているところであり,現在,各学校及び各教育委員会では,その基本的なねらいの実現に向けて創意工夫に満ちた多くの取組が進められている。一方,各教科等の指導においては,創意工夫が十分行われずに指導に必要な時間が確保されていない事例や,学校行事等の意義が十分踏まえられていない事例,「総合的な学習の時間」で身に付けさせたい資質や能力等が不明確なままで実施している事例があるなど,新学習指導要領のねらいを十分に踏まえた指導がなされていない取組も見受けられる状況にある。
  このように,各学校において,新学習指導要領のねらいを踏まえた取組とそうでないものに分かれている状況がみられるのは,国や各教育委員会において,これからの変化の激しい社会の状況,そのために子どもたちに求められる資質や能力などの新学習指導要領のよって立つ背景,これを踏まえて新学習指導要領が基本的なねらいとしている点等について,各学校や国民一般に対する周知が結果として不十分となっていることが,その一因であると考えられる。
 
(3)新学習指導要領の下での[確かな学力]の育成を
  今後の社会においては,少子高齢化社会の進行と家族・地域の変容,高度情報化・グローバル化の進展,科学技術の進歩と地球環境問題の深刻化,国民意識の変容といった歴史的変動の潮流の中で既存の枠組みの再構築が急速に進むものと考えられる。こうした状況にあって学校教育の果たすべき役割を考えたとき,学校・家庭・地域社会の連携の下,新学習指導要領の基本的なねらいである,基礎・基本を徹底し,自ら学び自ら考える力などを育成することにより,[確かな学力]をはぐくみ,豊かな人間性やたくましく生きるための健康や体力なども含め,どのように社会が変化しても必要なものとなる[生きる力]の育成を進めることがますます重要となってきている。
  本審議会としては,このような観点に立ち,今回の当面の充実・改善方策についての答申においては,まずは[生きる力]を知の側面からとらえた[確かな学力]をはぐくむため,学習指導要領に示されている共通に指導すべき基礎的・基本的な内容を確実に定着させること,各学校における創意工夫を生かした特色ある取組を充実させることを提案する。
  このために,各学校において,学習指導要領に示された基礎的・基本的な内容の確実な定着,個性を生かす教育の充実を目指して,教えるべき内容・考えさせるべき内容に応じて教員が必要な指導を行い,個に応じた指導などの工夫をした「わかる授業」を一層推進するとともに,「総合的な学習の時間」などを通じて体験的・問題解決的な学習活動を展開することを求めたい。
  なお,言うまでもなく,このように子どもたちに[確かな学力],豊かな人間性やたくましく生きるための健康や体力などからなる[生きる力]をはぐくもうとする考え方は,平成8年の中央教育審議会答申(第一次答申)以来,本審議会としての一貫した考え方である。
 
2  子どもたちに求められる学力についての基本的な考え方
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo0/toushin/03100701/003.htm
(1)子どもたちに求められる学力=[確かな学力]
  1では,新学習指導要領のねらいの一層の実現を図ることが重要であり,そのために,まずは[確かな学力]の育成を進めるべきであるとの考え方を示したが,それは,以下のような理由による。
  これからの未曾有(みぞう)の激しい変化が予想される社会においては,一人一人が困難な状況に立ち向かうことが求められるが,そのために教育は,個性を発揮し,主体的・創造的に生き,未来を切り拓(ひら)くたくましい人間の育成を目指し,直面する課題を乗り越えて生涯にわたり学び続ける力をはぐくむことが必要である。
  このために子どもたちに求められる学力としての[確かな学力]とは,知識や技能はもちろんのこと,これに加えて,学ぶ意欲や,自分で課題を見付け,自ら学び,主体的に判断し,行動し,よりよく問題を解決する資質や能力等までを含めたものであり,これを個性を生かす教育の中ではぐくむことが肝要である。
  また,昨今の学力低下に関する論議は,学力を単に知識の量としてとらえる立場,あるいは思考力・判断力・表現力や学ぶ意欲などまでも含めて総合的にとらえる立場など,学力をどのようにとらえるかの立場の違いにより議論がかみ合っていないと思われる場合もある。本審議会としては,これからの学校教育では,[生きる力]という生涯学習の基礎的な資質や能力を育成する観点から,上記の[確かな学力]を重視すべきであると考える。
  さらに新学習指導要領の下での学力の状況については平成16年1月,2月に教育課程実施状況調査が行われる予定であるが,平成13年度教育課程実施状況調査や国際数学・理科教育調査(国際教育到達度評価学会(IEA)調査),OECD生徒の学習到達度調査(PISA)等の近年の全国的・国際的な調査結果などからは,それぞれの分野における達成状況とは別に,我が国の子どもたちには判断力や表現力が十分に身に付いていないこと,勉強を好きだと思う子どもが少ないなど学習意欲が必ずしも高くないこと,学校の授業以外の勉強時間が少ないなど学習習慣が十分に身に付いていないことなどの点で課題が指摘されている。また,学力に関連して,自然体験・社会体験・生活体験など子どもたちの学びを支える体験が不足し,人やものとかかわる力が低下していることなどの課題等も明らかになっているほか,若者の勤労観・職業観についても各方面から課題が指摘されている。
  それゆえ,本審議会は,[確かな学力],豊かな人間性,たくましく生きるための健康や体力までも含めて構成する[生きる力]がこれからの子どもたちに求められる力であることを前提とし,その育成を行っていくために,まずは[生きる力]を知の側面からとらえた[確かな学力]の確実な育成を,当面取り組むべき課題として考えたのである。
 
