柱時計



 我が家の居間にある柱時計は、ゼンマイ式の手巻きの時計です。
おばあちゃんが結婚した時の物だそうですから、50年以上働いています。数年に1度、時計屋さんでオーバーホールしてもらいますが
「あと50年は動くよ。」とのことでした。ぜひ、がんばってもらいたいなあ(^^)。

 子どもの頃、時計は貴重品でした。(もちろん、現在も高価なものですが)
入学祝が腕時計でしたから、100円ショップで買える世の中になるなんて思いもしませんでした。
 中学生の時、朝のニュースに時刻が出るようになったと記憶してます。
それまでは、家の時刻を決めるのは、居間の柱時計でした。一番正確な(*^_^*)時計を持っていたのは父で、柱時計を巻くのも父の仕事でした。
我が家の時を刻んできた、って感じですね。

 高校生になる頃、引越しをしました。
古い道具は処分することになったのですが、その中に柱時計も入っていました。修理しても動かなくなって、電池式の壁掛け時計に変わっていたからでしょう。
父の運転する車に乗って、市の郊外にあるゴミ処分場に、古いものを捨てに行きました。
ひとまとめにした道具類を、ゴミの山に放り投げたら......
「ボーン」と1回だけ、聞き慣れた音が.....
 柱時計のお別れの音だったんでしょうか。
 30年近くになるのに、忘れられずに心に残っている光景です。