桃の花びら

みじかい、みどりの
春の草、
桃がお花をやりました。

枯れてさみしい
竹の垣、
桃がお花をやりました。

しめって黒い
畑の土、
桃がお花をやりました。

おてんとさまは
よろこんで、
花のたましい呼びました。

(草のうえから、
畠から、
ゆらゆらのぼるかげろうよ。)






   「金子みすゞ童謡全集」(JULA出版局)より