(2)[確かな学力]をはぐくむ上で重要な視点,特に,学習意欲の向上
  言うまでもなく,知識や技能と思考力・判断力・表現力や学ぶ意欲などは本来相互にかかわりながら補強し合っていくものであり,[確かな学力]をはぐくむ上で,両者を総合的かつ全体的にバランスよく身に付けさせ,子どもたちの学力の質を高めていくという視点が重要である。また,[生きる力]が生涯にわたり実社会を主体的に生きていくための力であることにかんがみ,子どもたちが,知識や技能を剥落(はくらく)させることなく自分の身に付いたものとする,それを実生活で生きて働く力とする,思考力・判断力・表現力や学ぶ意欲などを高める等の観点から,知識や技能と生活の結び付きや,知識や技能と思考力・判断力・表現力の相互の関連付け,深化・総合化を図ること等も[確かな学力]の育成に当たっての重要な視点であろう。その際,未知のものに積極的かつ主体的に興味・関心を抱き,理解を深めたいと思うなどの好奇心を持たせることや,子どもたちと実社会とのかかわりという観点から,社会の仕組みと個人のかかわりに関する理解を深めさせ,勤労観・職業観を育成し,生き方・在り方を考えさせることなども重要となろう。
  中でも,子どもたちの学習意欲,学習習慣に関連しては,平成13年度教育課程実施状況調査の結果では,前述のような課題が指摘されているほか,基本的な生活習慣を身に付けている場合や,教員が創意工夫を生かした指導を行っている場合には得点が高い傾向がみられるところである。また,これからの生涯学習社会においては,生涯を通じて主体的に学び続けることができる学習意欲を持つことが重要であり,学校と家庭とが連携しながら学習習慣を身に付けさせることが必要である。このため,各学校において,「総合的な学習の時間」等を通じて学びへの動機付けを図るとともに,子どもの実態や指導内容等に応じて「個に応じた指導」を柔軟かつ多様に導入することなどの工夫を行うことにより,「わかる授業」を行い,子どもたちの学習意欲を高めることが,[確かな学力]をはぐくむ上でもとりわけ重要な視点であると言えよう。
 
3  「総合的な学習の時間」の一層の充実
(1)現状と課題
  創設の趣旨等
  「総合的な学習の時間」は,平成8年の中央教育審議会答申(第一次答申)及び,これを踏まえた平成10年の教育課程審議会答申において創設が提言され,新学習指導要領に位置付けられた。これらの答申では,「総合的な学習の時間」は,一定のまとまった時間を設けて横断的・総合的な指導を実施し,学び方やものの考え方の習得,主体的な問題解決等への態度の育成,生き方についての自覚の深化等を目指すことにより,[生きる力]をはぐくむという新学習指導要領の基本的なねらいを実現する上で極めて重要な役割を担うものとされている。
  この「総合的な学習の時間」は,学校教育法施行規則及び学習指導要領総則において,各教科,道徳,特別活動とともに,教育課程を編成するものとして位置付けられ,年間授業時数,単位数,各学校において教育課程上必置とすること,ねらい,学習活動を行うに当たっての配慮事項等が示されている。
 
