ドリーム小説





いつからだろうか?

人の死に慣れてしまったのは

いつからだろうか?

剣を振るう理由を見失いがちになったのは

それは紛れも無い狂気

彼の目は俺にそれを見せ付けた




―――――― Rolling Stone 3 ―――――――



ツァイの住んでいるというのは村から少し外れた森の奥。

そこはモンスターが多く、村の人間もほとんど寄り付かない、そんな場所。

だからこうなってしまったのも納得できる。

=現在奮闘中。



「いい加減にしてほしいんだけどなぁ〜さっきからぽこぽこ涌いて出てきやがって。」



現在の相手は5体の猪。姿形を裏切らず動きが早い。

普通の剣士なら一人が五体相手するのは無謀だと言うだろう。

たちも『手伝う』といっていたが、はそれを止めた。

今回は引率のようなものとしてきている。下手に怪我をされてしまったら役立たずと思われ、フリックたちに逃がされてしまうだろう。

たちも弱くは無いのは分かっているが、『こうなったら掠り傷一つ負わせてなるものかぁ〜〜〜』と言うノリになってきたのだ。

など考えていると、正面から猪突猛進その文字の如く一体が突っ込んでくる。

は『やはり猪は猪か。』とかいらぬことを考えながら余裕を持って交わし、擦れ違いざまに脳天を剣で割り、そのまま次の獲物へとかかっていく。

その戦いぶりは舞うような動きと、地を這うような速さ、それでいて鬼神の如き強さだった。

五体の猪モンスターはあっという間に物言わぬ塊と化した。




「ん〜やっぱり少し鈍ってるのかなぁ?」

「そんなに強いのに・・・・?」

「ん〜〜〜まぁ、全盛期に比べるとねぇ。」

「全盛期って、齢90のジジイですか?」

「人に年齢は聞かぬものさ〜」





戦闘が終わって剣をしまうも、はどこか納得がいかないようだった。肩をもみながら、腕をぐるぐる回している。

とジョウイは納得がいかないような顔している。

その二人に笑いかけると、森の奥へと進んでいく。





「ねぇねぇ?君ってさ、どうして戦闘中は口調が変わるの?」

「え?変わってたか?」

「変わってたよ。いつもははっきりした口調なのに、戦闘中はどこか抜けたような感じがするよ?」

「あぁ、多分それは癖みたいなもんだと思う。」

「癖?」





ナナミとに聞かれると、は考えながらも答える。




「そ。癖みたいなもんだね。戦闘中は感情の起伏を少なくするためにゆるい感じにするんだ。そうすれば馬鹿な行動もせず、引き際も間違えない。

でも、感情がなくなるわけじゃないからね。キレそうになる時間あるよ。」

「ふ〜ん・・・・そうなんだぁ・・・・・考えて戦ってるんだね。」

「最初はね。今じゃ戦闘モードになるとそのままなっちゃうから。やっぱり癖だよ。」





そんな話をしていたら、すぐにツァイの家へとついてしまう。

ツァイは事情を聞くと、娘と一緒に仲間になってくれ、すぐに砦へと向かうことになる。









森を抜け、村へと戻るとそこに待っていた光景は

逃げ惑う人

燃え上がる家屋

剣の交じり合う音

怒号と喧騒

断末魔の悲鳴

まさに地獄絵図だった。





「ちくしょう!!許せない!!」

「助けに行かないと!!」





そんなたちの声が聞こえた気がする。

だが、は黙ったまま動かない。

(・・・・・・・・・・・・アア、マタカ・・・・・・・・・・・・・・・)

するとすぐ近くで声がした。

弾かれたようにそちらを向くと、白い甲冑を身に纏った兵士がいた。

その足元には女性が泣きながら地面を這っている。

おそらく命乞いをしているのだろう。男が嫌な笑みを浮かべている。

すると、いきなり剣を振り上げ女性に叩きつける。

女性は断末魔の悲鳴を上げると動かなくなる。

はその光景を他人事のように感じた。

(何モ感ジナイ・・・・・・・・・・・?)

は呆然とそんなことを思った。





「くそ!!もう許せない!!僕は行く!!」

「僕ももう我慢できない!!」

「いけない!!」





その光景を見ていたのだろう、とジョウイが飛び出そうとするが、ツァイが素早く気絶させてしまう。

はそれを見ると、ドキッとしてしまう。

(何でだ?)

