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「神の器」――ですか。……どんなもんでしょうかね。
いや、三話お付き合いいただいて、どうも有り難うございました。Mも、そろそろ疲れましたよ。
ちょっと、外に新鮮な空気でも吸いに行くとしましょう。

……あぁ、外は良い天気だ。

何故、“あいつ”は死ねなかったのか。私が思うに、繊細な彼は、女の裏切りを知った時、
もう心の中の全てを、焼き尽くされてしまったのでしょう。だから、それ以上、自分の中に
燃えるものが残っていなくて、死ねなかったんですよ。……彼のように、心をズタズタに
引き裂かれてしまった人間は、この街にも、まだまだ多くいることでしょう。

そうそう、ニューヨーク辺りでは、凄いパフォーマンスが有るそうですね。
こんな……いや、もっと高い高層ビルの上から、パラシュートも命綱も付けずに、
男が飛び降りるんだそうです。勿論、毎回違う男だということですが。
――おや、何だろう。……鳥かな。


世にも怪奇な物語・完

――案内人は、“M”でした。

またお目にかかれる日を、楽しみにしております。










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