  「総合的な学習の時間」の現状と実施上の課題等
  各学校では,平成14年度から本格実施となった「総合的な学習の時間」について,その趣旨に即して創意工夫しながら実践に取り組んでいるところである。教員・保護者・児童生徒に対する意識調査の結果等からは,創意工夫した授業計画の組立ての機会が増加し,児童生徒の自ら調べ・まとめ・発表する力,思考力・判断力・表現力,学び方や近年とみにその低下が指摘されている学習意欲の向上などにつながったなどの肯定的な声が大きい。一方,教員の負担感,学習のテーマ設定の難しさ,具体的な実施内容に関する教員の悩みなどを考慮し,何らかの参考となる手引が必要であるとの指摘もある。
  また,各学校の「総合的な学習の時間」の取組について様々な課題も指摘されている。例えば,「総合的な学習の時間」の「目標」や「内容」は,各教科等と異なり学習指導要領に示されておらず,各学校においては,学習指導要領に示された「総合的な学習の時間」の趣旨及びねらいを踏まえ,具体的にこれを定めて計画的に指導を行うことが求められる。しかしながら,学校において具体的な「目標」や「内容」を明確に設定せずに活動を実施し,必要な力が児童生徒に身に付いたか否かの検証・評価が十分行われていない実態や,教科との関連に十分配慮していない実態,教科の時間への転用なども指摘されているところである。このほか,児童生徒の主体性や興味・関心を重視するあまり,教員が児童生徒に対して必要かつ適切な指導を実施せず,教育的な効果が十分上がっていない取組も指摘されているなど,改善すべき課題が少なくない状況にある。
  さらに,「総合的な学習の時間」については「時間」であるという名称から,教科等とともに教育課程を構成するものであると受け止められにくく,計画的な指導の必要性が理解されにくくなっているとも指摘されている。
 
(2)当面の充実・改善方策
  学習指導要領の記述の見直し等
  国においては,このような指摘等を踏まえ,「総合的な学習の時間」を一層充実させる観点から,学習指導要領の記述を見直すことにより,[生きる力]をはぐくむために,各学校で目標や内容を定め,学校の実態に応じて横断的・総合的な学習等を創意工夫して行うという趣旨を一層明確化する必要がある。また,各教科等で身に付けた資質や能力相互の関連付け,深化・総合化の観点や計画的な指導,学年間・学校間・学校段階間の連携などが重要であることを明確化する必要がある。
  さらに,各学校において計画的な指導の必要性が理解されるよう,学習指導要領における「総合的な学習の時間」の位置付けを一層明確化する方途についても今後検討することが求められる。
  各学校における取組内容の不断の検証等
  各学校においては,「総合的な学習の時間」の取組がそのねらいを踏まえたものとなるよう,各教科,道徳,特別活動等を含めた学校の教育活動全体の中での「総合的な学習の時間」の位置付けと意義を明確に意識することが求められる。具体的な取組としては,各学年の「目標」・「内容」を含めて「総合的な学習の時間」についての「学校としての全体計画」を作成し,具体的な指導の改善,評価の在り方,学年間・学校段階間の連携,円滑な実施のための指導体制等について,自己評価を実施すること等により取組内容を不断に検証するとともに,学校間で実施上の情報や意見の交換を行うことが考えられる。また,指導に当たっては,教員の役割・責任を明確にし,教員が明確な目標及び内容を設定して行き届いた指導を行うことや,各教科等における学習との関連,知識や技能と生活との結び付きに配慮しつつ,学びへの動機付けを図る指導を行うこと等が重要である。さらに,学校図書館等の活用,様々な活動についての専門的知識や経験を有する公民館,図書館,博物館等の社会教育施設や社会教育関係団体等の各種団体との連携・協力や,地域の施設や経験豊かな人材など多様な教育資源の把握・活用を進めることが望ましい。
  また,学習活動の一部について,活動内容によっては一定期間連続した取組を特定の時期に集中して実施した方が効果的な場合には,通常の授業日のほか長期休業期間も活用するなどして,弾力的に授業を実施する工夫も考えられる。

http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku/index.htm
●確かな学力 ホームページ
 
