―――――――CLOVER―――――――
晴れ渡った空の下で、はナナミとたちが遊びまわるのをのんびりと眺めていた。
日頃エヴァーズ城からあまり出られないを気遣ってか、フリックやビクトール、シュウまでもが今日のために頑張ってくれていた。
その甲斐あって丸一日休むことが出来たのだ。
とその姉ナナミは、ピリカを連れて城から少し離れた原っぱへと来ている。
取りあえずの保険として付いて来ていたは、三人が遊びまわるのを眺めながら自分もおやすみモードに入っていた。
暫く走り回ったり、を巻き込んでじゃれ合ったりした後、三人は真剣な目をして地面を見ている。
ちょっと気になって声をかけた。
「、なぁにやってんの?」
「クローバー・・・・・・」
「え?」
「だから、四葉のクローバー探してんの!」
ほら手伝って!!と、手を引かれて座らされてしまった。
三人が真剣な目で探しているところにはクローバーが群生している。きっとそこなら一つぐらいはあるのではないこと思ったのだろう。
はその可愛らしい考えに笑みを浮かべながら協力する。
「四葉のクローバーって、あのおみくじみたいのでしょ?」
「おみくじじゃないよ!!見つけると幸せにんれるんだって!!」
「・・・・・・おみくじと一緒じゃなかったのか。」
「・・・・・・・・・・・・本気でいってたの?君。」
「結構マジだった。」
そんなことを言いながら四人は時間の経つのも忘れてずっと下を見ていた。
がはっとして気が付くと、そろそろ日が傾き始めていて帰らねばならない頃だった。
「、そろそろ時間だけど・・・・・・」
「やだ!!見つかるまで帰らない!!」
声をかけると、予想通り顔を上げもせずに即答されてしまった。
も出来ればそうさせてあげたかったのだが、今日中に戻らねばならない。
いくら近いからといって、夜の森をピリカの様な子供を連れて帰るわけにも行かない。
は溜息を吐くと、三つ葉のクローバーを4つ摘んで、ちょっといじる。
「、ナナミ、ピリカ見てごらん?四葉のクローバーだよ。」
『えぇ!?ホント!?』
「うぅ〜!!」
は手を広げると、そこには四葉のクローバーが三つ握られていた。
だが、がそれを三人に渡すと、それはすぐに四つの葉に分かれてしまった。
「何これ!!ただ四つ葉っぱを集めただけじゃない!!」
「ホントだ!!君の嘘つき!!」
「うぅぅ〜〜〜!!」
たちは怒ってしまったが、はニッコリと笑うと、質問をする。
「たちは四葉のクローバーを見つけたらどうするつもりだったの?」
「どうするって、摘んで帰るよ。」
「それってさ、可哀想じゃない?」
「何で?」
「だけが幸せになっちゃうよ?」
「・・・・・・・・・」
の一言には呆然とする。
確かにクローバーを見つけられたら幸せになれるかもしれない。
じゃぁ、見つけられなかった人は?
じゃぁ、見つけてしまった後は?
「だからね、俺は思うんだ。四葉のクローバーよりもね、三つ葉のクローバーのほうがずっとずっと凄いんだって。」
「え?」
はたちを見渡すと、笑いながら謳うようにいう。
「三つ葉のクローバーは、四葉のクローバーがあるんじゃないかって、夢をくれる。
三つ葉のクローバーは、一杯あるからすぐに見つけられる。
三つ葉のクローバーは、もう一枚足せば四つ葉のクローバーになる。
だからね
三つ葉のクローバーは皆に夢と幸せをくれるんだよ。」
「それにね、
三つ葉があるからこそ、四葉の価値があるんだよ?」
は、そう言うと『だけどやっぱり、嘘ついてごめんね?』と謝った。
はビックリしていたが、次第にの言葉が胸にしみこんでいき、何となく四葉にこだわることを止めた。
(それよりも、君が僕に四葉を作ってくれたことのほうが嬉しいしね・・・・・・)
が作ってくれた四葉を見ていたら何だか嬉しくなってきた。
と、はいいことを思いついた。
ナナミとピリカ、そしてにその考えを話すと、皆が賛成してくれて、もう暫くその原っぱにしゃがんでいた。
その一ヵ月後、その日のために協力してくれた人たちが、何故かよく本を借りに来るようになったのを、テンプルトンは訝しげに思っていた。
特にビクトールが借りに来た時は驚いた。
「ちょっと、ビクトール!熱でもあるの!?本を借りに来るなんて!」
思わず声をかけてしまったテンプルトンのあんまりの言い草に、ビクトールは苦笑するとこう応えた。
「せっかくの贈り物は使わねぇとな。」
『CLOVER』
それは
シアワセのカタチ。。。
□■□あとがきという言い訳□■□
今回はターゲットはずばり!!
お題は『四葉のクローバー』でした。
元々水谷の書いた『クローバー』という詩からお話にしたのですが、
元の詩が暗い!!兎に角めっさ暗いのですよ。
はっきり言っこれでも明るくなったんすよ。これでも。
多分効き目はビクトールさん落ちだから。
あぁ、ビクトールさんありがとう!!

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