空いろの花

青いお空の色してる、
小さい花よ、よくお聴き。

むかし、ここらに黒い瞳の、
かわいい女の子があって、
さっき私のしてたよに、
いつもお空をみていたの。

一日青ぞら映るので、
お瞳はいつか、空いろの、
小さな花になっちゃって、
いまもお空をみているの。










花よ、わたしのお噺が、
もしもちがっていないなら、
おまえはえらい博士より、
ほんとの空を知っていよ。

いつも私が空をみて、
たくさん、たくさん、考えて、
ひとつもほんとは知らぬこと、
みんなみていよ、知っていよ。

えらいお花はだァまって、
じっとお空をみつめてる。
空に染まった青い瞳で、
いまも、飽きずにみつめてる。






   「金子みすゞ童謡全集」(JULA出版局)より