閑話休題。
これも珠には良いのではないだろうか?
無論
『俺が行う分には』だが
―――――――Make your determination 2―――――――
は紋章の継承を見届けると、また何ともいえない感覚を味わいながら、元の体へと戻っていく。
(始まりの紋章が継承されたということは、この地でまた大きな戦争が起こるんだろうな・・・)
そして、その両軍には敵同士に分かれたあの仲の良い幼馴染がいるのだろう。
そう考えると、気分が滅入るが、どちらも自分の信じた道を進んで欲しい。
そして出来れば・・・
そこまで考えると、完全に感覚が蘇ったようだ。
手足が有るのを感じられる。
そして、背中にも何か当たってるのが感じられるし、ふわふわした感じもする。
・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・ふわふわ?
「って、ええぇぇ!!??」
「うわっ!!いきなり動くな!!」
寝ぼけたような感覚から一気に目が覚めたは、目を開くと、アップでフリックの顔が映った。
反射敵に離れようともがくが、フリックに抱えられているため出来るはずも無い。
そう。はフリックに抱きかかえられて運ばれていたのだ。
「なんで抱えてるんですか!?」
「なんでって、いきなり倒れたからだろ!いいから大人しくしろ!!」
「ああ、そっか。
・・・って、もういいですって、もう起きてます!!」
「今更だ。もうお前の部屋につくぞ。」
「・・・・・・」
二階にあったの部屋に着くと、フリックは足でドアを開けると、ベットにを下ろす。
はその間諦めの境地に入り、遠い目で黄昏ていた。
フリックはその様子に気付くと、ムッとした様子で聞いてくる。
「何だよ。俺に運ばれたのが不服か?」
「イイエ。ただ、男にお姫様抱っこで運ばれた事がこう・・・ね。」
何とも情けないではないか。はそう思う。
いい年した男がいきなりぶっ倒れて、美青年とはいえ男に運ばれるのだ。
それも米俵を担いだり抱えたりする様にではなく、お姫様抱っこ。
残念ながらはこの状況を喜べるほど乙女でも、ましてや腐ってもいない。
“すまない”という念よりも、“やられた・・・”という敗北感が襲う。
フリックも、自分が相棒である熊男にお姫様抱っこで運ばれているところを想像すると、の言いたい事も何となく分った。
どんな事情であれ願い下げたい。
「あぁ・・・すまなかった・・・」
「あ、いや、迷惑をかけてスミマセンでした・・・」
気まずい。
一言で表すとそんな空気が流れると、二人は目を合わせないまま黙ってしまう。
そんな空気を知るはずも無いビクトールが、大きな音を立てて入ってくる。
「おお!!気が付いたか!!
ビックリしたぜ!?いきなり飯食ってる最中にぶっ倒れるんだから!」
「済みません。ご心配をおかけして・・・」
「いや。そんなことはいいんだが、もう大丈夫か?
あ、あとこれお前のヤツな。」
はもう一度礼を言うと、マントや剣などを受け取る。
ビクトールのおかげで気まずい雰囲気ももう無い。
もう大丈夫だからと、また出て行こうとしたが、たちが無事なのを確認してしまったので、特に出かける用事も無い事に気付く。
今日はもうゆっくり休もうかと、ベットに腰掛けたままでいると、フリックとビクトールも椅子を何処かから持ってきて座っている。何やら言いたい事がありそうだ。
「・・・何か?」
「ん。いや、さっきの事なんだが、お前って、よく倒れたりするのか?」
「あぁ、その事ですか。
滅多にないですよ。っていうか、普通無いでしょ。」
「いや、そうなんだが結構驚いてな。持病かなんかかと。」
「・・・・・・持病持ちに見えます?」
「いや。」
白めできめが細かいが少し焼けた肌、髪は黄土色で、光を弾くと金色に光っているようにも見えるし、深い深緑の瞳も陰気な感じはしない。何処をとっても病弱なイメージとは程遠い。
だが、ビクトールは改めてを見ると、その年齢が全く分らないことに気が付いた。
ぱっと見た目は16,7歳だが、言動や思考などはずっと大人びていて20歳過ぎといわれても納得できる。
そして何よりも分らなくなるのはその瞳の深さだ。
は時々底が見えないほど深い目をすることがある。
いったい今までどれだけ生きて、どれ程のものを見てきたのだろう?
