その人が持っているキャラクター


その人しか扱えないもの


それが一番よく出ているのは・・・・・・・・・







―――――――Let's exchange dress!―――――――






「今日もご苦労様でした。フリックさん。」
「ご苦労と思うなら助けてくれ・・・・・・」




いつもより遅い時間にフリックさんが降りてきたのを見て、俺はにこやかに出迎えてあげた。
心なしかげっそりとした表情のフリックさんは、俺とビクトールの声を聞いて、フラフラしながも歩いてくるが、テーブルまで来ると足を止めた。




「どうかしましたか?フリックさん?」
「何でがいるんだ?」
「いけません?」
「メッソウモナイデス。」




そう、席に着いているのは俺とビクトールさん以外に、とナナミ、カミューさんとマイクロトフさんがいた。
フリックさんは『俺に安息の地はないのか・・・・・・?』と呟いていたが、いいのかな?多分たちに聞こえてると思うんだけど・・・・・・
あ、やっぱりの笑顔が深くなった。
それに気付かずフリックさんは席に着くと、いつもよりアルコールが弱いお酒を頼む。
何だか凄く疲れたオーラ出してるね。




「フリックさん、今日は一段とお疲れのようですね?
 どうかされましたか?」
「どうもこうも、今日もニナに・・・・・・・」




カミューさんが心配した様子も見せずににこやかに聞くが、それにもフリックさんはどんよりと返事を返す。
そういえば昨日ニナちゃん『明日は頑張るわよ〜〜〜!!!!』って気合が入ってたっけ?
一体何やったんだろ?




「今日は一段と凄かったんですか?」
「ああ・・・追い掛け回されたのは同じなんだが、何故か今日は逃げる先、逃げる先に現れて・・・・・・」
「・・・・・・どうやって?」
「分らん。
 しかも、最後には追い詰められて、湖に落ちたんだよ・・・・・・」




ふと、カミューさんと顔を見合わせる。
なんだろ?微妙に通じ合ってる感じ。怖いな・・・・・




「大変でしたね・・・・・マントつけたままだと、沈みますしね。」
「ああ・・・危うく溺れるところだった。」
「それにしても、どうしてニナ殿にはフリックさんの居場所が分るんでしょうね?」




マイクロトフさんも不思議そうに言う。
っていうかマイクロトフさん。溺れかけたのを『それにしても』で片付けないであげてください。
フリックさんが凹んでます。




「やっぱりフリック・センサ〜が付いてるんだろ!!」
「ビクトール、怖いこというな!!!」
「他には・・・・・・やっぱり服装ですかね?」
「ありえますね。フリックさんはいっつも青いマントつけてますし。」




俺がいうと、カミューさんもうなずいてくれる。
だって、何で室内までマントつけてるんだろ?
俺だってマント使うけど、寒くない時は外してるし。




「フリックさん、室内ではマント外したらどうです?邪魔じゃないですか?」
「いつもつけてないと、動きづらいだろ。『戦場で動きづらくてやられました。』じゃ笑えないし。
 っていうか、そんなこといったら、カミューたちも何でいっつも騎士服なんだよ?」
「私たちですか?」
「そういえばそうですね・・・・・・」




そういえば、カミューさん達も常に同じ服装だよな・・・・・・
何でなんだろ?
・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・意外に服がないとか?




「違いますよ?君。ちゃんと服は持ってます。」
「そうですか・・・・・・」




何で俺の考えてる事が分ったんですか!?
流石です。赤繋がり。



君?」
「同じ服なのは、騎士団にいた頃からの慣れで、この服じゃないと落ち着かないんですよ。」
「なるほど。
 でも、違う服を着たいとか思わないんですか?」
「あんまり思いませんね・・・・・・・」




マイクロトフさん、助かりました。
こちらを爽やかな無敵スマイルを浮かべながらも、後ろに黒いものを背負ったカミューさんが見ております。
ごめんなさい。カミューさん・・・・・・・・・
すると、今ままで黙っていた元気娘ナナミがいきなり立ち上がる。








「良いこと思いついた!!!」







ナナミ・・・・・本当に良いことだよね?凄く心配なんだけど・・・・・・
そんな俺以外の皆も含めて、不安げな視線に包まれながら、爆走娘が気付く様子を欠片も見せずに生き生きとおっしゃった内容は・・・・・・・・・































翌日の会議室。
俺はナナミの提案に巻き込まれて、いつもと違った朝を迎えて此処にいた。
真っ先に見られて、眉間の皺を増やしたシュウさんに昨日の事を説明したところだった。




「・・・・・・・だからそんな格好をしているのか。」
「ハイ。でも、俺はまだいい方だと思いますが。」
「・・・・・・だろうな。」




俺の今の格好は、ルックの法衣によく似た服装だが、色は薄い青紫。
それに何故かロッドとサークレット付き。
何でこんなのが手に入ったんだろう?

