【入れ替わり】(いれかわり) |
当サイトで扱っているテーマ。
「心と体が入れ替わって〜」という言い回しで使われることが多い。心や魂といった言葉が
使われるが、より正確な概念で伝えようとするなら「“記憶と人格”と“肉体”が交換された状態」と
言った方が正しいだろう。
これらを扱った物語は暗黙の了解的に、「魂」が記憶と人格を司るもので「肉体」はその容れ物であり
魂が肉体に宿ることで自在に扱える、という今まで多くのフィクションで描かれてきたお約束に
則っていることになる。人の意識がその肉体を離れるというのはそれこそ全世界に普遍的に
描かれ・受け入れられてきた物語であるわけだから、この前提に則った“入れ替わり”という
物語が同様に受け入れられているのは納得いかないことではない。
“入れ替わり”を成り立たせる別のパターンとしては、より現実的に“記憶と人格”の
全てである「脳」を移植してしまうという方法がある。またお互いに相手の姿に変身すること
で、この状態になってしまうというのもある。とはいえ“入れ替わり”を扱った作品において
一番追求されるのはそのシチュエーションになった人物たちの描写であり、変身の過程を厳密に
分けることは正直意味がない。
当然ながらこれらは現実に起きることはない。より近いシチュエーション(容姿が似たものどうしが
立場を交換したりとか)はあっても実際にあったという話は聞かない。
“入れ替わり”というのは完全にフィクションの中だけで生まれた物語なのである。
なお他の言い回しとしては
「〜が取り違って〜」、「意識が転移」、「精神(人格)交換」など色々な言い方がある。
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【○○(△△)】 |
入れ替わった状態を表す人物表記方法。 ○○や△△には人物名が入る。
ここでいう○○に相当するのが体の人物名で、△△に相当するのが中身の
人物名である。
主にウェブに発表される小説作品で多く使われる手法。
商業作品では入れ替わった状態に対してその中身の人物の名前で扱うのが
一般的のようだ。
漫画作品などの場合は吹き出しの中やすぐ隣に中身に相当するキャラクターの
顔が薄く描かれるなどの表現方法を用いたりする。
イラストなどの一枚絵で表現する場合は、「○○in△△」といった表記を
する場合もある。
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【集団入れ替わり】(しゅうだんいれかわり) |
三人以上の複数の人間の間で発生した入れ替わりのこと。
当サイト的にはさらにその複数の入れ替わり関係が玉突きのように
ずらした形で表せる状態のものを指す。何故かといえば同時に二人の
入れ替わりが何組か起きた場合と区別するため。(こんなことに
こだわるのは自分くらいだと思うが)
例.4人で入れ替わりが起きたとしてこれに該当する状態は
× A(B)・B(A)・C(D)・D(C)
○ A(B)・B(C)・C(D)・D(A)
ということである。
入れ替わりを元に戻そうとしてさらに入れ替わりが発生してしまったと
いう、オチに使われることが多い。というかギャグ作品ではほとんどお約束。
ちなみに入れ替わりというのが二人の間で起きるのが普通なので、
この言葉の対になる言葉はない。
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【OD】(おーでぃー) |
女と女が入れ替わる組み合わせのこと。
ODとは女同士(Onna Doushi)の略。
この単語を使うように提案されたのはTSちゃんねるの
「●女同士入れ替わり萌え〜●」スレの434の書き込み。
このODはサイト・てっつ庵のてっつ氏が立ち上げたもう一つの
サイトO.D.S.Iの最初の
文字の2文字から採られている。
TSFファン層を構成するのは大抵男性のため、対象が女性であるODが
興味の対象として成り立つのも分からない話ではない。言葉としてこれだと
男同士(Otoko Doushi)でも可能になるが、そんなものに興味ある奴は
いないに等しいので問題無いようだ。
サイト・八重洲メディアリサーチの
情報掲示板への書き込みの途中の文脈に
この用語がなんとなく挟まれてもそのことに対する質問が出なかったことから
TSF界隈にはそれなりに浸透しているようではある。(わからんけどね…)
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【クロス口喧嘩】(くろすくちげんか) |
入れ替わりによくあるイベントの一つ。当サイトの造語。
これは入れ替わったということを周りに隠しつつ互いを演じているという状況の
時に、口喧嘩が発生してしまったというシチュエーションの場合のやり取りを指す。
互いに相手を貶める事を言うのだがそれは自分の体の人物に対して悪口を言ってるのと
同じなので、第三者には互いに自分をけなしているように見えてしまう、という感じで
おかしさを強調するコミカルなシーンの典型だ。
『フォーチュン・クッキー』などコミカルさを
売りにしてる作品に多い。
実写などで本当に演技力がある役者さんがこういったシーンを演じると、“入れ替わり”と
いうものがフィクションだということを一瞬忘れさせるくらいの倒錯感がある。
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【目隠しイベント】(めかくしいべんと) |
男女の入れ替わりによくあるイベントの一つ。当サイトの造語。
