「よかった・・・無事でしたか・・・・」
ビクトールとフリックは既に門へと迎えに行っている。
この傭兵はジェイといい、先日ビクトールが書類整理からリタイヤした時の代理人で、回復した後もあまりの書類の多さに見かねての手伝いをしていた。 本来なら年下のが敬語を使うのだが、この傭兵はの剣術と書類整理力に敬意を表したいらしい。
「そうですね。村に人を配置するなら早くやってしまわないと。」
ハイランドの侵攻に備えてやらなければならないことは山ほどある。 今はそれを少しでも減らしておきたかった。 しかし、ガヤガヤと表が騒がしい空気が伝わってくる。 (まさか怪我でもしているのか?) は集中できず、ジェイに一言『様子を見てくる』というと足早に入り口へ向かう。 段々近づくにつれて怒っている女の声が聞こえてくる。
そこには、ジョウイ、ナナミのキャロっ子三人組と、フリックとビクトールの他に眼鏡をかけた少女と小さな女の子がいた。 どうやら先ほどの声は眼鏡の少女が発したらしい。目に見えて怒っている。
「俺で話を誤魔化さないでくださいよ・・・」
明らかに話の矛先を変えようとしているのに呆れてしまう。 ビクトールは突っ込みに大しては何も言わずに苦笑しているだけだが、その話には触れられたくないようだ。冷や汗をかいている。 よく7人観察してみると少女だけでなくフリックも怒っているようだ。
「俺たちが生きていることをトランの皆に知らせてなくて、幽霊状態らしい。」
もその言葉を聴くと呆れてしまう。
「だな。」 「熊呼ばわりかよ・・・」 「熊熊言われたくなかったら、そう言うとこをしっかりすべきでしょうね。」 「貴方はどなたですか?」
口調や雰囲気から言って頭がキレるようだ。 はきちんと向き直ると、自己紹介をする。
「私はアップルよ。この二人とはトランの戦争の時に知り合ったの。」 「をいをい、。“何故だか”とか“やらされています”っていうのはおかしいんじゃねぇのか?」 「事実でしょう。実戦に出たいのに出させてくれないじゃないですか。」 「出るなとは言ってないだろ。」 「書類のおかげで出られないんです。」 「・・・・・・・・・」
その様子を見ていたアップルは溜息を吐きながら言う。
「痛み入ります。アップルさん」
はそれを見ると苦々しい思いが満ちてくる。この女の子だけと言うことは、男女を問わず皆殺しになっていると言うことだ。 その様子をこの子が見ていたと言うこともやるせない。 フリックとビクトールもさっと真面目な顔になると『の言った通りか』と漏らす。 アップルは不審そうな顔をしていたが、すぐにビクトールは指示を飛ばす。
、ジョウイ。すぐにリューベまで行ってくれないか?」 「分かりました。」
そりゃぁ、三年もほっとっきゃ剣だって錆びるか、と思うと修理すれば使えるだけマシだと思っておくべきだろう。 は今残っている書類の量を思い浮かべると、ビクトールに告げる。
「ああ。そうしてくれ。」 「もジョウイもいいかい?」 「もちろんです。よろしくお願いします!」
「ナナミ・・・!」 「かまわないよ。ナナミもおいで。」
驚いたように見るジョウイたちに苦笑しながら説明する。
「そうですね。」
ムササビと一緒に三節昆を振り回し『を助けるんだからぁ〜〜〜!!』と、脱獄していた光景を思い出す。 その様子を思い出すだけでは笑みがこぼれそうになる。 (美しきは義兄弟愛かな。) は今までのことを思い出したのだろうか、苦笑しながら認める。
なんとなく話の予想はついていたが、声をかける。
「分かってるんだろう?。」 「まぁ、何となくは。」
時間も無いためさっさと核心をつく。
「ああ。やっぱり分かっていたか。 「本人たちは嫌がるんじゃないかな?」 「だが、戦争に巻き込むわけには行かないだろう?」 「・・・・・・・・・・・・・・・」
は何となくこれから起こる事にはたちが巻き込まれるのではないかと思っていた。 根拠なんて無いただの勘。 だが、は自分のそんな勘こそよく当たるのをイヤと言うほど知っている。 だけど、そんなのでビクトールたちを納得させられるはずも無いことも分かっている。 だからこそ黙っていた。 その沈黙を肯定と受け取ったのだろう。ビクトールは話を続ける。 「見当をつけるのはいいですけど、俺も逃げたりなんてしないですよ。」 「!!」
「だが、お前は戦争を経験したこと・・・・・」 「ありますよ。」 「え!?・・・・あ!おい!!」
最後まで降りきると、上の二人に向かって不適に笑いかける。
「・・・・・・・・・」
その背後からわずかにビクトールの声が聞こえた。 『楽しみにしてるよ。』と。
鈍っている身体 それを思い出そう 大切な人 大事な居場 この手で守れるものを守るために はい。アップルさん登場でっす!! ホントはアップルさんもっと出したかったんだけど・・・・ でも本命はフリックさんとビクトールさん!! でも、気が付いたらフリックさんしゃべってねぇ!! これからますます人数増えるのに・・・・・不安だ・・・・ ぷりーず・ぎぶみー・文才!!!
|