Dent Repair Kanazawa

デントリペア雑感

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デントリペア雑感(不定期更新日記)

 石川県は人口に比例してデントリペアの職人も少なく、私の知る限り当店(金沢市)の他は、白山市、加賀市に各1店舗あり、 他は無店舗の方がいたりいなかったりのようです。

過去には他のデントリペア屋さんで断られたお客さんの来店や他店でデント修理をしたけれどしっかり直らなかったというお客様のご来店もありました。



1.富山からのお客さんの件
ドアのプレスラインを縦に割り込み上側に10センチと下側に1センチぐらいのへこみが離れてあるケース。 見てみると確かに下側はドア内側にビームが張り付いていて修理できない状態でした。
なのでお客さまには「やはり下側の小さなへこみはドアビームがあるので無理ですね」と説明したところ、せめて上の大きなところだけでも 直らないかというご希望でした。しかし、そこも実はデントとしては特大サイズでしかもゆるいプレスラインを潰していますので、 「ヘコミの底上げはなんとかなるとしても映り込みの完全な復元は無理かもしれません」と再度説明すると、それでもいいので 是非やって欲しいとのことで、それではということで2時間程時間をいただいて修理を実行することにしました。

結果はというと、ドア上部の縦10センチのへこみは予想どおりドア正面から見る限り全く分からないところまで復元し 、横から透かしてみて僅かに縦に映り込みに変化があるという状態まで復元してます。私としては、大きいへこみがなんとか直ったとしても、 下側に手つかずの小さいヘコミが残っており、どこか晴れ晴れとした気持ちにはなれません。 しかしお客様はそれでも十分喜んでおられたので本来ならばその部分だけで25000円以上する仕事でしたが、 私の気持ちで15000円だけ頂き喜んでお帰りいただきました。



2.県内他店の再修理の件
真っ黒な真新しいアルファロメオで、運転席ドアの下から数センチのところを他店で修理してもらったとのこと! 拝見してみると一見してへこみはほとんど分かりません・・・しかし、角度を変えて見ると僅かに1.5センチぐらいの歪が残っていたのです。
お客様はそのチラッと見える歪みがどうにも気に入らないようで、よく見るとまあ確かに気にはなります。 しかしその歪残りは、私としても果たして直し切れるか、やってみないとわかりません。 とりあえず、そのやりにくそうなドアの下側に寝そべってツールを挿入しなんとか届くことを確認し、お客さまには 「どこまで改善するかはやってみないとわかりません」と正直なところを説明したところ、やれるだけやって見て欲しいという お客様の返事を頂いたので、引き受けることにしました。黒という色はどんなに気を使って修理してもわずかな凹凸を写しこんで しまうので正直なところ、一度他店が手がけた仕事のやり直しは、あまりやりたくないのです。

悪戦1時間、やっている私がヘコミを掴めない状態までいったところでお客様が戻られ、「もうどこにへこみがあったか判りません」 という返事を頂き、仕事は無事修了しました。このケースもやはりお客様の気持ちを察して料金は最低限の8000円を提示 すると、気持ちよくお支払いいただきました。
私としてもこのようなケースは先に訪ねたデントマンさんをとやかく言う気持ちは全く無く、改めてこれからの自分の仕事の質の向上を 心がけなければならないと再認識した次第でした。実際、この技術に完璧ということはどこまでいっても無いのだろうと思います。



3.本来デントリペアでは困難な仕事
デントリペアは完璧に直すことを考えれば内側にツールが入らない場合大変困難な作業になります。リペアの方法として 表側から樹脂製のツールを貼り付けて引っ張り出す方法もありますがこれは1センチ前後の面で出しますので、へこみの芯がはっきり している場合は芯の折れ込みを消すことが難しいのです。ツールを使うと裏側からパネルを点で押し出せますからキツめのへこみも なんとか消すことができる訳です。

先日、珍しいブルーのポルシェの入庫がありました。綺麗な曲線のリやフェンダーにいわゆるドアパンチ風な跡です。 トランク側からのアクセスは遠すぎるし、一番確実な方法としては、フェンダーのインナーパネルにサービスホールを開けることですが、 できれば穴は開けたくありません。もしドリリングしたとしてもさらに内側にもパネルがある可能性もあり必ず届くとは限らないからです。