これは女側の体になってしまった男に、男側の体になってしまった女が自分の体を
見られたくないために風呂や着替えなどの場合に体を見ないように布などで目隠しを
させたままそれらを行わせようとする…といったシチュエーションのこと。さらに
風呂であれば女側がその状態の男の体を洗うという場合もある。
第三者から見ると「裸の女の子を目隠ししてその体を男が洗う」というコミカルを売りに
しているが、よくよく考えると相当にエッチなシチュエーション。でも割と見かけることが
多い気がする。特に少女漫画に…。
『さんだー☆インパクト』や『メタモ☆キス』などに
そういったシーンがある。
これとは逆のシチュエーションで男の体の女が小の用を足すために、女の体の男が
その手ほどきをする、といったイベントもまああるのだがちょっと用語を作る気が
起きなかった…(笑)。そういやこれが描かれるのは少年漫画に多いかな。
やはり男女の肉体の差異があるから当然起きて然るべきイベントなのだこういうのは。
少年漫画・少女漫画に偏りがあると書いたが、それは筆者の性別によるところが大きい
と思う。男女の入れ替わりが起きたとき、どんなことを気にするか、どういう行動を
取るかを筆者の自分の立場から考えるはずである。そしてそうやって考えたことを話の
メインにもってくるはずだ。少女漫画の“入れ替わり”において女になった男の描写が
少ないのは、女である著者の興味の大半が「男になった女(自分)」にあり、「女に
なった男」ではないことが多いからだと思われる。
またこれは性別が変わるだけのTSFとは違って、既に存在している他人なっていること・その
他人は別に存在していること、という二つのシチュエーションが成立しているから起きる
“入れ替わり”独特のものだと言える。
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【アフターもの】(あふたーもの) |
入れ替わりを扱ったストーリーのパターンの一つ。当サイトの造語。
入れ替わった人物たちが元に戻らないままに時間が過ぎ、その数年後を描いたものを
指す。用語の由来は「〜years after」(〜年後)から。
商業市場ではほとんど見かけないが、ことWeb上のTSF小説創作においては
これを描いた作品は多数存在している。
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【第三者系】(だいさんしゃけい) |
入れ替わりを扱ったストーリーのパターンの一つ。当サイトの造語。
ほとんどの入れ替わりを扱った作品では入れ替わりの状態に
なった当事者たちがその物語の中心になって話が進められる。
しかしまれに話のメイン人物と他の第三者の間で入れ替わりが起き、
その第三者になったメイン人物と他のメイン人物の間で話が
進められる場合がある。その場合のストーリーのパターンを指す。
『菜々ちゃんは俺のもの』や『ア・デイ・イン・ザ・ライフ』などが
それらに該当する作品。
このパターンでは図らずも自分に対して他のメイン人物が本当はどう思って
いるか、といった客観的な意見を聞く、といったシーンなどが特に
お約束だ。またこの場合第三者と入れ替わるのは大抵その作品の主人公
だが、『キスへのプレリュード』の
ように主人公以外のメイン人物が第三者と入れ替わる場合というのもある。
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【フェイク系】(ふぇいくけい) |
入れ替わりを扱ったストーリーのパターンの一つ。当サイトの造語。
入れ替わったように見せかけて実は入れ替わっていなかったという
ものを指す。
アニメ『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の該当話の
原作エピソードに相当する話がこれに該当する。
考察するなら「入れ替わりという現象があってもおかしくない」という前提を
基に応用を利かせたメタ入れ替わり作品とも言えるが、肝心の入れ替わりが
行われていないんじゃウチのサイト的には意味がないため扱っていない。
ぶっちゃけ応用利かせすぎである。
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【自己増殖系】(じこぞうしょくけい) |
入れ替わりを扱ったストーリーのパターンの一つ。当サイトの造語。
一言で説明するのは難しいためその典型を示すと、
Aという人物が突如Bになっていた。Aは「自分(A)がBになっているのだから
Bは自分(A)になっているに違いない」と思うのだが、実際にAを訪ねてみる
とそのAの中身もまた自分(A)だった…、というものを指す。
これは入れ替わりを扱い応用を利かせたストーリーなのだが、正確には
入れ替わりとは言えないため当サイトでは該当とはしていない。元々
入れ替わりというのは非現実的な話だがこれはよりいっそう不条理感が強い。
しかし、このパターンを採用した物語には割とよく出来た話が多く一応用語
の範疇で取り扱うこととした。
『俺だ俺だも俺のうち』という作品があり、それはこのテーマを
扱った作品の中では傑作の部類である。そういえば『キリサキ』の
話のメインとなる部分はこの範疇に入らなくもないか…。
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【マスカレード】(ますかれーど) |
入れ替わりが起きた当事者間で不定期間隔に入れ替わりがおき続ける
現象のこと。 その人物たちがくるくると別の人物に変わることから、
