鬼とは・・・


  鬼とは何かと言う問題を論ずるとき、カミ、タマ、モノと言う3点を考慮に入れた上で考える必要がある。

  我々が一般的に神と呼ぶものは日本神道と言う枠組みでは自然に存在する霊威の集合体と考えられている。これは日本の神の概念が自然崇拝であるアニミズムおよびそこから派生したシャーマニズムに基づくものだからである。この場合に述べる神は西洋の神々に見られるような人格神、意志神ではなく、言ってみれば民族意識の集合体である。この人格神と民俗神の差異を表すため神ではなくカミと書かれる事が一般的である。

  しかし、それは古来の民族意識の中にこそ生まれ出でるものであり、神道が人格神としての国家意識に目覚めてしまった時にカミは神となったのである。つまり俗っぽい言い方をするなら神は天津神を表し、カミは国津神を表すと現段階では端的に理解してくれてかまわない。

  ここまでくれば、理解できたものと思う。タマ、つまり霊威の集合体であるカミはその神威を失い、零落しモノ、つまりは物の怪と呼ばれるモノになった。これが国津神、カミの妖怪としての解釈である。ただし、注意しなければならないのはすべての妖怪がカミであったわけではないと言う点である。

また、人間に対して鬼は対極に位置するものとして考えられる。人間を日の下に住み社会を形成する存在として位置づけられる場合、鬼は日を嫌い自然に生きるものとして考えられる。