■2005年の作品傾向  2006.1.16

以下は2005年に発表された入れ替わりを扱った作品の中から管理人がこれは!と思った作品や その他諸々の出来事を挙げてます。

2005年を彩る良エピソードたち
『僕と彼女の×××』の広範囲展開



2005年を彩る良エピソードたち

2005年は良エピソードが目立った年だった。
何をもって良いとするかといえば「きちんとお約束を描いていること」である。 入れ替わるなんていう状況が起こったらその人物たちは当然こういう行動を取るだろう、 エッチな展開になるだろう、というのは形骸化されたお約束ではなく、実際にそれが面白い から描かれるわけである。
以下は個人的に引っかかったエピソード。


『GIRLSブラボー second season』/該当 第1話「プールでブラボー!」
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作品がR指定になって最初のエピソードがこれ。福山が女性キャラに入れ替わってからの 行動は男としてはまさに直球もの。その後も入れ替わったまま巨大タコにいいように 弄ばれるなど、後々まで語り継げるほどの破壊力を持ったハチャメチャ集団入れ替わり エピソード。
今をときめく有名声優さんも多数出演しているが、その後ラジオなどでも この作品のことを「アレ」と呼んで言明を避けていたことからあんまし いい気分ではなかったんだろう。(そりゃそうだわなw)


『灼眼のシャナ』/該当 番外編「リシャッフル!」
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作品もアニメ化され世間への浸透度もそれなりに上がった『シャナ』。 このエピソードもコミカルありドキドキありでいい感じ。アラストールが隠していた 入れ替わるための条件というのもまた微笑ましくてよいですな。
アニメ化は無理としてもドラマCDくらいにはならないかな…。是非この入れ替わり シチュエーションを音声付きで楽しみたいと思うわけですよ。


『ドラえもん』/該当 14話「いれかえロープ物語」
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作画・声優の大幅リニューアルを敢行した日本を代表するアニメ『ドラえもん』。当サイト的に気になる 点は該当エピソードがリメイクされるかという点であったが、かなり早い段階で放送されたことは誠に喜ばしいこと だった。旧作のアニメ化と比べても、しずかになったのび太に詰め寄られて顔を赤らめるドラえもん、など 微妙に解釈が変わっていて面白い。あまり俎上に載せられることが少ないが、途中でのび太としずかの 精神的優位性が逆転する点など、実は結構深いエピソード。


『エレメンタル・ジェレイド』/該当 ドラマCD「リアクトでポン!」
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軽そうなサブタイトルの割に真面目度が高いエピソード。脚本家はキャラクターを ちゃんと理解していて、オチは少々あっけないけど印象は良いし、 個人的に好みなストーリー。この手のシチュエーションでもちゃんと手を抜かず相手の 役として演じられる声優さんの演技も素晴らしい。でも一番キャラ立ちしているシスカと 入れ替わっても面白かったかなーと思う。


『魔法戦隊マジレンジャー』/該当 第39・40話
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この手の特撮では入れ替わりを扱った話はコミカルさを優先して ちゃんとした話として描かれることは少なかったが、当エピソードでは 役者の演技からキャラの見せ方まで徹底がされていてGJ!。
さすがに元に戻るのはお決まりのことではあるとはいえ、このまま入れ替わった ままの彼らをずっと見ていても面白そうだなあと思わせる。しかし これ敵に戻してもらわなかったらどうなってたんだよ…。


これら挙げた作品は本当に入れ替わりの面白さを再認識させてくれるような 原点回帰的な面白さを持っている作品群だ。 世間一般への認知度から言っても、入れ替わりというジャンルは決して 新しい表現を模索するといった対象といったような高等なものじゃなく、 面白い話のモチーフとしての位置づけがふさわしい。
『マジレンジャー』の東映公式サイトは入れ替わった二人の演技を楽しんでほしい、と メイキングの様子を挙げていたりする。この傾向は商業作品に限らず作り手側・受けて側 ともにお約束の塊と言われる入れ替わり作品を作ることに屈託は無くなってきているように 思える。これはとてもいいことだと思う。


『僕と彼女の×××』の広範囲展開





2005年は『僕と彼女の×××』が大きくコミックから他のメディアに展開された。
実写化とドラマCD化である。

2004年近辺以降、世間は漫画・アニメ原作の作品を実写のドラマにしようという 動きが盛んだった。『キューティ・ハニー』、『忍者ハットリくん』、『キャシャーン』、etc…。 正直それらの作品は玉石混合で『NANA』のように好評を博した作品もあれば、 『デビルマン』のように最悪の出来で誰からもそっぽを向かれた作品もある。 以前は漫画のキャラクターと実際の人間とのギャップから失笑されることの多かった 実写化だが、多数作られることで世間的にも抵抗は少なくなっている。

『僕と彼女〜』は変身をテーマに扱った作品だが“入れ替わり”という変身の特性上、 特に特殊効果が必要なわけでなく、十分実写ドラマとして通用する。過去にもいくつか 入れ替わりを扱ったドラマも参考になったはずだ。森永あい氏の作品は『山田太郎物語』 などが台湾でドラマ化され好評を博した実績もあった。また同じ時期で見ると 『花より男子』、『Pinkの遺伝子』、『ハツカレ』など少女漫画原作のドラマ化は 多々あり流れとして悪くはない。その点を踏まえての今回の実写化だったに違いない。

しかしこの作品の実写版の展開の印象はあまり良いとは言えない。 それは見ることの出来る機会が非常に少ないからだ。劇場公開と宣伝した とはいえわずかに一週間の単館上映と二回の試写公開だけ。12月からは ネットでの配信が始まったが実質有料のコンテンツ。これではこの 作品には明確に観る意思がある人間しか出会えないではないか。 名作というよりどちらかといえば大衆娯楽作品ではあったが、なんに しても誰かに見てもらわないことには話にならない。良い悪いというより 非常にもったいなくて残念である。

そして一方のCDドラマ版は読者応募によるプレゼントという形のためファン サービスの域こそ出ないものの、マッグガーデンのアニメ系メディアミックス のノウハウがいかされ十分に満足のいくものだった。これは自分だけかも しれないけど、アニメ・漫画の文法で語ってこそこの作品の良さは引き出せると 思っていて、やはり究極的にはTVアニメとして展開してほしいのである。アニメ 界はちょっとしたバブル状態にあり、以前なら通らなかった企画もバンバン通る 状態にある。入れ替わりをメインにした初のTVアニメとして名を残すなら今しか ない。


実写化とドラマCD化という多方面に展開したが、それがこの作品の知名度を大きく 上げることになったか、といえば、なっていないだろう。 今日日様々な作品がメディアミックス展開を行い、その数も膨大なため ある特定の作品がその中の一つとして埋没するのは珍しいことじゃないし、自分も 過大な期待をしているのかもしれない。それでもこうやって取り上げるのは やっぱりこの作品が好きだから。この作品の面白さをもっと多くの人が 共感出来れば楽しいじゃないか。というわけでもちっと作品を盛り上げる努力を してくださいマッグさん。



まとめ

2005年もコンスタントに入れ替わり作品が発表されました。上記には上げなかったけど 「入れ替わり」を作品内で扱う際に「ベタベタなお約束な展開だけど」 といった意味の内容を登場人物にしゃべらせたりする作品が二つほどありました。 その作品を描いた人にしても「面白いから(ベタだと)分かってても使ってるんだー」という 感じなのでしょう。それで全然いいと思います。その調子でガンガン該当作品で 楽しませてもらいたいですね。





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