自分の感情に驚きながらも、冷静さを取り戻し気絶した二人をささえる。





君!!」

「!!!」

ガギンッ





間一髪。をナナミのほうへ突き飛ばすと、その反動で後ろからの攻撃をよける。

ナナミは何とか弟を支えている。どうやらきちんと受け止められたらしい。

それを視界の片隅に捉えながら、今の攻撃の主を無表情に見る。

抜き身の剣を持って立っていたのは先ほどの甲冑の男だった。





「ツァイさん。先に砦へと急いでください。」

「しかし・・・・!!」





男は見るからに纏っている雰囲気が違う。かなりの腕だと素人でも分かるだろう。

はそう思うと表情を緩めかすかに笑う。

男は眉を跳ね上げるが気にせずに言う。





「邪魔です。」

「・・・・・・・・・・無理はするな。」





ツァイはそう言うと、ナナミを連れて行く。

は笑みを消すと、剣を抜く。





「随分な自信だな?豚の癖に」

「ブタ・・・・・?随分と人を人と思わぬ発言ですね。」

「同盟のブタどもは人間以下だ!!」

「・・・・・・・・いっちゃってますね?」

「お前もだろう?」





甲冑の男はそう言うと、切りかかってくる。

剣で受け止めるも、重くて受け流すにも一苦労する。





「俺のどこが狂っていると?」

「この状況を見ても何も思わなかっただろう?」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」





言い合いながらも、戦いは続く。

男の攻撃は上から下からと予測のつかぬ動きで、丸で悪夢のような太刀筋だった。

は俊敏さと技巧を駆使し、舞うように交わし、動き回りながら確実に急所を狙う。

男はパワーの点で、は技術と俊敏性で勝っていたが、甲冑と天与の才とも言うべき戦いの勘で決定打が打てない。





「ルカ様!!時間です!!」





やがてお互いに疲れが見え始めた頃、路地から一人の兵が顔を出し男を呼ぶ。

それを合図に間合いを外すと、男は剣を下ろしにやりと笑う。





「初めてだ。俺に殺されなかったやつは!!
キサマ名前は何だ!!」

ですよ。。貴方こそどちら様で?」

「おれはルカ=ブライトだ!!
!俺はお前が気に入った!!俺のところへ来い!!」

「イヤですね。どうして行かなきゃならないんです。」

「同類だからだ。お前も狂っているだろう?」

「・・・・・・・・・」

「まぁいい。今日のところは引くが、必ず来い!!」





そう言うと悠然と去っていく。

は姿が見えなくなるまでずっとそこに立っていた。

戦闘中には感じなかった痛みが体中から抗議の声を上げている。

特に右脇腹がひどかった。掠っただけと思っていたのだが、どうやら思ったよりも深かったようだ。熱を持ち始めている。






「気が付かなかった・・・・・・・」






そうだろうか?

自分の中で疑問が生じる。

違う。分かっている。気づかなかっただけじゃない。感じなかったのだ。

戦いに夢中になり、目の前にいる敵を倒すことだけを考えていた。だから感じなかった。






「“狂っている”か・・・・・・・・・・・・・」






確かに相手は自分達にとって脅威になると思った。だから戦った。

ツァイを先に行かせるために笑ったりもした。

だが、女が目の前で殺された時何も感じなかった。

やジョウイのように激昂することも無ければ、漣すらたたなかった。

状況をそのまま受け入れ、『ああ、またか。』そう思っただけだった。

それを狂っているといわずに何と言うのだろうか?






「その通りだな・・・・・・・・・・・・・・」






自嘲気味にそうつぶやくと血のついていない剣を仕舞い、歩き出す。

その表情はどこか諦めたようなものだった。

















彼の見せた狂気

俺の中に渦巻く狂気

それは違うものだけれども

狂気であることには変わりない

それに気づいた時

無性に笑いたくなった

やはり俺はあの時から狂ったままなのだろうと









□■□あとがきという言い訳□■□

ああああああああああああ!!!!!!!暗い!!暗すぎる!!
こんなので夢と言えるのか!?いやいえまい(反語)
っていうか、戦闘シーンのみ!?ルカ様偽者だし!!ドリ主の謎が増えちゃったし!!
ああ!!ごめんなさい!!次はにキャロっ子やフリックさんに慰めてもらう予定なんで!!
だからお願いです!石投げないで!!