結局お客さまと相談して、100%直らないかもしれないがボディに穴を開けずに外側からの吸引だけで最善を尽くしてみることにしました。 汗かくこと1時間半!結果はというと芯の部分にわずかに歪は残ったものの非常に浅く小さいためよく見ても殆ど分かりません。 ただ、僕から見て納得という訳ではないので料金を少しお安くしまして、お客さまには満足してお帰り頂きました。



4.車のあちこちに・・
お客様からの相談でVWパサートの左側Fドアに1箇所、左側Rドアに数箇所、右側Fドアに1箇所、右側Rフェンダーに2箇所の合計 4箇所(7個)のヘコミ修理を相談されました。この場合、左側のヘコミは全て完全修理できるが、右側Fドアのヘコミは位置が悪く しかも横に引きずったヘコミで鉄板が伸びていて少し痕跡が残りそうです。そしてリヤフェンダーの2箇所のヘコミはプレスラインを 潰していて、しかも内側に隙間がありません。外から引っ張るだけなので自ずと限界があります。 お客様には右のリヤフェンダーがしっかり直らないと説明したところ、やれるところまでやることでお引き受けしました。

このケース、板金屋さんに相談するとくるまの周り中なので全塗装又は窓下塗装となり、ざっくりと20〜30万円ぐらいには なりそうです。結果的にはリやフェンダーに、そこそこヘコミの痕跡が残ることとなりましたが、それ以外の大小5個の へこみ修理代相当の5万円を頂き了解して頂きました。リヤフェンダーのへこみは相当な時間をかけ、かなり浅くはしたものの、 予想どおりそのキツイ折れ込みはどうしようもなく。デントリペアの限界を感じた日でした。まだまだ精進です。



5.福井県から再度の来店
今年5月のこと、プジョーのお客様で左Fドアの前端にしっかり折れ込んだへこみを持ち込まれました。 突風でドアが開きすぎてドアヒンジに当たり、ドアの前端が局部的に開いてしまっています。一目見て、はっきり板金コースです。 お客様にもそのとおり説明しましたが、それだけでドア1枚の板金塗装7〜8万円はちょっと・・・という感じなので 完全には直せないし少し塗装が痛む可能性もありますが、目立たなくすることはできます。と説明するとやってみてくださいとのこと。 悪戦1時間!想像以上に固く手ごわい鉄板でしたのでドアの端1ミリぐらい塗装が剥げましたが折れ曲がりは殆ど解消して、 塗装の欠けた点をお詫びしたところ、快く承諾頂きましたので簡易修理代として5千円だけ頂きました。

このような所詮無理な修理の場合お客様のその後の心象が気になるところですが、この度遠く福井県から再びの来店を頂きました。 今回は普通のドアパンチの大きめなものです。近くの近江町市場へお出かけ頂いている間の1時間半ぐらいでほぼ完全修理。 ほぼというのはボディカラーが黒系なので、縦に長いドアパンチなどは僅かに映り込みに変化がでるからです。 お客様にはお褒めいただきましたが、まだまだ精進が必要です。


6.自分でへこみを触る場合
持ち込まれたくるまのヘコミを拝見して時々あるのが不自然な出っ張りの発見です。
聞けばやはりお客様がご自身で裏から何かで押して見たというケース。「何かで押せば直るかもしれない・・」という お気持ちはわかりますが、一度へこんだ鉄板はそう簡単には元に戻りません。結果、改善するどころかへこみ面がでこぼこになって しまうということになり、最悪は僕たちプロがリカバリーし切れないひずみの元を作ってしまうことになります。

ではなぜプロのリペアマンは固い工具でひづみを造らず綺麗に直すのかと言えば、それはケースバイケースですが、 まずへこみが小さくキツイ場合は絶対にその芯を1ミリも外さないこと!や、へこみが緩く広い場合などはまず硬いツールを直に当てず 弾力のあるツールカバーをして少しづつ満遍なく上げていくことです。へこみの種類も千差万別で私達も駆け出しの頃は多くの失敗や 経験を積んで現在に至っており、やはり大事なご自分の愛車なら不用意には触らないほうが懸命かと思います。  

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