これからの時代に求められる力とは?
変化の激しいこれからの社会を生きる子どもたちには、[生きる力]、[確かな学力]を育むことが必要です。
○[生きる力]とは 変化の激しいこれからの社会を生きる子どもたちに身に付けさせたい[確かな学力]、[豊かな人間性]、「健康と体力」の3つの要素からなる力
○[確かな学力]とは 知識や技能はもちろんのこと、これに加えて、学ぶ意欲や自分で課題を見付け、自ら学び、主体的に判断し、行動し、よりよく問題解決する資質や能力等まで含めたもの 

子どもたちの学力の現状 
我が国の子どもたちの学力は、国際的に見て成績は上位にあるものの、(1)判断力や表現力が十分に身に付いていないこと、(2)勉強が好きだと思う子どもが少ないなど、学習意欲が必ずしも高くないこと、(3)学校の授業以外の勉強以外の勉強時間が少ないなど、学習習慣が十分身に付いていないことなどの点で課題が指摘されているほか、学力に関連して、自然体験・生活体験など子どもたちの学びを支える体験が不足し、人やものと関わる力が低下しているなどの課題が明らかになっています。
 
新学習指導要領のねらいとポイント
完全学校週5日制の下、各学校が「特色ある教育」を展開し、新学習指導要領は子どもたちに基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせ、自ら学び自ら考える力などの[生きる力]をはぐくむことをねらいとしています。
○総合的な学習の創設
「学ぶ意義を子どもたちに実感させ、次の学びへの意欲を高めると同時に、各教科などで習った知識を実感し、体得させる。」
○教育内容の厳選
「学ぶ側にも、教える側にも、時間的・精神的なゆとりをもたらし、これを活用して[確かな学力]をはぐくむ。」
○選択学習の幅の拡大
「特色ある教育課程を編成する中で子ども一人一人の興味・関心、進路希望などに応じて、個性・能力を伸ばす。」
○個に応じた指導の充実「学習指導要領に示す内容の理解が不十分な子どもには、何度も繰り返し指導するなどして基礎・基本を確実に習得させ、既に十分に身に付けいている子どもには、習った内容についての理解をより深めたり、さらに進んだ内容について学んだりすることを可能とする。」
○体験的な学習、問題解決的な学習の充実
「体験的・問題解決的学習に取り組む中で、思考力、判断力、表現力などを養う。」

新学習指導要領のねらいの実現に向けて
 
○学力向上アクションプラン  http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/actionplan/index.htm
[確かな学力]向上のための総合的施策として、平成15年度より実施しています。
1 個に応じた指導の充実
2 学力の質の向上
3 個性・能力の伸長
4 英語力・国語力の増進
○新学習指導要領のねらいの一層の実現に向けた具体的方策
  新学習指導要領のねらいを一層実現するため、平成15年10月に中央教育審議会から答申が提出されました。(中央教育審議会答申 平成15年10月より)
「わかる授業」を行い、[確かな学力]を育成ー新学習指導要領のねらいを一層実現し、特色ある教育・学校づくりを推進
○ 学習指導要領の内容(基礎的・基本的な内容)の確実な定着
○ 子どもの実態を踏まえ、学習指導要領に示していない内容も必要に応じ指導
(補充・発展、深化・応用など)
○ 基礎的・基本的な内容の確実な定着に必要な指導時間を十全に確保(各教科等の時間+学校行事等)
○ 時間割の見直し、短縮授業の見直し等の工夫
○ 全ての学校・教師が、子どもの実態や指導の場面に応じて、習熟度別や補充・発展など、個に応じた指導を柔軟かつ多様に導入 
「総合的な学習の時間」に関して
○ 身に付けさせたい力を明確化し、全体計画を作成・実施
○ 子どもの実態を踏まえた教師による行き届いた計画的な指導
全国共通に指導すべき基礎的・基本的な内容の確実な定着を!
各学校の創意工夫と各教育委員会の積極的な取組を!