ビクトールが自分の思考に沈んでいる間はフリックと話していた。
「そういえば、良いんですか?仲間集めに行かなくて。」
「行こうかとも思ったんだが、もう結構集まってきてるし、何か乗り気がしなくてな。」
「乗り気がしないって・・・気分で仕事を選ぶのはどうかと思いますが・・・
まぁ、いつも頑張ってますし、やる気が無いなら仲間にすることが出来るかどうかも疑問ですしね。
いいんじゃないんですか?」
「ところで、はどうするんだ?」
「ん〜どうしましょうかね。何もすることが無いんですが・・・」
「無いのか?」
「いや、本を読んだりってのもありですがね、遠いじゃないですか。図書館。」
「あ〜確かにな。」
「こういう時は何にもしないでゴロゴロ過ごすってのが一番・・・って。」
「どうした?」
「・・・ビクトールさんが静か過ぎません?」
「そういえば・・・・・・ビクトール?」
「え?」
ビクトールは名前を呼ばれてはっとする。
そんな常には無い様子にとフリックは軽く目を見張る。
いったい何を考えていたのだろう?
「ビクトールさん?何か考え込んでましたね?」
「あ、あぁ・・・大したことじゃないんだが・・・」
「何考えてたんだよ?」
「お前さ・・・」
「はぁ・・・」
「お前今いくつだ?」
フリックとは一瞬ポカンとする。
ビクトールはその顔を見ると、何を考えているのかとからかわれると予想したが、意外な反応をがあった。
「そういや、。お前幾つだっけ?」
「え?」
フリックがの方を向くと、純粋に疑問を投げかける。
も意外だったのかまだポカンとしている。
「だから、年齢だよ年齢!お前今年で幾つだよ?」
「自己紹介のとき聞かなかったよな、そういえば。」
「え?え?」
は内心どうしようかと焦りまくっていた。
(今更そんなこと聞くなよ!!)
実は自分の年齢を知らない。いや、正確に言えば忘れた。
軽く1000を越すため覚えているわけが無いのだ。無論村に帰って調べれば分るが、そんな事をするつもりも無い。意味が無いから。
(此処はやっぱりはぐらかすか。)
「ちなみに幾つに見えます?」
「見た目は16,7だよな。(フリック)」
「だけど時々20以上にも見えるしな。(ビクトール)」
「じゃぁ、間を取って18で。」
「「いや、本当の年齢を言えよ。」」
「むぅ。実は俺、孤児で年齢が分からない・・・」
「「出身地が分ってるのにありえねぇだろ。」」
「ぬぅ。何を言わせたたいんですか?お二人は。」
「「だから、本当の年齢だって言ってるだろ。」」
息の合った突っ込みを聞きながら、は悠然と構えなおすと、フッと鼻で笑う。
「レディに年齢を聞くものではありませんよ。」
「「男だろうが。お前は!!」」
「冗談の分らない人達ですねぇ。」
「「・・・・・・・・・」」
ふう、と溜息を突くと、は荷物も持って窓際に行く。
目には憂いの表情を浮かべ、『窓の外の様子を眺めたいの・・・』というように。
無論演技なのだが。
ビクトールとフリックはあまりの表情の変化に戸惑ってしまっている。もしかしたら自分達は聞いてはいけない事、触れてはいけないことに触れてしまったのではと、罪悪感に襲われているため、何も言えずの行動を見守っている。
無論演技に騙されているだけなのだが。
は窓をそっと開けると、素早く下を確認しつつ、背中で『辛いの・・・』といった感じを装い、演技を続ける。
「俺の本当の年齢は・・・・・・」
「・・・(フリック)」
「辛いなら・・・(ビクトール)」
辛そうな声に腐れ縁はすっかり騙され、言わなくてもいいと、申しわけなさそうに言うが、は振り返ると、悲しげに眉を寄せ『いいの・・・私は大丈夫・・・』という表情でいう。
「俺、本当は・・・もず・・・いや、何でもなかったことに!!」
「「は?」」
「ああ!!」
は意味不明な呟きを漏らすと、さっと窓から飛び降りる。
器用に宙返りをすると、ストッと着地し、振り返りもせずに裏通りを駆けていく。
部屋に残されていた腐れ縁二人組みは今の意味不明な言葉に固まっていた。
ギギギ・・・音がしそうなほどにぎこちなく顔を見合わせると、猛然と叫ぶ。
「「何がしたいんだ!!アイツは!!」」
A:からかいたかっただけさ♪
□■□あとがきという言い訳□■□
さあやってしまいました。The☆意味の無い話!!
・・・・・・ホントはなねぇ・・・もっとまともな話にするはずだったのよ。
でもねぇ・・・・・・読み返しててこの話し暗すぎ。って思っちゃってねぇ・・・・・・・
ノリで書いちゃったんだよねぇ・・・・・・
ダメダヨネェ・・・・・・
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