いま、人間たちが住んでいる場所は物質界やアッシャー界と呼ばれるが、薄明界とはその物質界と重なって存在する霊的な空間のことである。アストラル界、幽界、夢幻界などと呼ばれる場合もある。物質界と死後の世界であると考えられる黄泉の境目の空間と言われている。 薄明界は一見、物質界と何ら変わりのない空間に見える。ただし、その名の表す通り、常に黄昏刻程度の明るさで構成されている。また、薄明界にしか存在せず、物質界では感知できない霊的存在、つまり鬼などを見ることもできる。さらに、目を凝らせばうっすらと地脈の流れや気の性質を見ることもできるだろう。 薄明界は物質界に存在する物理法則にある程度は基づいて構成されている空間である。しかし、それは万有引力の法則と物が視界を遮断すると言う程度である。薄明界は霊的な法則に大きく影響をうけた空間である。霊的法則とは大きく1.物質に影響を受けず、影響を与えない、2.精神、意識の影響を受け、影響を与える。と、いうことである。この時、優先されるのは精神的影響である。 物を動かす場合と扉を通る場合を例に考えてみよう。まずは、もともと薄明界にいる存在、つまり鬼などの場合である。彼らは物質界の法則を感じられないため、物を動かしたり、扉を開けるという物理的な行動はできないだろう。しかし、薄明界の法則を理解しているため物理影響を受けず、扉を素通りしてしまうことはできる。 では、物質界から薄明界に移ってきた存在の場合はどうであろう。彼らには物理法則という常識がある。彼らが「物を動かせる」、「扉は開けられる」と強く考えた場合、物理法則に乗っ取って、薄明界からそう言った物理的影響を与えることができるだろう。精神が優先されたのである。この時、物質界では物が勝手に動いたり、扉がひとりでに開いたりしたように見えるだろう。また、薄明界を理解していれば扉を素通りすることもできる。薄明界を理解していなければ逆に常識がストッパーとして働いてしまい、扉の透過は不可能である。 |
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