よくある質問と回答(FAQ)  
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/gakuryoku/korekara.htm
 
Q  「生きる力」とはどのような力ですか。
 これからの変化の激しい社会においては、学校で学んだ知識のみで社会生活を営むのではなく、子どもたち一人一人が自ら個性を発揮し、困難な場面に立ち向かい、未来を切り拓いていく力が求められます。
 このために必要となるのは、自ら学び自ら考える力などの「確かな学力」、他人を思いやる心や感動する心などの「豊かな人間性」、たくましく生きるための「健康や体力」などの「生きる力」です。
 子どもたちの「生きる力」は、学校だけでなく、家庭や地域と一緒になって育むものですが、学校では、これからの生涯学習社会の中で、社会に出た後も生涯学び続けることができる基礎的な資質や能力を育むことを重視しています。
 このような「生きる力」を育成の重要性は、平成8年の中央教育審議会答申で提唱されたものであり、現在の「学習指導要領」のねらいとなっています。
 
Q  「確かな学力」とはどのような力ですか。
 これからの子どもたちには、基礎的・基本的な「知識や技能」はもちろんですが、これに加えて、「学ぶ意欲」や「思考力・判断力・表現力など」を含めた幅広い学力を育てることが必要です。これを「確かな学力」といいます。
 大学や企業の人事担当者も、今の子どもについて論理的思考力や問題発見力、行動力・実行力などについて課題があると指摘しています。また、全国的・国際的な学力調査では、今の日本の子どもたちは、学ぶ意欲や判断力、表現力に課題があることが指摘されています。
 各学校では、子どもたち一人一人に応じて指導するなど「わかる授業」を行い、「確かな学力」を育むことができるように努めています。
 
 Q  現在の学習指導要領では、教育内容がかなり削減されましたが、子どもたちの学力が低下しないでしょうか。
 現在の「学習指導要領」では、各学校でより効果的な指導を行うことができるように、各教科の間で重複する内容をまとめたり、高度になりがちな内容を上の学年や学校段階の内容と移行・統合し、体系的にわかりやすくするなど、すべての子どもに共通に指導する教育内容を厳選しています。
 小・中学校では、これにより生じる時間的・精神的な「余裕(ゆとり)」を活用して、「個に応じた指導」を実施し、基礎・基本を確実に習得させるように努めています。
 また、中・高等学校では、「選択学習の幅の拡大」や「個に応じた指導」により、生徒の興味・関心等に応じて、発展的・補充的な学習ができるようになっています。
 これにより、小・中・高等学校を通じて、子どもたちに「確かな学力」を育むことを目指しています。
Q  子どもの評価が「相対評価」から「絶対評価」に変わったと聞きましたが、どう変わったのですか、また、その理由は何ですか。
 新学習指導要領においては、基礎的・基本的な内容を確実に身に付けさせ、自ら学び自ら考える力などの「生きる力」を育成することを重視していることから、評価についても、学習指導要領に示す目標に照らしてその実現状況を見る評価を一層重視することが重要となります。このため、指導要録においても、これまでの考え方を更に発展させ、従来から「目標に準拠した評価」による「観点別学習状況の評価」に加え、「評定」(各教科の学習状況を総括的に評価するもの)についても、「集団に準拠した評価」(いわゆる相対評価)から、「目標に準拠した評価」(いわゆる絶対評価)に改めたところです。
 その主な理由は以下のとおりです。 ア. 児童生徒一人一人の進歩の状況や教科の目標の実現状況を的確に把握し、学習指導の改善に生かすことが重要であるが、そのためには、目標に準拠した評価が適当であること。
イ. 学習指導要領に示す基礎的・基本的な内容の確実な定着を図る観点から、児童生徒が学習指導要領に示す内容を確実に習得したかどうかの評価を一層徹底する必要があり、そのためには、目標に準拠した評価が優れていること。
ウ. 各学校段階において、児童生徒がその学校段階の目標を実現しているかどうかを評価することが、上級の学校段階の教育との円滑な接続に資する観点から、重要となっていること。
エ. 新学習指導要領では、習熟の程度に応じた指導など個に応じた指導を一層重視しており、学習集団の編成も多様となることが考えられるため、指導に生かす評価の観点からは、目標に準拠した評価を常に行うことが重要となること。
オ. 少子化等により、かなり広範囲の学校で、学年、学級の児童生徒数が減少してきており、評価の客観性や信頼性を確保する上でも、集団に準拠した評価によるよりも、目標に準拠した評価の客観性を高める努力をし、それへの転換を図ることが必要となっていること。
 
