さらに・・・


さて、大嶽丸の物語は大体わかって頂けたであろう。これは『田村の草子』という御伽噺であるが、もう一つ『田村三代記』と言う書物があり、この両者の物語は微妙な食い違いを見せる。

  その最大の差は『田村三代記』では、『田村の草子』で大嶽丸となっていた鬼が立烏帽子と言う名の女の鬼で、主人公俊宗(田村三代記では利仁と言う名)はこの鬼を妻としてしまうのだ。これにより一応、悪さをしなくなったわけであるから鬼退治は成功したと言っても差し支えはないが…。

  その後、立烏帽子を妻とした利仁は高丸と言う別の鬼を退治している。

また、『田村の草子』では定命尽き死した鈴鹿御前を追い冥府まで下り、他人の肉体を使って俊宗が鈴鹿御前を再生させる物語も追加されている。