まるでその様がマスカレード(仮面舞踏会)のようである、というのが
由来。
この用語は『人格転移の殺人』の
中で使われた言葉であるが、この現象を扱った作品は他にもいくつか
あり(『玉突き家族』、
『Remember11』、
『パートタイムプリンセス』など)
用語として汎用性はあると思われる。
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【脳勘違い型】(のうかんちがいがた) |
入れ替わりの種類の一つ。当サイトの造語。
これは入れ替わったとされる当事者同士の間で何かが入れ替わっている
というわけでなく、お互いが同時に自分のことを相手だと脳が思い込む
ことで擬似的な入れ替わりを成しているものを指す。
厳密に言えばこれは入れ替わりではないが、描かれるものは同じなので
当サイトでは該当としている。ただしちゃんと二人の間で同時にこれが
起きた場合のみ。
『3人で愛しあいましょ!?』の該当話が
これにあたる。
これも【フェイク】のように単なる入れ替わりでない応用を利かせたもの
なのだが、突き詰めていくと「元に戻った状態の時に入れ替わり状態
だった時の記憶が連続してあるのはおかしい」といった矛盾が多い。
『人格転移の殺人』の作品中では
このことに対する言及した会話が描かれているが
結局人知外のことであるとしてお茶を濁している。
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【ミスキャスト型】(みすきゃすとがた) |
入れ替わりの種類の一つ。
これは入れ替わったとされる当事者のみがその事実を自覚できないという
特殊な入れ替わりを指す。しかし客観的には入れ替わっているように
見えているのである。
これはらんおうさんの描かれたTSF小説『ミスキャスト』から取らせて
いただいた。まるで配役を間違えたような状態であることをミスキャストと
言い表したのは白眉だと思ったので。
商業作品ではアニメ『おそ松くん』の該当話や
『とある魔術の禁書目録』の該当話などが
これにあたる。
この種類の特徴は入れ替わりが本来持つ不条理感がさらに強調されるということ。
おかしな状態にある人間がそのことになんら疑問を抱いていないのは、もはや
奇妙という感覚に近い。しかし、一方で入れ替わった肉体の差異が著しく大きい
場合(例えば、大人と子供・老人と若者・男性と女性etc)、色々と成り立たない
事象も当然生まれてくることも想像されるのであるが、その部分を上手く
説明した作品は今のところない。
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【全存在型】(ぜんそんざいがた) |
入れ替わり…というより変身の種類の一つ。当サイトの造語。
肉体だけでなく記憶や人格すべてが他の人物のそれに置き換わってしまう
変身のこと。こうなってしまうとその人物は以前に自分が別の人物であった
ことすら自覚できないということになる。
それまでの過程を知らないことには、こうなったことが主観的にも客観的にも
おかしいとはわからないため、物語として成り立たせるにはかなりの工夫が
必要となる。
これが大きく扱われた作品としては『おれ、夕子』(著者:藤子・F・不二雄)や
アニメ『シンデレラボーイ』などがある。これらは入れ替わりではないのだが
この種類の変身を堪能する上ではよい作品だ。
入れ替わりという形でこの種類を成したのが『おれと和幸の一夜』で
自分が知る限り商業作品で扱った唯一の作品と思われる。
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【声まで違う演出】(こえまでちがうえんしゅつ) |
そのキャラクターの中身が入れ替わった際に声(演じる役者)まで入れ替わった形に
なる演出方法のこと。当サイトの造語。
アニメ『ドラえもん』の該当話や
アニメ『ドラゴンボールZ』の該当話など他
多数の作品がこの演出方法を使用している。
アニメやTVドラマなど音声を伴うメディアの作品では常に懸念事項としてこの
問題が付きまとう。…というのも理屈で考えれば中身が入れ替わっても声の元となる
声帯はその体によるわけだから、声まで入れ替わった形になるのはおかしいという
疑問が当然のように浮かんでしまうからだ。演出という言い回しにしたのは
そのことに作品中のキャラクターは言及していないことがほとんどだからで、
そのことが一層鑑賞者の違和感を強くしてしまっている。
何故このような演出方法を使用するのだろうか――。想像するに
「おかしな状態になっていることを強調するため」、「役者がそれまで演じて
きたのとは別のキャラを演じるのを嫌がったから」等、色々と考えられるのだが
実際のところはよくわからない。
基本的にこの演出は作品を鑑賞する際の引っかかりになることが多いため、あまり
好意的には見られていないようだ。
なお非常に稀だが声も同時に入れ替わったものとして描かれる作品もないこともない。
『WOMAN IN THE MAN 男の中の女』、
『光と水のダフネ』の該当話とか。
ちなみにこの用語は「声萌え」だとか「声が中の人」だとか色々言い方があり、
特に固定化されていない。自分も某所で「声演出」なる言い方を提唱したことが
あるのだが、正直イマイチな感じだったのでもっとダイレクトにわかる用語に
してみた。もっといい言い方があったら提案してくれると嬉しい。
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