 
Q  「目標に準拠した評価」「集団に準拠した評価」「個人内評価」について、それぞれどのようなものか教えてください。
 「目標に準拠した評価」(いわゆる絶対評価)は、学習指導要領に示す目標がどの程度実現したか、その実現状況を見る評価のことを指します。一方、「集団に準拠した評価」(いわゆる「相対評価」)は、学年や学級などの集団においてどのような位置にあるかを見る評価のことを指します。また、「個人内評価」は、児童生徒ごとのよい点や可能性、進歩の状況などを積極的に評価しようとするものです。
 各学校においては、目標に準拠した評価を一層重視するとともに、個人内評価を工夫することが求められます。
 
Q  子どもの成績を「観点別学習状況の評価」と「評定」で評価していると聞きましたが、どのようなものなのでしょうか。
 これからの社会を生きる児童生徒にとって身に付ける必要がある学力は、知識・技能のみならず、学ぶ意欲や思考力、判断力、表現力などを含む幅広い学力です。このような学力がどの程度身に付いているかを的確に把握するため、学校においては、従来から、「関心・意欲・態度」「思考・判断」「技能・表現」「知識・理解」の4つの観点から見た学習状況の評価(観点別学習状況の評価)を基本としています。(観点の数は教科によって異なっているものもありますが、観点別学習状況の評価の考え方は各教科共通です。) 「観点別学習状況の評価」は、各教科の学習状況を分析的に評価するものであり、学習指導要領に示す目標に照らして、その実現状況を観点ごとにA、B、Cの3段階で評価するものです。
 「評定」は、観点別学習状況を基本として、各教科の学習状況を総括的に評価するものであり、小学校(第3学年以上)では3、2、1の3段階、中学校では5、4、3、2、1の5段階で評価するものです。従来は、「集団に準拠した評価」によっていましたが、今回の指導要録の改善により、評定についても「目標に準拠した評価」を行うこととなったところです。
 
Q  「指導と評価の一体化」という言葉がよく聞かれますが、これはどういう意味ですか。
 学校においては、計画、実践、評価という一連の活動が繰り返されながら、児童生徒のよりよい成長を目指した指導が展開されています。すなわち、指導と評価とは別物ではなく、評価の結果によって後の指導を改善し、さらに新しい指導の成果を再度評価するという、指導に生かす評価を充実させることが重要です。このことを「指導と評価の一体化」と言います。
 このような「指導と評価の一体化」を進めるためには、評価活動を評価のための評価に終わらせることなく、指導の改善に生かすことによって指導の質を高めることが一層重要となります。また、学習の評価を、日常的に、通信簿や面談などを通じて、児童生徒や保護者に十分説明し、児童生徒や保護者と共有することなども大切です。

 
●学力のパンフレット
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/actionplan/03071101.htm
●子どもたちに確かな学力を(PDF:257KB)
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/actionplan/03071101/002.pdf

●確かな学力向上のための2002アピール「学びのすすめ」
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/actionplan/03071101/008.pdf
 
