戦いの中で思うことがある


家族を守りたい


国を守りたい


平和を守りたい


彼らの願いは強い


しかし俺の願いは・・・・・・・・・






―――――――Rolling Stone―――――――――




雄たけびを上げて敵の兵を薙倒す。

これで何人目だろうか?の持つ剣は血で染まり、元は緑だった服にも所々返り血がついている。

そんな事に今更構ってもいられず、新たに襲い掛かってくる兵を相手にしつつ、とジョウイを目で探す。

とジョウイは砦の上で弓部隊の指揮をしている。

その様子は堂々としたもので、的確に状況が判断できているようだ。

はどうやら心配ないだろうと判断すると、相手に真剣に向き合う。





「全くどうしてこうなるんだろうね。いつも・・・・・・」

「この!!ガキがぁ!!」





剣を交えながら愚痴をこぼすと、なめられたと思ったのだろう。敵兵が大きく振りかぶって力で切り伏せようとする。

はその懐に飛び込むと、脇腹を一閃してすり抜ける。

どんなに甲冑で身を固めようと、継ぎ目の脇などはどうしても薄くなってしまう。

は脇、首、肘、膝裏などその欠点を突いて常に剣を繰り出していた。



次の敵を探そうと街道の方を見ると、一人の兵が馬を駆ってきてきた。

白地に赤いラインの軍服を着た兵は、上手く飛んでくる矢を叩き落してきている。

その動きからどうやらハイランドの名の有る将のようだ。

厄介だと判断すると、は今し方倒した兵の剣を拾いあげると、その馬に向かって投げる。

剣は狙い違わず馬の首元に刺さる。馬はもんどうりをうって倒れるが、将は落馬することなく、ひらりと降りると、

真っ直ぐに向かってくる。





「おお!!」

ガギン!!





気合もろとも繰出され剣は重く、は内心舌打ちをしつつ、受け流す。

力に頼るような剣ではないのだが、背が比較的低いには厄介だ。

動き、急所を正確に狙おうとするが、うまく立ち回ってそが交わされてしまう。

何度か剣を合わせているうちに、何故だか将の目と口元に嬉しそうな表情が浮かんでくる。





「・・・・・・何が可笑しいんですか?」

「可笑しいわけじゃないさ。こうして強い敵に逢えると嬉しくってね!!」

「褒め言葉として受け取っておきましょう。」

「ああ!!そうしてくれ!!」





無駄口を叩きながら剣を交わしていると、一瞬将の構えに隙が出来る。

その一瞬を逃さず、は剣を叩き落し足で遠くに飛ばすと、首に剣を突きつける。





「くっ・・・・・・!」

「・・・・・・・・・感情的になるのはお勧めしかねますね。」

「・・・・・・・・・同僚にもそういわれたよ。」

「良いご同僚ですね。」

「へっ!アイツに聞かせてやりてぇ台詞だな。」





剣を突きつけたままそんなことを言っていると、街道の方でわぁ!!という声が上がった。

どうやらビクトールとフリックの部隊に押されて、ソロンが退却を始めたようだ。





「どうした?殺らねぇのか?」

「・・・・・・・・・聞かせてください。どうして貴方は戦うんです?」

「・・・・・・・・・どうしてそんな事を聞く?」

「興味本位です。」

「・・・・・・・・・母国ハイランドのためさ。」

「ルカの暴走に付き従う事が?」

「それは・・・・・・・・・!」





そんな話をしていると、いきなりがいきなり何の前触れも無く振り向きざまに剣を振るう。

キン!と甲高い音を立ててナイフが弾かれると、赤髪の将が間合いをはずし、剣を拾っていた。

は溜息を漏らすと、今し方ナイフを投げた相手を見据える。





「落ち着いていますね。前後を挟まれてしまっているのに。」

「戦場じゃぁ、前後左右敵に囲まれてるもんでしょう?」

「その通りですね。
ところで、シード。こんなところで何やっているんだ。退却の指示が出ている。」

「分かってるよ。クルガン。」





その辺にいた馬に飛び乗ると、の傍でよってくる。

は既に剣をしまっていて、訝しそうに近寄ってくるシードとクルガンを見上げていた。





「何か?」

「どうしてすぐに俺を殺さなかった?」

「さぁ?」

「・・・・・・貴方のお名前は?」

だよ。。」

・・・・・・貴方でしたか。

 ルカ様からの指令で貴方を連れてくるようにといわれております。」

「やだよ。行かない。」

「いいじゃねぇかよ。ハイランドに来い!。」

「人の話は聞いてください。いやだって言ってるんですよ。俺は。」

「・・・・・・私も貴方のような方が近くにいれば安心して剣が振れます。」

「人の話し聞けよ。」





は本日何度目かも分からない溜息を漏らした。

どうしてハイランドの人間は人の話を聞こうとしないのか。頭を抱えたくなる。





「俺だって理由も無くこの場に立ってるわけじゃない。」

「では何故戦っているのですか?」

「守りたいからだ。
 貴方方のように国とか、たちのようにこの地に住む皆とか大きいもんじゃないですが。」





はそういうと、しっしっと追い払うそぶりをすると、周囲の生存者の確認に向かう。

だが、クルガンは最後に二つといって呼び止める。

かなり呆れながらもは手早くしろというと、向き直る。

クルガンはを真っ直ぐ見つめると、質問を投げかける。





「何を守りたいのですか?」

「この手で守れるだけのもの。それ以上は望まない。望めない。」

「・・・・・・では最後に。何故直ぐにシードを殺さなかったのです?」

「・・・・・・・・・・・・ノーコメントだ。」





それだけ聞くと、二人は馬を反転させ、退却していく。

はその様子を見送ると、また溜息を吐いて空を見上げる。



『どうして直ぐに俺を殺さなかった?』
『何故直ぐにシードを殺さなかったのです?』








「そんなこと言われたってなぁ・・・・・・」









はシードの剣を交えてた時の目を思い出す。

その時のシードの目は大きなモノを守るれるとこを信じていた。

揺るぎ無く、真っ直ぐで、感情的な睛。

それはに思い出させていた。










「似てるって思っちゃったんだよなぁ・・・・・・」







は何故だか昔の自分を思い出していた。

大事な多くのものを守れると思っていたあの頃。

その頃の相棒はの目を『良く言えば真っ直ぐ。悪く言えば直情型ね。』といっていた。

その事を思い出して何故戦うのかを聞きたくなって剣を止めてしまったのだ。






「あ〜〜シードっていやぁ、ハイランドの猛将、クルガンは智将じゃないか。
 これからのことを考えれば殺しとくべきだったかもしれないですね・・・・・・
 どうしましょうかね・・・・・・」




過ぎた事は戻らないと分かっていつつも、またさらに溜息を漏らしてしまった。







守りたいもの

それは国だったり

家族だったり

平和だったりするけれど

だけど俺の願いはもっと小さい

この手で守れるモノを

俺の力でどうにかできるだけモノを

それ以上は何も望まない

だから

今度こそ

今度こそ

失ってなるものか








□■□あとがきという言い訳□■□

とうとう猛智将登場!!ああ、いい!!何ていいんだ美青年!
水谷はハイランダーというわけではないですが、この二人は好きだし、
何気にルカも好きです。
っていうか、シードとクルガン何気にドリ主をナンパ(違!)そして玉砕(殴!)
ドリームに良くある感じですが、ウチでもやってます。
所で最近思うのですが、もしかしなくてもドリ主の過去話を書かないといけないのかも・・・・・・
だって、所々意味不明だし・・・・・・
どうしたものでしょう・・・・・・