俺はアメリカで生まれ

埼玉で育ち

日本の文化に慣れ親しんだ

男だけど純粋な帰国子女のはず。

間違っても

異世界からの帰国子女じゃないはずなのだが・・・



ついでにマのつくお手伝い!








「う〜・・・あ〜・・・・」
「Are you OK?(大丈夫ですか?)」
「いえ〜す・・・・」


イケメンのお兄さんに拾われてから2日。
日がな一日馬に乗りっぱなしで、脳みそシェイクされて結構いっぱいいっぱいです
それでも、イケメンお兄さんに心配をかけるわけにはいかないので、頑張っています。
嗚呼、何て健気なんだろう。自分・・・


「We can see goal.(目的地が見えましたよ)」
「ゴール・・・?」


ゴールという言葉につられて顔を上げると、離れた場所に豪勢な城が見えた。
さらにはその周囲に城壁に囲まれた街並みも見える。
絵に描いたような異世界の城下町だ。







街の中に入ると、馬を下りるのかと思っていたが、一向にお構いなく馬で突き進んでいく。
まぁ、速度は遅いとはいえ、目線が高いので、人を跳ねてしまわないか少々心配だ。
ビクビクと下の様子を伺っていると、上からばさりと上着を被せられた。


「Mr.Weller?」


困ったように彼が笑うので、俺は何も言わずに頷いておいた。
たとえかけられた服が生暖かくても、熱が籠もって暑いんだよと言いたくても、折角の景色が見えないじゃないかとか、俺は護送中の凶悪犯か?と思っても、人を困らせるような事は言ってはいけません。これ、オカアサマもご指導・・・躾ね。

服の隙間から外を覗いていると、周りの様子が少しわかってきた。
この2日間で分かった事だが、この世界では様々な髪の色があるらしい。
しかも、基本的に美形。
・・・・・・羨ましいなぁ。標準オプションが美形って凄い遺伝子だよ。
それとは別に、城下町に入ってからだが、町の人々が嬉しそうにウェラーさんに話しかけている。
多分人望が高いのだろう。
思わずうんうん。と頷きたくなる。
そんな周辺観察をしていると、あっという間に城へと着いてしまった。


「・・・・・・え?城?」


いや、あの、いきなりお城ってどういうことなんだろう?
まさか不審者として尋問されちゃうとか!?
っていうか、ウェラーさんを全面的に信頼していたけど、大丈夫かなぁ・・・?
だって、俺なんで此処に行くのかも聞いてなかったんだよね・・・・・
もしかしなくても、俺って結構お馬鹿さん?

馬の上でもたもたしていると、ウェラーさんがひょいっと抱えて下ろしてくれた。
申し訳ないです・・・・・・
そのまま手を引かれてズンズンと城の中に入っていく。
いいのか?勝手知ったるなんとやらって感じがするけど。
はっまさか、此処がウェラーさんの家とか!?


「Are you King?(貴方王様?)」
「No.King is my mastr.(いいえ、王は私の主です)」


いや、王じゃなきゃ皆が臣下だろうよ。
ちょっと笑われたたが、ある扉の前に来るとノックして入った。
中には美形が三人ともう一人・・・・・・


「あ―――――!!!渋谷有利原宿不利恵比寿不便利!!!」
!?何で此処にっ!
 っていうか、原宿不利恵比寿不便利って言うな!!!」


黒髪黒目黒い学ランという平均的高校生スタイルの幼馴染がいらっしゃいました。
何でやねん!!!

















「・・・つまり何か?我が幼馴染は小市民根性で人助けをしようとしたら、便器に流されてこの世界に着いたら、『貴方はこの世界の魔王様です』と言われて魔王をやっているわけか?」
「そうだよ。」


俺は幼馴染のユーリに事情を聞き、大体のところを知ろうとした。
話された内容は驚くべきものだが、こうしてこの世界にいる以上否定は出来ないわけだが・・・・・・・
やはり頭痛がする。


「まぁ、よく分からんが納得してやろう。」
「マジで!?」


こめかみを指で押さえつつ、納得しようとする俺に、幼馴染は驚いている。


「よかったぁ。普通信じてくれないと思っていたからなぁ・・・・・・」
「いや、よくはないぞ。」
「え?どうして?」
「何で俺が此処にいるかが説明つかないだろうが。」
「・・・・・・・・・・そういえば。」


そうなのだ。ユーリの話からするに、彼の魂?前世?がこちらの人間だった為、スタツア―――もとい異世界トリップなんてことが出来たわけで、俺が異世界に来た理由も方法も不明なのだ。


「実はシュンって、前世が此処に人たちだったんじゃない?」
「そんなこと聞いた覚えがないが・・・・・・」
「俺もこっち着てから知ったし、有り得るんじゃない?」


と、ユーリはウェラーさんの方を見て何か言うと、彼は苦笑して首を振った。
そして、すみれ色の美人さんを指差すと、ユーリは彼に何かお願いをしているようだ。
・・・・・・言葉が分からないって超☆不便!
あ、すみれ色さんの鼻の下が伸びた。
しかも、今まで不機嫌そうな顔をしていた金髪美少年がキャイキャイ騒ぎ始めた。
あの・・・怖いんですけど・・・・・・
困ってウェラーさんに助けての視線を送ると頑張ってくださいの視線を返されました。
助けてよ!!!


「ボンジョールノー」
「は!?」


変なフランス語を聞いたかと思うと、いつの間にか目の前に立っていたすみれ色さんに頭を掴まれる。
ぎゃーー!?何!?何なの!!


「う・・・わぁ・・・・」


やべ、目の前がグルグルする・・・
マジ気持ちわりぃ・・・・・


「この尻軽!!!」
「はぁ!?」


何!?何で尻軽なの!?っていうか、いつの時代だよ!
眩暈と吐き気がおさまると、いきなり尻軽という言葉が耳に飛び込んできた。


「大丈夫ですか?」
「え?あっ!すいません!」


いつの間にかすみれ色さんの服を握り締めていたようで、慌てて手を離す。
やっべ〜美人さんにすがり付いちゃったよ・・・・・・
慌てる俺を一向に気にせず、尻軽発言の後は続いているらしい。


「大体、さっきから訳の分からん男と親密に話していて、お前には私の婚約者であると言う自覚がないんじゃないのか!?」
「シュンは俺の幼馴染なんだから、仲良く話していても別に問題ないだろう?
 っていうか、婚約者って、俺たち男同士じゃん!!」


・・・・・・・・・
・・・・・・ワン・モア・プリーズ?
硬直する俺にウェラーさんは微笑むと、安心したようにいう。


「言葉が分かるようになったみたいですね?」
「いや、なんだか抑えるべき点が違う気がします・・・・・」


ウェラーさん貴方は天然か、腹黒のどちらかですね?
後者な気がして、恐ろしくて聞けないけど。


「なぁ、ユーリ・・・・・」
?」
「お前、そのウィーン少年合唱団風の美少年と・・・その・・・・・・」
「いや、誤解だから!!!」
「隠すな。俺は応援するから。」
「だから誤解だって〜〜〜!!」


嗚呼、ジェニファーさん。
お宅のお子さんは美少年と婚姻を交わしてしまったようです。
お孫さんの顔を見れなくても、怒らないで上げてください・・・・・・