冷間時のアイドリング不調

以前から冷間時のアイドリングが不調で、暖まるまでアクセルを少し踏んでいないとエンストしてしまうという症状があり、直すことにしました。コールドスタートバルブが怪しいと思い、純正は捨てて、日産自動車のスカイライン用(俗に言う「鉄仮面」用)の中古品を使うことにしました。コネクター形状、取り付けボルト位置は同じで流用できました。

<バルブ内部パーツの名称と役割>

1:ブロッキングプレート
2:オリフィス
3:スピンドル
4:バイメタル
5:ヒートコネクター

「4」のバイメタルと名付けられた金属が、熱変化によって変形するという特性を利用して、「1」のブロッキングプレートを押したり戻したりして「2」のオリフィスと名付けられた穴を通る空気の流動量を調節する機械的な部品。これでエンジンが冷えている時は空気を通し、暖まると通さなくし、アイドリングを安定させています。「5」は電気ヒーターで強制的にバイメタルを暖めているだけで、オリフィスが全閉するまでの時間を一定にしているのだと思います。

1)電圧確認
まず、コールドスタートバルブにつながっている、ヒーター用の黒いコネクター端子に電圧が来ているか電圧計で測定します。
手順1−1. バルブに刺さっているコネクターを抜く(ロックピンを外さないと外れません)。コネクターを抜くには、バルブのホースを1度外してやったほうが抜きやすいです。
手順1−2. エンジンを掛ける。(↑で外したホースは挿しておかないとエンジンは掛かりません。)
手順1−3. テスター(電圧計)でコネクター端子の電圧を測定する。
手順1−4. 13V以上くらいあれば配線はOK。

<バルブの場所>


OK?(NGなら配線を確認。)

2)コールドスタートバルブの動作確認
コールドスタートバルブを外し、動作確認をします。(その前にパーツクリーナーで洗浄)
手順2−1. 氷水で冷やします。(固定ボルトの台座部分が冷えれば全体が冷えるので、水没させないように!)

触って「う、冷てぇ」位まで冷えると、オリフィスはこのように開いています。(写真は日産スカイライン用なので、テーマに付いている純正品とは穴の形は違います。)



手順2−2. 次にドライヤーで5〜7分くらい暖めます(ドライヤーの熱の強さによる)。温度が上がって来ると内部のバイメタルが変形すると、ブロッキングプレとが押されて、じわじわと5分くらい掛けてプレートが回り、オリフィスが閉じます。これでこの部品の動作確認は大丈夫のようです。(多分(^^;))

 


OK?(NGなら部品を交換。)

3)調整してみる
動作確認は異常なし、しかしアイドリングはダメと言うことで、穴の開きが少ないのでは?ということでオリフィスの開き具合の調整を行ってみます。
手順3−1. もう一度キンキンに冷やします。
手順3−2. 写真中央の7mmナットを緩めます。(ねじロックが塗られているので剥がします)
手順3−3. ナットを緩めると、写真のようにスライドさせることが出来、オリフィスの調整が出来るようになっています。
手順3−4. (ここから本番)
冷えている状態で一杯にスライドさせ、一番開く状態でナットを締めます。
手順3−5. もう一度ドライヤーで5〜7分くらい暖めます。(穴を覗きながら、「もうこれ以上は変化ないみたいだな。」と思うまで)
今度は、「手順3−4」で一番開いている状態にしているので、完全には閉まりきらないと思います。
手順3−6. ナットを緩め、冷えないうちに(時間が経つと冷えて勝手に開くので、時間が掛かるようだったら、ドライヤーを当てたままやるといいかも)調整ボルトをスライドさせ、ぎりぎり全閉する所でナットを本締めします。これで、冷えているときは最大に開き、暖まると全閉になるように調整できたと思います。

終わったら、バルブをよく冷ましてから取り付けます。試したところ、エンジン始動後、約2分くらいは1,200rpmを維持、その後950rpm前後を維持したままエンストすることはなくなりました。

これで改善されない時は他に原因があると思いますので、頑張って原因を見つけないと直りません(笑)




LANCIA THEMA CinCin!