昨日の夜、ナナミが言い出したのは

『服の取替えっこしよう!!!!』

だった。
本当はその前に、『女の子の格好をしよう!!!』といわれたけど、カミューさんと以外に猛反発された。
っていうか、何で俺までこんな格好をさせられているんだろう?
ナナミ曰く『フリックさんだけじゃ出来ないし、いつも同じ服だと面白くないでしょ?』とのこと。
日常の服装に面白さを求めないでくれと思ったのは俺だけじゃないはずだ。
だが、同盟軍ある意味最強な少女・ナナミに誰も敵う筈もなく、結局俺達までやらされる羽目になった。




「それで、他の連中はどんな格好をしているんだ?」
「元々俺もと交換する筈だったんですけど、サイズがあわなくて、倉庫から拝借してきました。
 も同じく倉庫からかっぱらってきた服を着てます。」
「それで?」
「俺の服に似たヤツがあったんで、それ着てますよ?マントはつけてないですが。」
「深緑色のですか?」
「いや、紺ですよ。アップルさん。」




それまで黙っていたアップルさんも話に乗ってきた。
女の子ってこういう話が好きなのかね?




「何となく大人っぽい感じに変わってましたよ?」
「何となく分ります・・・・・・」
「で、他の連中は?」
「他は四人で入れ替えです。」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・・四人?」」
「はい。カミューさん、マイクロトフさん、フリックさん、ビクトールさんです。」
「「・・・・・・・・・・・・・・・・」」




俺もビクトールさんを入れるのはどうかと思ったよ。
だって、ビクトールさんの服って袖破けてるし、薄いし。
正にビクトールさんにしか着れない服って感じ。
しかも、更にビクトールさんに他の三人の服が似合うとは・・・・・申し訳ないが思えない。




「それで・・・・・・」
「もちろんビクトールさんにどの服を着せるか論争になって・・・・・・」
「どうなったんですか?」
「フリックさんとマイクロトフさんでジャンケンを。」
「ジャンケン・・・・・・・・・」




先は見えたなって感じですね。
でも凄かったですよ?カミューさんは真っ黒いオーラ全開にして笑顔で

『私に着させるおつもりですか?』

って言うし、マイクロトフさんと、フリックさんは鬼気迫る表情で殺気を振りまきながらジャンケンするし。
それに、ビクトールさんは『どうせ俺の服なんて服じゃねぇよ・・・・・・』って落ち込むし。
まぁ、俺とは離れて見守ってたけど。




「結局案の定フリックさんが負けまして。」
「やっぱり・・・・・・・」
「それで、カミューさんがフリックさんの服、マイクロトフさんがカミューさんの服。」
「・・・・・・まぁ、まだマシだな。」
「そして、ビクトールさんがマイクロトフさんの服。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
「最後にフリックさんがビクトールさんの服。」
「・・・・・・可哀想。」




アップルさん、その言い方も酷いよ。
気持ちは分るけど。




「ちなみに、フリックさんはあまりにも嫌がって、倉庫から灰色の外套持ってきて被ってます。」
「憐れだな。」




何ていうのでしょうか、どっちかというと、ビクトールさんの服というより、クライブさんの格好って感じでしょうか?




「良かったですね。外套があって。」
「そうですね。冬物で暑そうでしたが喜んでましたよ?」




ニコニコとアップルと笑いあうが、シュウさんは首をひねる。




「どうかしました?」
「今日はフリックの部隊は屋外訓練が入ってたはずだが・・・・・・・」
「「・・・え。」」




悲しくなるくらいの晴天の下、
遠くからかなり盛大な悲鳴が聞こえたのは仕方ないのかもしれない。














【余談】
悲鳴がおさまって、そろそろ仕事を始めようかと、インクの蓋を外そうとし・・・・・・・

「くっ!!袖が邪魔!!!」

四苦八苦していると、シュウさんが何故か、

「貸せ。」

と言って蓋を取ってくれたり、クラウスさんが書類を持ってきてくれたりと、何故か今日一日優しく扱われたのは何ででしょうか?









その人が持っているキャラクター


その人しか扱えないもの


それが一番よく出ているのは


もしかしたら


服装なのかもしれない







□■□あとがきと言う言い訳□■□
とうとうやってしまいました。着せ替えネタ。
途中で、着せ替えじゃなくて、女装ネタにするか?
とも思ったんですが、それは自制しました。
ちなみに、と、の服装は似合ってると思ってください。
そのほかは・・・・・・・申し訳ありません(土下座)
あと、の格好をシュウさん視点から見たのは後でアップします。