  本年4月から、全国の小・中学校で、新しい学習指導要領が全面実施されます。
新しい学習指導要領は、基礎・基本を確実に身に付け、それを基に、自分で課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する能力や、豊かな人間性、健康と体力などの「生きる力」を育成することを基本的なねらいとしています。
 文部科学省としては、「心の教育」の充実と「確かな学力」の向上とが教育改革の特に重要なポイントであり、とりわけ、今の学校教育における大きな課題であると考えております。各学校及び教育委員会においては、これまで、新しい学習指導要領の全面実施に向けて精力的に準備を進めていただいているところであり、文部科学省としても、各学校や教育委員会の取組を支援する観点から、各種の施策を講じてまいりました。
 一方で、授業時数や教育内容の削減によって児童生徒の学力が低下するのではないかという点について社会の各方面から寄せられている懸念に対しては、新しい学習指導要領のねらいとその実現のための施策とを今一度明確に示すとともに、そのねらいが確実に実現されるよう、さらに努力する必要があると考えます。
 新しい世紀を迎え、これからの日本と世界は様々な面でこれまで以上に激しい変化に直面することになると予想されます。そのような中で、これからの社会を担う児童生徒が主体的、創造的に生きていくため、一人一人の児童生徒に「確かな学力」を身に付けることが重要となると考えます。
 こうした観点から、新しい学習指導要領では、教育内容の厳選を図った上で、繰り返し指導や体験的・問題解決的な学習などのきめ細かな教育活動を展開することによって、そのねらいを実現しようとしているところです。中・高等学校においては、選択学習の幅を拡大し、一人一人の個性や能力、進路希望等に応じた学習が大幅にできるようにしました。さらに、自ら学び考える力、学び方やものの考え方、問題の解決や探究に主体的・創造的に取り組む態度などを育成することをねらいとして、総合的な学習の時間を新設したところです。
 諸外国に目を向けると、アメリカ、イギリス、フランスをはじめとする欧米諸国やアジアの国々などにおいても、教育こそが一国の未来にとっての最重要課題であるとして、国を挙げて児童生徒の学力の向上等に向けた教育改革が推進されているところです。
 また、昨年12月に公表された、経済協力開発機構(OECD)の「生徒の学習到達度調査(PISA)」の結果によると、我が国の児童生徒の学力は、単なる知識の量だけでなくそれを活かして実生活上での課題を解決する能力についても国際的に見て上位に位置していることが明らかになりました。その一方で、我が国の生徒の「宿題や自分の勉強をする時間」は参加国中最低であること、最も高いレベルの読解力を有する我が国の生徒の割合はOECD平均と同程度にとどまっていることなどの結果も出ています。
 これらは、これまでの我が国の初等中等教育において、知識や技能だけでなく、思考力、判断力などまで含めた学力の育成に向けて取り組んできたことの成果の現れであるとともに、学びへの意欲や学ぶ習慣を十分身に付ける、あるいは、一人一人の個性や能力を最大限に伸ばしていくといった課題を示すものであると考えます。
 このような課題については真摯に受け止め、改善に向けた努力を惜しんではなりません。
 以上を踏まえ、新しい学習指導要領の全面実施を目前に控えた今、文部科学省としては、新しい学習指導要領のねらいとする「確かな学力」の向上のために、指導に当たっての重点等を明らかにした5つの方策を次のとおりお示しすることとしました。
 各学校においては、この趣旨をご理解いただき、各学校段階の特性や学校・地域の実態を踏まえ、新しい学習指導要領のねらいとする「確かな学力」の向上に向けて、創意工夫を活かした取組を着実に進めていただきたいと思います。
 また、各教育委員会においては、このための各種の支援策を講ずるとともに、各学校に対する適切な指導・助言を行っていただきますようお願いします。
1 きめ細かな指導で、基礎・基本や自ら学び自ら考える力を身に付ける
少人数授業・習熟度別指導など、個に応じたきめ細かな指導の実施を推進し、基礎・基本の確実な定着や自ら学び自ら考える力の育成を図る
2 発展的な学習で、一人一人の個性等に応じて子どもの力をより伸ばす
学習指導要領は最低基準であり、理解の進んでいる子どもは、発展的な学習で力をより伸ばす
3 学ぶことの楽しさを体験させ、学習意欲を高める
総合的な学習の時間などを通じ、子どもたちが学ぶ楽しさを実感できる学校づくりを進め、将来、子どもたちが新たな課題に創造的に取り組む力と意欲を身に付ける
4 学びの機会を充実し、学ぶ習慣を身に付ける
放課後の時間などを活用した補充的な学習や朝の読書などを推奨・支援するとともに、適切な宿題や課題など家庭における学習の充実を図ることにより、子どもたちが学ぶ習慣を身に付ける
5 確かな学力の向上のための特色ある学校づくりを推進する
学力向上フロンティア事業などにより、確かな学力の向上のための特色ある学校づくりを推進し、その成果を適切に評価する
 
●「確かな学力」と「豊かな心」を子どもたちにはぐくむために・・・ (PDF:257KB)http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/actionplan/03071101/009.pdf
 戻る:宇喜田小学校学力向上プランhttp://academic2.plala.or.jp/edo34s/gakukei.htm


“確かな学力の推進を願って”  <制作>宇喜田小学校情報部
12/27/2004